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「月50万円の愛人生活36年、70才で無一文に!」波乱万丈の人生実録エピソード2選

 世の中には貧乏人もいれば、高級車を乗り回し高級料理に舌鼓を打つ生活を満喫するセレブな人が存在する。人生は公平ではないからこそ、ドン底を味わった人は強く魅力的に見えるもの。波乱万丈な生き方を送った女性の実録エピソードをご紹介。これを読めば、元気になること間違いなし!

リッチな愛人生活から一転、70才にして無一文に!

 私はいま81才。介護施設で食事作りをしています。火を使う調理場は夏は暑く、冬の水はしもやけができるほど冷たい。しかも立ちっぱなしの重労働。同僚は「きつい」って言いますけど、私はへっちゃら(笑い)。幼い頃、家が貧しかったのがよかったんだと思います。どんな状況になってもあのときよりマシって思えますから。

 私の家はきょうだいが5人いて、父は桶職人、母は和裁の内職をしていました。私以外は男の子だったので、長女の私は弟たちに何でもゆずってばかり。お腹いっぱいご飯を食べたことはありません。

 働きづめの両親に代わり、私が弟たちの面倒を見ていたため、中学校もろくに通えず、卒業後は地元のレジャー施設に住み込みで働きました。そんな私に運命の出会いが訪れたのは25才のとき。常連の不動産会社の社長から、

「おれの愛人になるか?」

 と言われたんです。彼は私より15才年上で、人柄も穏やか。奥さまが病弱で夫婦生活が営めず、その代理となる女性を求めていたんです。裕福な暮らしへの憧れもあり、二つ返事でお受けしました。

 それから36年間、彼が76才で亡くなるまで、私は彼に誠心誠意、お仕えしました。奥さまも、子供さえつくらなければ認めるとおっしゃって、親切にしてくださいました。毎月50万円のお給金をくださり、月1回の海外出張に同行させてもらうなど、ずいぶん贅沢をさせてもらいましたね。本当に楽しい日々でした

 彼は自分が亡くなっても、私が生きていけるようにと、マンションと2000万円の遺産も残してくれました。このとき私は61才。贅沢さえしなければ、年金と合わせて暮らしていけるはずでした。

 誤算だったのは、自分で思っていた以上に彼のことを愛していたこと。ひとりの生活はあまりにさびしくて。気持ちがふさいで体調を崩し、それを解消しようと健康食品を買っていたところ、波動師と名乗る人にハマりました。彼の話はおもしろく、講演会に行けば同じような悩みを抱える同世代の女性に会える。もちろんその都度、高額なサプリメントを買わないといけないわけですが。そんなことを続けるうちに2000万円が底をついたのです。

 私は70才になっていました。一文無しになり、生活保護の相談に行くと、区役所の人から驚きの一言が!

「まだ若くて健康なんだし、家もあるんだから働きなさい」

 と――

 70才ってまだ若かったのね。この一言でやる気が出ました。すすめられた介護施設で調理の仕事を始め、いまに至るというわけです。仕事後は、近くの公園で同僚と缶コーヒーを飲みながらおしゃべりするのが日課。もうさびしくありません。体が動くうちはまだ働きますよ。

不妊治療に翻弄された16年、離婚を決意

「子供はまだ?」「畑の土壌が悪いんじゃない」

 義両親や夫のこの言葉がどれほど私を苦しめたか

 私が同い年の彼と結婚したのは27才のとき。30才から子供をつくればいいかなと、それまでは仕事に励んでいました。ところが、そろそろ子供でもとなってから3年経っても妊娠しません。夫や義両親からはせっつかれ、病院で検査を受けても、問題なし。それからも針の筵(むしろ)のなか、夫婦の営みを続けるものの、さらに5年経っても妊娠しません。そんなとき、医師から、

「旦那さんも一緒に検査しないと意味がありませんよ」

 と言われ、渋る夫を説得して検査を受けさせたところ、男性不妊と判明しました。

(私のせいじゃなかった!)

 肩の荷が下りましたね。しかし、自然妊娠が難しいとわかったここからが本当の地獄の始まりでした。本格的な不妊治療が始まったのです。好きだった仕事を辞めて治療に専念しなければならず、治療には痛みも伴います。人工授精4回、体外受精も4回行いましたがダメ。治療費も膨れ上がり、貯金も全額つぎ込みました。46才までがんばりましたが限界を感じ、夫に不妊治療は終わりにしないかと相談したんです。すると、

「いいんじゃない。おれは子供なんて欲しくなかったし」

 と言ったのです。許せなかった。妊娠を急(せ)かした張本人が何を言うのかと。それからは夫に恨みの感情しかわかず、結局離婚しました。

 それから14年、いま私は60才。仕事も再開し、友達と観劇や旅行に行くなど、ひとり暮らしを楽しんでいます。不妊治療中は、子供を見ると切ないような悔しいような気持ちになっていましたが、いまは微笑ましい気持ちで見守れるようになりました。子供がいれば人生が違っていたでしょうが、いなくても幸せになれる、そう実感しています。

取材・文/前川亜紀  イラスト/大窪史乃

女性セブン202298日号
https://josei7.com/

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