猫が母になつきません 第333話「こうぎする」
さびは物置部屋がお気に入り。午後はそこでお昼寝をしていることが多いので専用のベッドを置いています。自由に出入りできるように扉はいつも少し開けていますが、母に閉められてしまうことも。閉めないように貼り紙もしていますが、ずっと貼っているとそれも風景の一部と化してしまうので効果がありません。閉じ込められたさびも鳴いて教えてくれればいいと思うのですが、なぜかじーっと静かに私が迎えに来るのを待っています。後から猛抗議を受けるわけですけど。私が幼い時(たぶん5〜6歳)、祖母と二人で外出中に祖母だけがバスに乗ってしまい、ひとりぽつんとバス停に置き去りになってしまったことがありました。呆然とバスを見送りながらもたぶん自分がいないことに気づいた祖母の方が大慌てだろうと思い、泣かずにその場でじっと待っていました。しばらくして向こうから必死で走ってくる小さな祖母の姿が見えました。絶対迎えに来てくれると信じるから待てたんですね。さびもそうなのかもしれません。でも今はピンチの時は大声で泣いたり抗議したりすることも必要だな、と思っています。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。