糖尿病は早期発見がカギ 血糖値スパイクをチェックできる最新検査
インスリンが何らかの原因で働かず、血液中の血糖が常に多い状態になる生活習慣病の1つ、糖尿病。初期の段階では自覚症状がない場合が多いが、発症し進行すると様々な合併症を引き起こし、命にもかかわる病気だ。
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糖尿病で苦しまないためには早期発見がカギ。自由診療や健康診断に加えて、今は健康保険内で受診可能な最新検査も充実している。最新検査を紹介する。
血糖値スパイクを知り隠れ糖尿病を発見
糖尿病の検査では、現在、主に血液検査と尿検査が行われている。
「血糖値の状態は、血液を採取したときの血中のブドウ糖の割合でわかります。また、血液中の酸素を運搬する役目を担うヘモグロビンに糖が付着した割合を表す“ヘモグロビンA1c”でもわかります。
これらの数値を見て、糖尿病か、予備軍かなどの判断を行います」(銀座泰江クリニック理事・院長 泰江慎太郎さん・以下同)
糖尿病を判断する基準は、ヘモグロビンA1cの値が6.5%以上、空腹時血糖値が126㎎/dL以上、予備軍ならヘモグロビンA1cが6.5%未満、空腹時血糖値110~125㎎/dLだ。
「しかし、血液検査で糖尿病と診断されたときには病状はかなり進んでいるのです。早めの検査をおすすめします」
持続血糖チェック機器で食後血糖値を測定、ライフスタイルを改善する
そこで、ぜひ受けたいのが、血糖値スパイク検査だ。これは生活習慣病を見つける検査としても脚光を浴びている。
「血糖値スパイクとは、血糖値が食後1~2時間で急激に上がる状態です。これが頻繁に起こると、血管が高血糖によってダメージを受け続けるため、糖尿病のみならず、心筋梗塞や脳梗塞による突然死のリスクも高くなります。ですが、通常の健康診断は、空腹時の血糖値を測定するので、血糖値スパイクかどうかはわからないのです」
血糖値スパイクは、20代のやせている女性でも5人に1人が経験しているという。
「検査する場合は、最新の持続血糖チェック機器『Freestyleリブレ』のセンサーを、2週間ほど腕に貼り、付属機器で食後の血糖値を測定します。食後だけでなく、薬をのんだときや運動時、寝ている間などの血糖値の変動の記録も可能で、いつ血糖値スパイクが起きているかが把握しやすい。数値が高い場合は食事などの問診を行い、ライフスタイルの改善法を栄養士とともに指導します」
病院にもよるが、診察料は自由診療で血管年齢や糖化・老化年齢、内臓脂肪面積、体組成を測定し、1~2週間の数値を診断。栄養指導も含め4万5000円ほどだ。
必ず検査に加えたい「尿アルブミン検査」
アルブミンとは血液の中に最も多く含まれるたんぱく質のこと。通常は、腎臓のフィルターを通ることはないので、尿に排出されるのはわずか。正常な人で、尿から出るアルブミンの指数は、0~18㎎/gクレアチニンほどだ。
「しかし、高血糖状態が続き、腎臓が悪くなると、この数値は正常値を超え、数年の期間を経て徐々に高くなる。すると、腎機能も低下してしまいます。いくら血糖値をコントロールしていても、アルブミン数値が6000㎎/gクレアチニンを超えてしまうと、人工透析は免れない。 これほどの数値になっても自覚症状が現れないこともあるのです」(AGE牧田クリニック院長・牧田さん・以下同)
現在、自分の腎臓の状態を把握するため、尿中のアルブミンを測る検査が重要視されている。この検査は検査会社で専用の試験機器を使い測定を行う。 「3か月に1度は検査することを推奨しています。通常の健康診断や人間ドックでは行われないため、肥満体質の人や生活習慣が乱れている人、または更年期に差しかかった40代以上の女性には必ず受けてほしい。尿検査の際に“尿アルブミンも調べてください”とお願いすれば検査してもらえます」
早期発見が治療の決め手。時間を見つけて検査に行こう。
血糖値スパイク検査は、 どこで受けられる?
血糖値スパイク検査は糖尿病外来や専門クリニックで取り扱っているケースが多いので、最寄りの医療機関に問い合わせを。尿アルブミン検査はかかりつけ医に相談してみよう。
イラスト/二宮亜子