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作家・志茂田景樹さん車いす生活をSNSで発信「長生きする秘訣は欲張らないこと」

 平均寿命、健康寿命ともに世界トップクラスの日本。長生きするならいつまでも健康でいたいが身体機能の低下や怪我などで歩いたり、立ち座りが困難になるケースも少なくない。腰椎を圧迫骨折し、車いす生活となった志茂田景樹さんに介護生活を楽しむコツを教えてもらった。

車いすユーザーとして毎日を過ごす志茂田景樹さん

 持病の関節リウマチを改善するために行った湯治先の温泉施設で到着早々、転倒。腰椎を圧迫骨折し、救急車で搬送されたのが20195月のことでした。急遽、帰京し治療しましたが、リウマチは悪化して要介護4の介護生活が始まりました。

 トレードマークのカラフルヘアはそのままですが、現在は自力では一歩も動けない車いすユーザーです。日ごとに天気が変わるいまの季節は関節リウマチで手と腕の痛みが激しく、歯磨きするのもひと苦労。自宅のトイレでの大きい用足しは苦痛が伴ってつらいですよ。ドアを開けたままにして車いすで入り、10以上の手順を踏んで便器に移り、また車いすに戻るまで30分近くかかります。お風呂は週に2回の入浴介護です。

 車いす生活で長生きする秘訣は【1】欲張らないことでしょうね。もともと楽天家ということもありますが、病気を嘆いても仕方がない。ありのままの自分を受け入れることで、新しい世界が開けると思います。

→ケンタロウさんのリハビリを支える希望の車いす「COGY」に試乗してみた!

Travis JapanにハマったきっかけはSNSやネットの情報

 いまは外出できなくても2】ネットを通じて世界のニュースを知ることができる時代です。ネットニュースは玉石混交でフェイクもありますが、そこから真偽を見極めて自分なりの結論にたどり着けるようになったのは、車いす生活の賜物かもしれません。

 毎日の日課は16時間を上限にパソコンで執筆したり、3SNSで発信することです。SNSは世界中の人々とつながれる大事なツールで、自分の考えやつらかったときの話などをつぶやくとさまざまな反応があります。車いす生活になってから、行動できる範囲は狭くなったけれど、ネットによってあらゆる出来事や情報を知ることができ、世界が広がりました。SNSを通じてさまざまな年代の人々の意見が見えてきます。

 雑多な情報が集まるネットのおかげで関心の幅も広がり、要介護4になる前にはまったく知らなかったジャニーズグループへの興味が出てきて、昨年に世界デビューしたTravis Japanのファンになりました。ネットを通じて、ファン同士で交流もしています。

 車いす生活になる前は毎日ウオーキングやジョギングをしていましたが、いまは【4】床に置いたボールを足の裏でゴロゴロさせています。足裏を刺激すると頭がすっきりして血流がよくなる気がするのです。

 ぼくは20年以上も絵本の読み聞かせや講演活動を続けてきて、その際は【5】腹式呼吸を心がけていました。昔のようにはできませんが、いまは朝晩、横になったまま口を閉じて鼻から息を吸い、吐くときは口をすぼめて吸ったときの2倍の時間をかけてゆっくり息を吐きます。お腹を膨らませたりへこませたりすることを意識しながら呼吸を3040回繰り返し、腹筋を刺激しています。

「人生でやり残したこと」は生きる希望になる

 若い頃は不摂生な生活で、ほぼ毎晩飲みに出かけ、まれに日本酒なら一晩で一升瓶をあけることもありました。子供時代から呼吸器疾患を抱えていた身なのに、ですよ。29才で盲腸をこじらせて腹膜炎の手術を2度受けてから生活習慣を変えようと決意し、飲酒を控えて【6】玄米菜食を始め、いまも続けています。昔は自分で作っていましたが、いまは妻が栄養バランスを考えて玄米食を作ってくれます。

 運動や栄養に気を使っていますが、最も大切なのは【7】心の運動です。ぼくには書きたいテーマがいっぱいある。小説やエッセイなど書きたいものを全部書こうと思ったら、あと15年くらいかかるかもしれません(笑い)。やり残したテーマがあることが、生きる希望になっています。

 コロナ禍の3年間に外出したのは23か月に1度の通院と美容院だけ。だから知らない間に体力が衰えてしまっているんじゃないかと不安でしたが、今年4月に外出した際はそれほど体がしんどくなく、その後、外食にも出かけられました。今年は外出して、ネットの外の情報にも触れられる機会が増えるかなと期待しています。

→いま改めて注目が集まる伝説の自然食研究家東城百合子さんの“人生を変える自然療法”とは?「食を制するは人生をも制す」

教えてくれた人

作家の志茂田景樹さん(83)

志茂田景樹さん83)/作家。1976年、『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を受賞。1980年、『黄色い牙』で直木賞を受賞した。奇抜なファッションセンスが注目され、山本寛斎氏のファッションショーでモデルを務めたこともある。

文/池田道大 取材/平田淳、伏見友里 写真/共同通信社、朝日新聞社

女性セブン2023622日号
https://josei7.com/

●福祉用具を適切に選ぶことで高齢者が元気になった実例3選|要介護4から車いす卒業へ

徳光和夫さん「1日100本以上のたばこで大病患った」現在元気に暮らすためにしている12のこと

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