シニアにおすすめ”足指体操” 楽しく足指を動かす「グ・パ運動、綱引、イモ虫歩き」ほか6選
80代、90代になっても、趣味に仕事に元気に活動するシニアが増えている一方で、長年寝たきりのまま最期を迎える人も…。健康長寿を全うするために、今から実践したいこととは? いくつになってもボケずに自分の足で歩ける体を目指して、50代からやっておきたい体操をご紹介します。
目次
足指を動かさないと立てなくなる!?
「足指を動かさないでいると、人間は歩くどころか、立つことさえできなくなります」
と言うのは、足指の研究に携わる阿久根英昭さんだ。
「人間の足裏の面積は、体表面積のわずか2%。つまり、この2%で体全体を支えているのです。本来であれば、足指に力を入れてしっかりと踏ん張り、足裏全体をバランスよく使わないと立てません。しかし、長時間窮屈な靴を履いて過ごしている現代人は、足指を動かす機会が減ってしまいました」(阿久根さん・以下同)
足裏の筋肉はすべて足指につながっているため、足指を動かさなければ、足裏の筋肉も衰える。足裏に筋肉がなければ、体をしっかり支えられなくなる、というわけだ。
5本指ソックスや下駄、草履もおすすめ
足指の機能が低下する最たる原因は、窮屈な靴を長時間履くことによる圧迫だ。
「下駄や草履を履いていた時代は、足指が解放され、自在に動かせていたため、足裏の筋肉もしっかりし、健脚の人が多かったと言えます」
100才まで自分の足で立って歩くためには、指先の窮屈な靴をなるべく履かないことが重要だという。
「靴を履いていても、なるべく足指が動かせるものを選びましょう。また、5本指ソックスを愛用し、1日1回は足指を思い切り開くのがおすすめ。休日は下駄や草履など、足指が解放されていて、かつ、鼻緒のある履物を履くのもいいと思います」
鼻緒があると自然と、大地を足指でつかむような歩き方になるので、足裏の筋トレにもなるという。
「普通の運動靴でいいので、歩くことも大切。ただし漫然と歩くのではなく、足指を大地につけ、足裏全体を使って歩くよう意識しましょう。足指や足裏の筋肉が衰えると、骨盤に負担がかかってゆがんだりねじれたりし、腰痛やひざ痛の原因にもなります」
阿久根さんが高齢者を対象に指導し、効果のあった体操6種を下記で紹介する。これらを習慣化して、いつまでもひとりで立って歩ける足をキープしよう。
1.足指柔軟体操(10回×3セット)
片手で全部の足指をつかんで、上下に動かす。次に足裏側から手指を足指の間に入れ、上下や左右に動かしながら、足指の関節の可動域を広げる。
2.足指「グ・パ」運動(10回×3セット)
足指全体を内側に丸め込む「グ」、足指を思い切り開く「パ」を、両足同時に行う。慣れてきたら親指だけを立てる「チョキ」にも挑戦を。
3.タオル引き寄せ足指体操(10回×3セット)
いすに座って片足ずつ行う。縦に広げたタオルの上に片足をのせたら、足指を立てたり曲げたりしてタオルを引き寄せる。足裏が痛くなったらやめること。
4.足指プッシュアップ運動(10回×3セット)
いすの背につかまって立ち、足指で床を押すようにしてかかとを上げて、足指(つま先)立ちになる。3秒間キープしたら、ゆっくりとかかとを下ろす。
5.イモ虫歩き運動
10cmほどの足幅で立ち、床に足指を立てて曲げながら、足指の力だけで前方に進む。慣れてきたら、複数人で速さを競うと、より足指力が高まる。
6.足指綱引き合戦
2人で行う。50cmほど離したいすに向かい合わせで座り、間にタオルを置いて足指で引っぱり合う。タオルの中央を自分側に引き寄せた方の勝ち。
教えてくれた人
桜美林大学名誉教授・阿久根英昭さん/足指の使い方や足裏の筋肉に着目し、運動能力や健康状態との関係について研究を続ける。「足力」を向上させるさまざまな健康法を考案し、提唱している。
取材・文/上村久留美、鳥居優美 イラスト/尾代ゆう子
※女性セブン2022年4月28日号
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