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私の波乱万丈人生「セレブ妻から一転!ドン底から這い上がった」実録エピソード3選

 失敗から学び、また挑戦することで、人生の輝きは増していくもの。今回は、一度はドン底に突き落とされた読者の壮絶な体験談を紹介する。絶望を知り、人はそこから何を得るのか――「私の人生、こんなはずじゃなかった」と失意の中にいるあなたにこそ、読んでほしい!

セレブ生活から一転、夫が自己破産!

「ぼくも何だってする、皆で一緒にいたいよ。だってぼくたちは家族でしょ」

 泣きながら私にしがみつく、当時10才だった三男。その傍らで涙を流す、中学1年生の長男と、小学5年生の次男。あの光景はいまでも昨日のことのように思い出されます。三男のあの訴えがなければ、私たち家族はバラバラになっていたかもしれません。                  

 私が結婚したのは27才のとき。夫は家業の水道工事会社を継ぐために東京から地元に帰ってきた高校時代の先輩でした。夫婦仲はよく、3人の男の子にも恵まれ、結婚7年目にはマイホームも建てました。

 時代はバブル経済崩壊直前。夫の事業は成功し、地元では名の知れた会社に成長。周囲の人からは、「次の県議会議員だね」などと言われていました。正直、あの頃は私もセレブ妻を気取っていましたね。

 ところがバブル崩壊の余波は、夫の会社にも大きな影を落としました。私が40才のとき、夫の会社が倒産し、5000万円の負債を抱え、自己破産しました。仕事を探しましたが、不景気で見つかりません。仕方なく、夫の友人を頼って上京することに。夫婦で先に東京へ行き、落ち着いたら息子たちを呼び寄せようと、3人はそれぞれ別の親戚に預けることにしました。ところが、三男だけはどうしても首を縦に振りません。

「家族なんだから何があっても一緒にいたい」

 と号泣したのです。それで覚悟が決まりました。家族5人で上京し、8畳一間のアパートに落ち着くと、夫は友人の会社で働きつつ、警備員や宅配の仕事も兼業。専業主婦だった私も、朝は清掃、昼から夜までは飲食店、深夜はスナックで働きました。家事は息子たちが分担してくれました。

 何としてでも生活を立て直したいと思えたのは、そばに子供たちがいてくれたおかげです。この子たちにこれ以上、苦労をさせたくない。その思いで働き続けたところ、3人全員、大学を卒業させてあげられました。

 地元を出てから29年、いまは都内に小さなマイホームを建て、夫婦ふたりで穏やかに暮らしています。どんなことがあっても、前を向き、家族で力を合わせて進み続ければ、道は開けるんですね。

箱入り娘の私がバンドにハマり転落人生

 私は、寺の長女に生まれました。両親は厳格で、テレビや映画を見るのは禁止、友達すら、親の眼鏡にかなった人としかつきあえませんでした。大学も父親が決めました。東京にある仏教系の大学で、私の人生は寺のためにあるのだなと、実感しました。自分で何も決めさせてもらえない、自由がない、そんな生活から逃れたいとは思っていましたが、あきらめてもいました。

 あのとき、大学の友達から、「ライブに行かない?」と誘われるまでは

 当時は1980年代後半のバンドブーム。レベッカやBOØWYなどのバンドが活躍し、私ですら彼らの存在は知っていました。それで、勇気を出して行くことにしたんです。

 ――人生が変わりました。

 ライブ会場は、音の洪水。ミュージシャンたちは輝いていて、観客はみな自由で楽しそうに見えました。私もその熱に浮かされ、かつてない恍惚感を味わったのです。 

 私も自由になりたい。好きなものを楽しみたい。

 それから、バンド音楽に夢中になったのは言うまでもありません。お気に入りのバンドの追っかけまでするようになりました。遠征費用を稼ぐため、大学をサボってアルバイトをするようになりました。しかし、そんな生活はすぐに親にバレました。

「学業をおろそかにするなら、大学をやめて帰ってこい。でなければ勘当だ」

 と電話で怒鳴られました。このままでは、実家に連れ戻される、そうしたら不自由な人生から逃れられない。

 そこで、「大学はやめます。でも帰りません。自分の人生を生きたいと思います」という手紙を実家に送り、親が用意したマンションを出ました。

 私から親と絶縁したのです。その後は住む場所と職を探さねばと、寮があるナイトクラブで働き始めました。そこで出会ったバンドマンと結婚したのは22才のとき。ところがこの男、仕事もせず浮気三昧で、何かあるとすぐに暴力を振るうのです。あるとき、タトゥーを入れるニードル(針)を買ってきて、

「おれから離れられないように、おまえに入れてやる」

 と迫られました。恐怖のあまりその場から逃げ出し、暴力で私を支配しようとする夫のもとには、もう二度と帰らないと決めました。自由のない生活はこりごりでしたから。

 その後、パチンコ店の住み込み店員の職を得てお金を貯め、2年後にひとり暮らし用のアパートを借りました。この間に夫とは離婚しました。いまはパン製造工場で働いています。そこで出会った10才年上の男性と40才で再婚し、穏やかな毎日を送っています。

 今年で55才。裕福ではありませんが、住む場所があり、好きなときに好きなものを見て好きなものを食べる。誰にも遠慮はいらない人生ほど幸せなものはありません。

買い物依存で借金を抱えて親に勘当もされ…

 幼い頃からの母の口癖は、「将来は専門職に就きなさい。医師、薬剤師、弁護士、会計士、教師のどれかを選びなさい」でした。人に教えることが好きだった私は、教員免許を取ることにしました。免許は取れたのですが、ここで初めての挫折を経験。教員採用試験に受からなかったのです。代わりに予備校の講師になったのですが、母の絶望たるやすさまじく、

「あなたの人生は終わりね」

 と言われました。ところが、1980年代は大学受験ブームで予備校は盛況。多忙を極めていましたが、給料はうなぎのぼりで、20代にして年収が1000万円以上に。とはいえ、多忙ゆえのストレスがひどいうえ、家では母からバカにされ続け。逃げ場のなかった私は、ホストクラブに通ったり、ブランド品を買いあさるなど、お金を使うことで発散していました。

 ところが、予備校の人気も長くは続かず、少子化の影響で、収入は下がっていきました。それなのに買い物癖は止まらない。31才にして600万円の借金を抱えてしまいました。親にもバレて、立て替えてもらえたものの、殴られた末に勘当されました。

 その後、小さな学習塾に就職し、生活を立て直すことにしたのですが、年収は全盛期の3分の1以下。これでは何も買えないし、遊べない。ストレスがたまり、どうにかなりそうでした。この期に及んでも買い物依存から抜けられなかったんです。

 転機が訪れたのは37才のとき。夫との出会いでした。彼は5才年下の元教え子で、偶然再会してつきあい始め、1年後に結婚。私が何者であろうと受け入れてくれる夫とふたりで、家庭という居場所をつくれたことで、あれほど激しかった買い物への欲求が消えました。

 いま私は56才。ブランド品など買わなくても、息子に夫、素直な生徒たちに囲まれて、心は満たされています。

取材・文/前川亜紀 イラスト/大窪史乃

女性セブン202298日号
https://josei7.com/

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