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【おせち料理】手軽に作れて、見栄えのよいレシピまとめ|これさえあればの5品とポリ袋で簡単調理

「ポリ袋に素材と調味料を入れて混ぜるだけ、または、混ぜたものを蒸すだけで、あっという間におせちが作れるレシピがあるんです」と語るのは、ポリ袋料理の達人・荻野恭子さん。

“ポリ袋調理”とは、ポリ袋に切った食材と調味料を入れて混ぜ、場合によっては蒸して温めるだけの調理法。この方法で、手間のかかるおせちも簡単に作れる。

「ポリ袋は容器より密閉度が高いので、少量の調味料でも味がしみ込みやすいんです」(料理研究家・荻野恭子さん、以下同)

 密閉されたポリ袋を蒸すと、中身は蒸し煮状態になる。鍋で煮る場合と違って水分が蒸発しないので、調味料が少量でもまんべんなく食材にいきわたるのだ。

「煮込み時間のかかる黒豆や煮しめは特に、調理時間が短く済むので、おすすめです」

「ポリ袋調理」3つのポイント

【1】半透明タイプのポリ袋を使おう

 ポリ袋とは、ポリエチレン製の袋のことで、半透明のタイプ(写真左/中低圧法高密度ポリエチレン)は、熱に強く、口を結ぶと高密度になる。一方透明なタイプ(写真右/高圧法低密度ポリエチレン)は、伸びやすく、高密度になりにくい。そのため調理には、半透明タイプがおすすめ。

【2】ほどきやすい結び方に

 片結びにするとほどけにくいが、はさみで結び口を切ると中の液体が飛び散りやすい。結び方は右写真のように、片結びの途中で輪を作っておくと、引っ張るだけでほどけるのでおすすめ。

【3】鍋に皿を敷けば簡易蒸し器に

 蒸し器を用意するのは手間がかかるが、水をはった鍋の底に皿を置き、その上に食材の入ったポリ袋を置いて火にかければ、簡易的な蒸し器になる。

黒豆 きび糖を使えばふっくらツヤ豆に

【1】ポリ袋に、洗って水気を切った黒豆1カップ(約150g)と合わせ調味液(湯2カップ、きび糖大さじ4、塩・しょうゆ各小さじ1/2)を入れ、ゆすってよく混ぜる。しっかり空気を抜いて口を結んだら、さらにもう1枚のポリ袋に入れて二重にし、しっかり空気を抜いて口を結ぶ。冷蔵庫にひと晩おいてなじませる。
【2】水をはった鍋に【1】を入れ、途中で向きを変えながら弱火で約2時間蒸し煮にする。
【3】【2】のポリ袋の口をいったん開けてきび糖大さじ4を入れ、しっかり空気を抜いて再び口を結んだら、さらに弱火で約30分蒸し煮にする。

●プロの技 きび糖に含まれるミネラルで釘いらず
 黒豆のツヤを出すには鉄分が必要。そのため、煮込む時に釘などが使われるが、鉄分が豊富なきび糖を使えば釘いらず。「ポリ袋で作る黒豆は、密閉された状態で調味液につかっているので、空気に触れずシワも寄りません」(荻野さん)。

煮しめ 少量の煮汁なのに味はしっかり

【1】鶏もも肉1/2枚(約150g)は流水で洗って水気をふき、ひと口大に切る。
【2】こんにゃく1/2枚(約100g)は、手でひと口大にちぎり、塩・砂糖各少量でもみ、流水で洗って水気をふく。
【3】にんじん1/4本(約50g)は、皮をむいて厚さ1cmの輪切りにする(お好みで梅形に型抜きする)。れんこん1/2節(約70g)は、皮をむいて厚さ1cmの輪切りにする(お好みで花切りにする)。大和いもは、皮をむいて3cmのぶつ切りにする。水で戻した干ししいたけ6枚は軸を切る。
【4】ポリ袋に【1】~【3】を入れ、合わせた煮汁(しいたけの戻し汁3/4カップ、酒・みりん・砂糖・しょうゆ各大さじ1、塩小さじ1)を加え、ゆすってよく混ぜる。
【5】しっかり空気を抜いて【4】の口を結んだら、さらにもう1枚のポリ袋に入れて二重にし、空気を抜いて口を結ぶ。水をはった鍋に入れて、弱火で約50分蒸し煮にする(味が薄ければ、鍋に袋内の調味液だけを移し、半量になるまで煮詰めたら、食材の入ったポリ袋に戻して冷ます)。
【6】絹さや6枚は筋を取り、塩少量をまぶしてさっとゆで、食べる直前に【5】に添える。

