“不幸を呼ぶ家”の特徴【チェックリスト】実例ビフォア・アフターで見る“病は家から”…「建築医学」手法で幸せの家にする方法
「この家に越してから悪いことばっかり」。そう感じていたら要注意。問題が起きる家には、なぜか共通項があるという。間取りや色彩選び1つで心身のバランスを崩す可能性があるというのだ。建築医学の観点から、不幸を招きやすいポイントを理解して、トラブル回避を目指していこう。
教えてくれた人
昆佑賢(こんゆうけん)さん/「アウトレット不動産」代表。一般社団法人日本建築医学協会幹事長。建築医学の考えに基づき、病気や不幸を招いた事故物件・訳あり物件などを価値ある不動産に再生している。著書に『幸せになる家 不幸になる家』(アルソス新書)がある。https://outlet-estate.biz
あなたの家は大丈夫?「不幸を招きやすい度チェックリスト」
以下の項目を見て、あなたの家に該当するものがあればチェックしよう。
□ いまの住まいに不満がある。
□ 家に帰りたくないと思うときがある。
□ 床が硬い、または冷たい。
□ 玄関、廊下が暗い。
□ 冬場、玄関、廊下が寒い。
□ リビング、ダイニングの壁の色が白い。
□ 圧迫感を感じる部屋(場所)がある。
□ 散らかっているためにストレスを感じる部屋(場所)がある。
□ リビングは家具が多く、狭いと感じる。
□ 玄関に入るとすぐに階段のある間取りだ。
□ 家具や食器棚がカビくさい。
□ 家の中にいるとき、外からの視線が気になることがある。
□ 道路から玄関が見える。
□ 寝室では、外の騒音が気になってなかなか眠れない。
□ 家がT字路の突き当たりにある。
●該当する項目が0~4個の場合
ほとんど問題はなし。この環境を維持しよう。
●該当する項目が5~9個の場合
チェックをつけた項目を改善しましょう。
●該当する項目が10個以上
家もあなたもすでに健康を害している可能性が。取り組めるところから改善していくのがおすすめ。
“病は家から”という驚きの理由
上のチェック表は、「建築医学」という考え方に基づき、不幸を招きやすい家の特徴を挙げたものだが、そもそも「建築医学」とは何なのか?
「生活習慣病やがん、うつなどの疾病は、食生活や人間関係、ストレスなどが主な原因とされ、家についてはあまり触れられませんよね。でも、疾病のみならず、人の幸不幸の違いには、毎日生活している住環境も大いに関係していると考えられることから、家の中の健康を害する部分を見つけ、“心によい影響を与える家”に改善することで病気などを予防しようというのが“建築医学”です」
と言うのは、事故物件・訳あり物件を建築医学の手法で“幸せな家”に再生させている昆佑賢さんだ。
「建築医学を提唱した松永修岳さんは、国内外の医師や脳科学者の文献を調べ、間取りや方角、色彩などが心身に与える影響を体系化しました。事故・訳あり物件は、同条件の一般住宅に比べ安いのですが、やはり嫌がる人は多い。でも、健築医学でリフォームしたことを説明することで、納得して購入するかたが増えています」(昆さん・以下同)
ハウスダストやカビ、騒音などが体に悪いことは明らかだが、家にはストレスの元凶となる“負のスイッチ”がもっとあるという。
「くつろぐ場所のはずが『何となく落ち着かない』『休まらない』『やる気が出ない』と感じるときは、家のどこかで“負のスイッチ”が働いている可能性があります。“何か変だ”と五感で感じられるうちに家を確かめるべき。違和感を放置すると徐々に五感が麻痺(まひ)し、“不幸の家”に住み続けることに…家の中にある負のスイッチは取り除くようにしてください」
なかでも“寒さ”が大きなストレス要因だという。
家の環境が脳にも影響を与える
昆さんが過去に扱った事故物件も、寒い家が多かったという。本文最後にあるケースは、日雇いの警備員だった60代の男性(独身)が孤独死した部屋。身寄りがなく、家主から昆さんへ買取依頼があった。
「角部屋は人気物件ですが、北向きだと部屋を明るくしようと窓を多くするため、冬はかなり寒いんです。この部屋も北西向きでした。また、北に面した角部屋は室内と外気との温度差が大きいため、カビが発生しやすいという問題もあります」
カビはマンションやアパートの1階にも発生しやすいので要注意。さらに、ゴミの多さも共通していたという。
「ウイスキーの空き瓶だけのゴミ袋がいくつもありました。絶望をアルコールで紛らわしたまま亡くなったとしたら、とても悲しいことですよね」
このケース以外にも、日光が入らず、収納がないような間取りの家で問題が起こることが多いと、昆さんは言う。
ほかにも、「暗い部屋」が気分を鬱々とさせるのはいわずもがなだが、一見爽やかそうな「白い壁」も、部屋全体が真っ白だと交感神経を刺激してストレスを高めるため、くつろぐためのリビングにはそぐわない。
「バブル時代に流行った白×黒のモノトーンの部屋も同様に落ち着かず、家庭不和につながった例もあります」
まだある。散らかった部屋は、脳に悪い影響を与えるというのだ。
「人間が視覚から得る情報の8割は視覚情報といわれていますが、私たちは無意識に見ているものの方が圧倒的に多く、脳は常に情報処理に追われている状況にあります。つまり、疲れる色に囲まれる部屋や、ものであふれている部屋、そして、玄関のドアを開けるとすぐに台所や洗濯ものなど生活感のあるものが目に飛び込んでくる、そんな部屋に身を置き続けると、その情報がストレスとなって積み重なり、心身に悪影響を及ぼすことがあるのです」
「最近、部屋が散らかってるな~」と思ったら改善の余地がありそうだ。
住環境を見直し、再生した実例のビフォーアフターを紹介する。