60代以上6割がフレイルのリスクが高めの調査結果が!運動不足だけではない原因と予防策【専門家解説】
フレイル対策の専門家・筑波大学教授の山田実さんは、運動不足に加え社会との交流の少なさがフレイルの要因になると話す。
「『動かなくなった方』や『交流を十分にできなくなった方』が、その後フレイルの状態にかなりなりやすいということがわかっています。コロナ禍で歩数が大きく下がり動かなくなってしまうことで社会への交流機会も平行して乏しくなっていき、その結果、フレイルの状態に陥りやすいと考えられています」(山田実さん、以下同)
フレイルの予防はどのようにすればいいのだろうか?
「研究の中で分かっていることは、『運動』『栄養』『社会参加』という3つの要素が非常に重要ということです。『運動』はもちろん、『栄養』は特にタンパク質をしっかり摂取することが重要と言われています。また人との交流をしっかり取っていくことも結果としてフレイル対策に繋がっていくと考えられています」
しかし、無理な運動などをしても長続きしないので、無意識で行えるフレイル対策を推奨するとのこと。
「無意識でのフレイル対策というのは、生活の中で様々な楽しみを見つけて積極的に外に出て行っていただくといったことを指します。外出することで結果的に身体を動かし、お腹も空くので栄養も摂取することになり、無意識のままフレイル対策ができている状態に近づけると考えています」
2023年5月8日(月)より、新型コロナウイルスの感染法上の分類は季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられることが決まった。同調査では「5類に分類されたあとにやりたいこと」も聞いていて、フレイルリスクの高低に関わらず半数近くが、「国内旅行」に意欲を見せている。
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フレイルリスクの要因が運動不足だけではなく気力の衰えにもあると知り、ウオーキングなどの運動以外に、友人と会う、仕事や趣味を持ち続けて社会と繋がることも大切だと感じた。
【データ】
筑波大学教授 山田実さん/専門分野は老年学。日本老年療法学会副理事長、日本サルコペニア・フレイル学会理事、日本転倒予防学会理事、日本予防理学療法学会理事、日本老年医学会代議員、日本体力医学会評議委員などを務める。
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取材・文/本上夕貴
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