その手術大丈夫?受けない方がよい手術、リスクの大きい手術
●外反母趾の手術
一般的に多いのは、足の親指の中足骨を削って矯正する術式。
「感染症などの副作用が起きる可能性もあるうえ、手術費用もかかります。痛みがなければそのままにしても問題ないので、無理に手術をしない方がいい」(室井さん)
●胆石の手術
胆のうや胆管にできた胆石を取り除く手術。腹腔鏡下手術と開腹手術の2種類がある。
「昔は胆石を放っておくとがんになりやすいと考えられて手術しましたが、今は痛みがないならがんになるリスクはないと証明されています」(秋津先生)
●下肢静脈瘤の手術
静脈瘤を取る「ストリッピング手術」や、レーザーで静脈を焼く「レーザー手術」がある。
「手術で取っても、別の場所に新しい静脈瘤が出てきます。静脈炎などの合併症で苦しんでいる人は仕方ないが、手術してもいずれまた出てくるので、受ける前によく考えた方がいい」(秋津先生)
●緑内障の手術
眼内を満たす体液が流れるように切除、もしくは切開して、眼圧を下げる手術。繊維柱帯切除術と繊維柱帯切開術がある。
「手術すれば必ずよくなるわけではありません。失明するのを防ぐ治療であるため、昔のように見えるようにはならないうえ、見え方が悪くなることさえあります」(二本松眼科病院の平松類先生)
●白内障の手術
濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入する。
「手術すれば視力は上がるが、必ずしも“見やすさ”に結び付くとは限らないことを知ってください」(平松先生)、「白内障は進行が遅いため、新聞が読めなくなるなど生活に支障がないなら、慌てて手術する必要はありません」(秋津先生)
●老眼手術
水晶体を手術で取り除き、遠近両用のレンズを挿入する。白内障の治療と同時に行うこともある。
「手術をしても若い頃と同じように見えるようになるわけではないため、費用や労力をかんがみて自分にとって本当にメリットがある手術なのかを考えるばきです。白内障の治療と同時に行うのが一般的です」(平松先生)
●中隔弯曲症の鼻中隔矯正術
鼻を左右に隔てる仕切りの骨「鼻中隔」が曲がっているので、鼻づまり、鼻血、いびきといった症状が出る。手術方法は、曲がっている鼻中隔軟骨を切除して整えるというもの。
「ほとんどの人は多かれ少なかれ骨が曲がっています。曲がりが強くない人、症状が重くない人は手術は不要です」(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長の石井正則先生)
●未破裂脳動脈瘤の手術
破裂すると、くも膜下出血を起こすので、動脈瘤を手術で取り除く。脳を開けて瘤を留める「クリッピング術」と足の付け根から血管の中にカテーテルを入れて瘤にコイルを入れる「コイル塞栓術」がある。
「脳ドックで動脈瘤が見つかる人が増えていますが、日本脳神経外科学会の調査によると破裂する確率は1年間に0.64%。米国の学会は、家族にくも膜下出血の病歴がなく、脳動脈瘤が1cm未満なら手術不要だとしています」(室井さん)
教えてくれた人
室井一辰さん/医療経済ジャーナリスト。
秋津壽男(としお)さん/秋津医院院長。
平松類さん/二本松眼科病院の眼科医。
石井正則先生/JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。
※女性セブン2018年11月1日号
●「人工股関節手術」はするべきか?経験者が語るメリット・デメリット