「バナナは最強食品」と大谷翔平さんらメジャーリーガー、芸能人がバナナを愛する理由
各界からラブコールが止まらないバナナの推奨ポイントは、その味や手軽さだけではない。自身も「食欲がないときでも1本まるごと食べられる」と話す健康検定協会の管理栄養士・望月理恵子さんが解説する。
「1本約90kcalという低カロリーなのに、各種ビタミンも豊富。加えて便を軟らかくしてくれる『水溶性食物繊維』と、水分を吸収して便のかさを増し、大腸に刺激を与えて便意を促す『不溶性食物繊維』がバランスよく含まれています。実際に私は、便秘気味のときは朝のヨーグルトにバナナを入れて食べています」
青果大手の「Dole(ドール)」マーケティング部の木澤健太さんも、バナナによって便秘知らずだと話す。
「毎朝、1本スムージーにして朝食代わりにしています。夜は夕食前に食べてお腹を膨らませ、食べすぎないようにしています。おかげで便通がよくなり、体重も減りました。腸内環境が整って安眠にもつながっています」
低カロリーなのに腹持ちがいい秘密は「バナナに含まれる糖質にある」と話すのは、松生クリニック院長の松生恒夫さんだ。
「糖は種類によって食べてから吸収までの時間が異なります。バナナにはでんぷんやぶどう糖といったさまざまな種類の糖が含まれているので、時間差で吸収されます。そのため糖補給が長時間にわたって行われ、エネルギーが持続的に保たれやすいのです」
もうひとつ、バナナには特筆すべき栄養素があると松生さんは続ける。
「体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を促すカリウムです。現代人はナトウリムの摂取量が多く、一方でカリウムが不足しがちです。バナナを食べてカリウムをしっかり摂取すれば、高血圧予防やむくみの解消など、さまざまな美容・健康効果が期待できます。手軽にカリウムが摂取できるという意味でも、バナナは優れている」
夕食前に食べるとダイエットになる
おいしく食べられて健康で美しくなれる最強果物を取り入れない手はない。その効能を最大限生かすためには著名人たちの食べ方が参考になる。
「手軽にエネルギーを補給できるので、中村アンさんのように忙しい朝に食べるのは大正解。ヒトの体温は起床直後から徐々に上昇し始め、午後2時頃にピークを迎えますが、朝にバナナを食べるとすぐに体温の上昇が促されます。体温が上がることで、代謝が高まる、免疫力が整う、仕事や運動のパフォーマンスが上がるなど、うれしい働きが期待できます」(望月さん・以下同)
川﨑のように昼食後のおやつでも効果は充分。
「小腹が空いたり、仕事や勉強で疲れを感じたときなどに食べるとエネルギーの補給になります。精神安定にも役立ちます」
松生さんがすすめするのは「夕食前のバナナ」だ。
「現代人は夕食が一日のメインの食事になっていて、摂取カロリー量も夜がいちばん多い。甘みもあり満腹感が得られるバナナを夕食前に食べておけば、ご飯の食べすぎを抑えることができます」
食べすぎ防止に加え、夜のバナナには快眠に導く働きもあるという。
「バナナには『幸せホルモン』と呼ばれ、睡眠を促す作用のあるセロトニンの材料となるトリプトファンというアミノ酸が含まれています。それと同時に、トリプトファンの吸収を促すビタミンB6や炭水化物を含んでいるため、効率的にセロトニンを作ることができ、相乗効果で睡眠の質を高めてくれます」(望月さん)
グリーンバナナは加熱調理に向いている ホクホクした食感
また、8月末から全国のスーパーマーケットなどの店頭に並び始めた、加熱して食べる「グリーンバナナ」も試してほしい。
「通常のバナナは完熟する前に日本に輸入され、追熟加工を施して黄色く甘くなりますが、グリーンバナナはそのままの状態で販売しています」(木澤さん・以下同)
味の主張が黄色バナナほど強くなく生では食べられないが、調理に向いていて、電子レンジなどで加熱するとじゃがいもや栗のような「ホクホクとした新食感」が味わえる。
「特にグリーンバナナカレーがおすすめです。じゃがいもは煮崩れしてしまいますが、グリーンバナナは食感にアクセントができて、おいしいですよ」
このグリーンバナナ、栄養成分については黄色バナナと同じだという。バナナの甘みが苦手な人はぜひ試してみてほしい。
「傷や形が規格外などの理由で、産地で廃棄されるはずだったバナナを使用していますが、中身は問題ありません。食品ロス削減を目指した商品で、SDGsについて考えるきっかけになるとの反響をいただいています」
「白い筋を取る」「油で揚げる」は御法度
効果をより得られる食べ方がある一方、半減させる食べ方もある。
皮をむいた後、白い筋を取ってから食べる人もいるが、できれば食べた方がいいと望月さんは話す。
「白い筋はバナナ全体に栄養素を運ぶ『維管束(いかんそく)』というもので、食物繊維が非常に豊富。食べないのはもったいない」(望月さん)
松生さんは「なるべく加工は避けるべし」とアドバイスする。
「たとえばバナナチップスは油で揚げてあるので脂質が多くなっています。ケーキも砂糖の量が多いので健康面ではおすすめしません。バナナはそのままで充分甘みが強いので、素材を生かした食べ方のほうがいいと思います」(松生さん)
飲み方も同様だ。望月さんが続ける。
「市販のジュースでは製造過程でバナナ由来の食物繊維がほとんどなくなっています。砂糖や果糖ぶどう糖液糖などが加えられている可能性もあるので要注意。飲むならバナナの栄養を丸ごと摂れるスムージーなどがいいですね」
また、いくら健康と美容にいいからといって、どれだけ食べても「OK牧場」とはいかない。
「特に一度に3本以上食べるのは避けるべし。過剰な糖質摂取となり、体内で脂肪として蓄えられるリスクがあります。夜の果糖の摂りすぎも脂肪として蓄えられやすいので、寝る直前に食べるのも避けましょう」(望月さん)
バナナ1本で、あなたの運命が大きく変わるかも。
撮影/本誌写真部 写真/アフロ、ピクスタ
※女性セブン2023年9月21日号
https://josei7.com/
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