●プロの技 こんにゃくは砂糖と塩での下準備が大切
 塩はアクを抜き、臭みを取ってくれる。また、砂糖は味のしみ込みをよくする役割があるので、特に味をしみ込ませたいこんにゃくなどは、塩と砂糖でもんでおくとよい。

栗きんとん 甘露煮の汁で黄金色に!

【1】さつまいも1本(約250g)は、厚さ7mmの輪切りにして皮を厚めにむき、水にさっとさらして水気をふく。
【2】ポリ袋に、【1】と栗の甘露煮300g(市販)を汁ごと入れる。さらに、みりん各小さじ1/2と塩少量を入れてよく混ぜる。しっかり空気を抜いて口を結び、さらにもう1枚のポリ袋に入れて二重にし、しっかり空気を抜いて口を結ぶ。水をはった鍋に入れて弱火で約30分蒸し煮にする。
【3】【2】が熱いうちに、袋の上からめん棒(スプーンやしゃもじでもOK)でさつまいもだけをつぶし、粗熱が取れたら冷蔵庫にひと晩おいてなじませる。

●プロの技 キレイに仕上げるコツは甘露煮の汁&厚めの皮むき

 市販の栗の甘露煮の汁には、栗を黄色くするクチナシのエキスがすでに入っているので、この汁を活用すれば、クチナシを入れる必要はない。また、さつまいもは皮に近い部分に黒ずみのもとになるアクが多いので、厚めに皮をむいておくと、キレイな色に仕上がる。

伊達巻(4人分) 卵液に空気を入れると、フワフワ食感に!

【1】ポリ袋に、大判はんぺん1枚(約100g)を入れてよくもんですりつぶし、溶き卵1個分を加えてよくもむ。卵を入れてよくもむ工程を全部で3回(卵3個分)繰り返す。空気を含ませるようにもみ、卵液に細かい気泡ができればOK。
【2】【1】に、合わせだし汁(だし汁・砂糖各大さじ4、みりん大さじ1、しょうゆ小さじ1/2、塩少量)を入れ、よくもむ。
【3】26cmのフライパンにサラダ油大さじ3を入れ、弱火で熱してなじませたら、【2】の中身を入れる。蓋を少しずらしてのせ、弱火で約13分焼く。表面がやや乾いて、フライパンに卵液がくっつかなくなったら、裏返して焦げ目がつくまでさらに2~3分焼く。
【4】ポリ袋を切って広げたものを2枚重ねてまな板の上に置き、その上に底を上にした【3】をのせる。手前に隠し包丁を3~4か所入れ、手前から巻く。巻き終わったらポリ袋の両端をねじって結ぶ。
【5】【4】が冷めたら厚さ1~2cmに切る。

※フライパンが22cm以下の場合は半量に。

●プロの技 フライパンでふんわりジューシー

【1】クリーミーな生地にするには、はんぺんと卵をよくなじませることが大切。そのため、溶き卵は1個分ずつ入れてよくもむ。卵液はポリ袋の角を切って絞り出すと流し込みやすい。
【2】浅めに隠し包丁を入れると巻きやすくなる。逆に深く入れると巻いた時に折れてしまうので注意。
【3】フライパンから取り出した生地は、冷めると巻きづらく、まとまりにくくなるので熱いうちに巻くのがベター。
【4】ポリ袋に包まれているので、だし汁が流れ出にくく、ほとんど生地に吸収される。そのためジューシーな仕上がりに。冷蔵庫にひと晩おけば、さらにしっとりする。

昆布巻き 昆布の旨みと風味を凝縮!

