定年後の意外な夫婦関係の変化「金銭感覚のズレ、夫が要介護に」実例に学ぶ対処法を専門家が解説
定年後、仕事環境も生活スタイルも変わった夫婦にはストレスがのしかかる。環境が変わることで夫の精神状態や夫婦関係に変化が起きて、ふたりの関係に亀裂が入ることも…。夫婦仲がどんなによくても老後に起こる事態を事前に把握しておきたい。専門家や経験者から定年後に起こる夫婦間の変化について聞いた。
定年後は生活が変化。夫婦ともにストレスに
「定年後は、夫婦の仕事と生活環境が激変します。お互いに生活のリズムが変わり、それがストレスに。私が相談者からよく聞くのは、暇になった夫の関心が妻にばかり向けられ、家事などへの小言が多くなる、といったことです。すると夫婦関係は悪化。離婚するケースもあります」
とは、夫婦問題カウンセラーの高草木陽光さんだ(「」内、以下同)。妻が定年前からしておくべきことは、「夫改造計画」だという。
「たとえば、家事分担に課題があるなら、家事の中から夫ができそうなことを見つけて、“一緒にやってくれない?”と、やり方を教えながら任せる。そうやって、妻が家事をするのが当たり前だった環境を少しずつ変えていくのです。そのうえで、“あなたが定年になったら、お互い好きなように過ごしましょう。その代わり、自分のことは自分でしてね”と伝えるのです。あるいは、“定年後は、私も自分の時間が欲しいから、自分のことは自分でやってね”とはっきり伝えてもいいでしょう」
定年後、夫婦でうまく折り合いをつけるには、あきらめも大切だと言うのが、『Wife』編集長・小野喜美子さんだ。
「定年後の理想的な夫婦生活を思い描くのはいいですが、夫も同じ方向を見ているとは限りません。意見が合わなかったら、すぐに気持ちを切り替えましょう」(小野さん)
定年後は夫の死後も想定しておくこと
遅かれ早かれ、ひとりになる日は来るが、若いうちは考えられないだろう。しかし、定年後はそれを現実的に考えておいた方がいいという。
「定年後、これからふたりの生活が始まる、と楽しみにしていたさなかにご主人が急逝し、何年も悲しみをひきずっている妻の話を、私は何度も聞いてきました。夫婦関係の善しあしにかかわらず、相手に先立たれると経済的・精神的ダメージを受けます。そうなったときに趣味の仲間など、つらい気持ちも素直に語れる場所を作っておくと心強いでしょう」(小野さん)
定年を機に“夫婦の終(しま)い方”も考えた方がいいようだ。