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健康

95才まで生きられる歩き方と速度「足指グーパーストレッチ」が大切な理由を医師が解説

 靴は安くてヒールのないもの、移動はできるだけタクシーで、電車では座って…体を動かさず、ラクしてばかりいるあなた。長寿への道は、その歩き方を直すことから。少し気をつけるだけで、筋力も代謝も変わってくるのだという。健康に長生きするために、正しい歩き方や速度について専門医に教えてもらった。

歩く速度や歩き方で寿命が変わる?

 年を取るほど、体を動かすのがおっくうになってくる。スポーツを始める気力はないし、かといって、お金を払ってジムに通うのも…。それなら、無理して運動を始める必要はない。毎日の歩き方にちょっと気を配るだけで、運動効果がグッと上がり、健康もダイエットも叶えることができる。

 実際に、2011年に米ピッツバーグ大学が発表したデータによると、65才の時点で歩く速度が秒速1.6mの人は平均寿命が95才以上になるのに対し、秒速0.8mの人の寿命は80才、秒速0.2mの人は74才と、歩く速度で寿命が20才近く変わることがわかっている。

 医療法人社団足ノ会理事長の吉原正宣さんは、歩き方や歩く速度は、健康に深くかかわると話す。

「その人にとって最適な歩き方ができていなかったり、そもそもあまり歩かずにいたりすると、足指やふくらはぎの筋肉が充分に使われなくなります。人間の体は、使わない部分は自然と衰えていくようにできているため、足の血流が最小限に“省エネ”されて血行不良が生じ、冷え症になります」(吉原さん・以下同)

 すると、内臓の機能が低下して食欲不振や消化不良、便秘なども引き起こされる。また、自律神経のバランスが乱れて、不眠になる恐れもある。

最適な歩き方ができると不調改善に

「一方で、1日2000~3000歩ほど歩いている人は少なくとも、年を取っても寝たきりになることは少ないでしょう。自分にとって最適な歩き方ができていれば、90才を過ぎても杖いらずで過ごせるようになるはずです」

 太ももやふくらはぎなど、下半身には全身の筋肉の3分の2が集中している。そのため、効率的な歩き方が身につけば、普通に日常生活を送っているだけでも運動効率が高まり、さまざまな不調が改善するということだ。

「その人にとっての最適な歩き方ができると、長距離を歩いたり、歩く速度を上げても疲れにくくなります。すると、自然と歩く距離が増える。効率的な歩行によってふくらはぎの筋肉が使われると血流がよくなり、代謝が上がります。

 また歩行はリズム運動としての効果もあるため、腸が刺激され、便秘解消にもつながる。さらに、運動によってほどよく体が疲れることで、寝つきや睡眠の質もよくなり、それまで毎日10錠以上のんでいた薬を減らすことができた人もいます」

足の裏を整える「足指」ストレッチから

 ウオーキングスペシャリストの山口マユウさんによれば、足裏は体の表面の2%の面積しかない。つまり、片足で立って踏み込んでいる瞬間は、全身のうちわずか1%で、体全体を支えているということになる。だからこそ、理想的な歩き方ができるようになるためには、足の裏を整えることも重要だ。

 山口さんも吉原さんも、足の裏、特に足指をストレッチすることの重要性を説く。

「毎日、足の指を“グー・パー”と広げるストレッチを習慣にしてみてください。初めのうちは、足指を広げようとしても、横に“パー”の形に開けずに、上に反ってしまうでしょう。ですが、続けていくうちに筋肉が動くようになります。足指がよく動かせるようになると、冷え症の改善にもつながります」(吉原さん・以下同)

 まずは入浴後の筋肉がゆるんでいるときに、手を使って足指を広げるだけでもいい。吉原さんによれば、ほとんどの人が、慣れないうちは足指の第2関節までしか動かすことができないという。だが、足の第3関節まで自由に曲げ伸ばしできるようになると、しっかりと地面を踏み込んで歩けるようになるとも。

「最初のうちは手を使って、足の指を1本ずつ広げて第3関節を動かして、感覚をつかんでください。徐々に回数を増やして、1日3回ほどを習慣にすれば、足指を使って歩けるようになるでしょう」

 吉原さんは、快適に歩けていないということは、足の骨格構造に原因がある場合も多いと語る。扁平足や甲高のほか、もともとの骨格や体格を無視して無理に姿勢を変えようとすると、かえって体の負担になったり、うまく歩けないストレスで、歩く機会そのものが失われる恐れもある。

「歩く姿を整えること以上に、自分に合った歩き方で、歩数と速度をできる範囲で増やすことが重要です。足に合った靴選びや靴のはき方のほか、インソールなどの補助具を使った方がいいこともあります。大切なのは、とにかく効率よく、ほんの少しだけ頑張って、たくさん歩くことです」

 まずは細かいことを気にせず、毎日たくさん歩いてみることだ。無理なく一歩ずつ、改善していこう。

教えてくれた人

医療法人社団足ノ会・理事長/吉原正宣さん、ウオーキングスペシャリスト/山口マユウさん

※女性セブン2022年8月18・25日号
https://josei7.com/

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