【1】日高昆布(早煮用)2枚(1枚は約30cmのサイズ)は、それぞれ半分に切ってさっと水でぬらし、ポリ袋に入れて口を結ぶ。
【2】【1】がしんなりしたら、まな板に4枚の昆布を並べ、それぞれに豚肩ロース肉(薄切り)4枚をのせ、手前から巻く。
【3】ポリ袋に【2】を並べて入れ、合わせ調味液(水1/2カップ、酒・砂糖・みりん各大さじ1)を入れる。しっかり空気を抜いて口を結び、さらにもう1枚のポリ袋に入れて二重にし、しっかり空気を抜いて口を結ぶ。水をはった鍋に入れて弱火で約2時間蒸し煮にする。
【4】【2】のポリ袋の口を一度開けて砂糖大さじ4を入れたら、しっかり空気を抜いて再び口を結び、弱火で約40分蒸し煮にする。

●プロの技 かんぴょうがなくてもしっかり巻ける

 かんぴょうで結ばなくても豚肉のたんぱく質のおかげで、ほどけにくくなる。とはいえ、ポリ袋に入れる時は、平らに並べてしっかり固定し、並べた昆布巻きが踊らないように調味液をゆっくり注ごう。

菊花かぶ 調味液に漬けるだけ! 簡単なのに華やぐ一品

【1】かぶは下側を上にして手前と奥に箸を添えて固定したら、下5mm程度を残し、縦横に5mm幅で切れ目を入れる。裏返してかぶの上側に、隠し包丁を十文字に入れる。水1カップに塩小さじ1の塩水に、かぶがしんなりするまで漬ける。
【2】鍋に、酢大さじ4、水・砂糖各大さじ2、塩小さじ1/4を入れて熱し、ひと煮立ちしたら火を止めて冷ます。
【3】ポリ袋に、【2】、5cm角に切った昆布1枚と鷹の爪1本を入れ、水気をしっかりふき取った【1】を加える。しっかり空気を抜いて口を結び、冷蔵庫にひと晩おいてなじませる。
【4】【3】を4等分に切り、輪切りにした赤唐辛子を飾る。

●プロの技 切り込みは等間隔で入れる

【上側】十文字に隠し包丁を入れると調味液がしみやすく味がしっかりとつく。調味液にゆずを入れると黄色の菊花かぶになる。

【下側】かぶの手前と奥に箸を添え、動かないよう固定し、縦に切り込みを入れる。90度回転させて横も同様に。箸が歯止めになるので、下まで切り落とす心配がない。

ミックスナッツ入り田作り やさしく混ぜるのがポイント!

【1】耐熱容器に、田作り(小さめの煮干しでも可)30gとミックスナッツ(無塩)50gを入れて、電子レンジで約2分20秒加熱する。
【2】耐熱容器に、砂糖・みりん各大さじ1、しょうゆ大さじ1/2を入れて、ラップをしないで電子レンジで約1分10秒加熱する。
【3】ポリ袋に【1】と【2】を入れて手早く混ぜ、粗熱が取れるまでポリ袋の口は開けておく。粗熱が取れたら、しっかり空気を抜いて口を結び、冷蔵庫にひと晩おいてなじませる。

●プロの技 加熱すると食感がアップ!

 食材と調味液は、熱いうちに混ぜた方が絡みやすい。ミックスナッツが有塩の場合はしょうゆを半量に減らすこと。

数の子&セロリ&さきいかのごまマヨ和え 清涼感あるセロリが新鮮な味わい!

【1】数の子はたっぷりの水(分量外)につけ、10~15分ごとに水を替える。これを4~5回繰り返したら、膜を取って水気をしっかりふき取り、ひと口大に切る。
【2】セロリ1/2本は4cmの長さの細切りにし、さきいか30gは細かく裂く。
【3】ポリ袋に、すりごま・マヨネーズ各大さじ2、酢・砂糖各大さじ1/2、しょうゆ小さじ1を入れて軽くもむ。【1】と【2】を入れ、しっかり空気を抜いて口を結ぶ。

●プロの技 数の子は切れ子でOK

 和えてしまうので少量の切れ子で充分。酒のつまみにも最適。セロリの代わりにごぼうもおすすめ。

教えてくれたのは

荻野恭子さん/料理研究家ポリ袋料理の第一人者。主宰する料理教室では、60か国以上の海外の料理も教える。著書に『ポリ袋漬けのすすめ』(文化出版局)など。

 写真/髙橋進

※初出:女性セブン2020年1月1日号

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