発酵食品はダブルで摂取が◎食べ合わせランキング「かつおぶし×みそ」は最強のアンチエイジング食【専門家監修】
季節の変わり目は体調を崩しがち。疲れが出やすい時だからこそ、食べることで体のコンディションを整えたいもの。そんな中、健康や美容に効果がある「発酵食品」に注目が集まっている。健康を促進し、免疫力をアップさせる発酵食品×発酵食品の「最強の食べ合わせランキング」を紹介する。
教えてくれた人
石原新菜さん/イシハラクリニック副院長、佐野こころさん/医学博士、浜本千恵さん/管理栄養士、藤本倫子さん/日本発酵文化協会上席講師、麻生れいみさん/管理栄養士
2種類以上の発酵食品の組み合わせで健康効果が相乗的にアップ!
ひと口に発酵食品と言ってもその種類は多く、菌の種類や特徴、腸内での生息場所や働き方はさまざまだ。
「腸内環境を整えるうえでもっとも重要なのが、菌の多様性です。腸内細菌にはそれぞれ生息しやすい場所や得意な働きがあるため、できるだけ多くの種類の菌を体内に取り入れることが大切。おすすめなのが、2種類以上の発酵食品を組み合わせて食べる“ダブル発酵”。より風味が豊かでおいしくなり、健康効果が相乗的に引き上げられることが期待できます」(イシハラクリニック副院長の石原新菜さん)
1位は「納豆×キムチ」
そこで本誌は、5人の食の専門家へのアンケート調査で発酵食品の「最強食べ合わせ」を調査。その結果、専門家たちが口を揃えておすすめし、1位となったのが「納豆×キムチ」だ。医学博士の佐野こころさんが解説する。
「混ぜるだけと手軽で味の組み合わせがいいのはもちろんのこと、乳酸菌と納豆菌を同時に摂取できるのがいい。納豆菌は悪玉菌を減らし、乳酸菌が増えるのをサポートしてくれるため、より高い腸内環境改善効果が期待できます」
2位は「ヨーグルト×甘酒」
2位の「ヨーグルト×甘酒」は、動物性と植物性、2種類の乳酸菌を同時に摂取できる。管理栄養士で料理研究家の浜本千恵さんが推薦理由を語る。
「甘酒は“飲む点滴”ともいわれるほど栄養価が高く、エネルギー源になるブドウ糖のほか、代謝を高めるのに欠かせないビタミンB群も豊富に含んでいます。また、メラニンの生成を抑えるアルブチンとコウジ酸も豊富。麹による発酵の過程で生成されるオリゴ糖が腸内で乳酸菌のえさになるため、相乗効果が得られます。ヨーグルトに甘みを足したいと思ったら、ぜひ甘酒を入れてみてほしい」
日本発酵文化協会上席講師の藤本倫子さんはそこにさらに「ナタデココ」を加えた“トリプル発酵”をすすめる。
「ナタデココの酢酸菌がコレステロール値の正常化に役立ちます」(藤本さん)
ヨーグルトと組み合わせるものとしてランクインは逃したが、浜本さんが推すのは「みそ」だ。
「甘酒同様、動物性×植物性の2種類の乳酸菌を摂ることができます。みそ汁にヨーグルトを入れれば旨みが増しますし、同量ずつ混ぜ合わせれば野菜のディップソースになる。とても親和性がある組み合わせです」(浜本さん)
甘酒との意外なタッグとして目立つのは、6位の「甘酒×納豆」だろう。
「納豆×キムチと同じような高い整腸効果が得られ、甘酒のオリゴ糖が納豆に含まれる善玉菌をサポートします」(佐野さん)
「かつおぶし×みそ」は最強のアンチエイジング食
日本人にはなじみ深い「かつおぶし×みそ」の組み合わせは4位でありながら、実は最強のアンチエイジング食。
「みそには乳酸菌と酵母菌に加えて麹も含まれるため、単体でも腸内環境改善効果が非常に高いのがポイント。そこにかつおぶしを加えることで、細胞の新陳代謝に欠かせないアミノ酸を同時に摂取することになり、高いアンチエイジング効果が得られるのです」(藤本さん)
加熱しすぎると菌が死滅してしまうため、みそとかつおぶしを練り合わせて丸めた「みそ玉」にしておき、食べるときはお湯を注ぐだけにするのがおすすめ。発酵食品の効果を最大限キープできるうえ、手軽にみそ汁がつくれる。このとき、みそ汁の具をわかめやとろろなどにすると、菌のえさになる水溶性食物繊維を同時に摂ることができ、さらに効果がアップする。
発酵食品以外の組み合わせでも健康効果は高まる
かつおぶし以外にも、みそはあらゆる発酵食品と好相性だ。6位にランクインした「酒かす」との組み合わせは美肌効果が期待できる。
「酒かすにはビタミンB群が多く、メラニンの生成を抑えるアルブチンが含まれます」(管理栄養士の麻生れいみさん)
そのほかにも、「納豆」や「チーズ」が挙がった。
数え切れないほどの発酵食品がある以上、その組み合わせもまた無数にある。旨みやコクが出る、手軽に食べやすいなど、自分なりの工夫で組み合わせてみよう。また、発酵食品同士ではなくとも、その効果を上げる組み合わせを麻生さんが教えてくれた。
「ビフィズス菌や乳酸菌、麹菌といった善玉菌を『プロバイオティクス』と呼ぶのに対し、食物繊維やオリゴ糖など、善玉菌のえさになってその増殖を助けるものは『プレバイオティクス』と呼ばれます。この『プロ』と『プレ』を同時に摂取することを『シンバイオティクス』と呼び、より効率よく善玉菌を増やして効果的に腸内環境を改善できるほか、感染防御や炎症抑制にもつながるとして、いま大きく注目されています。主なプロバイオティクス食品はヨーグルトやチーズ、納豆、みそ、キムチなど。一方、主なプレバイオティクス食品として広く知られているのはりんごやバナナ、きのこ、海藻類など。ぜひ意識してみてください」(麻生さん)
日本人になじみ深い発酵食品も、新しい組み合わせで、健康効果もおいしさも高まる。オリジナルな新しい食べ方を試してみては?