ひざ痛は骨と筋肉の癒着が原因 かも…整形外科医考案「ふくらはぎの筋肉はがし」で改善を!やり方をイラストで解説
一般的にひざが痛い原因として、ひざ関節の軟骨が加齢によってすり減るからと考えられていますが、整形外科医の平野薫さんは「骨と筋肉が癒着するのが原因」と話します。それはどういうことなのか? 詳しい内容と、改善方法も合わせて教えてもらった。
ひざが痛いのは軟骨がすり減るからではない!?
50代以降の女性が訴えるひざの痛みの症状として最も多いのが、変形性ひざ関節症だ。
「主な原因は、ひざ関節の軟骨が加齢によってすり減るからと考えられていますが、私の研究や臨床経験では、体の中に滞りができることによって、骨と筋肉が癒着するのが原因と考えています」
と、整形外科医の平野薫さんは言う。
本来、私たちの体は、骨・腱・筋肉が、別々に動くようにできている。ところが体の中に滞りができると、硬くなった筋肉や腱が骨に癒着し、その先につながっている骨を引っ張るため、関節に圧がかかり痛みが生じるのだ。
「たとえばひざの場合、ひざ下の筋肉が硬くなると、大腿骨(太ももの骨)が下に引っ張られます。さらに、ひざから上の筋肉が硬くなると、脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)(いずれもすねの骨)が上に引っ張られるため、間にあるひざ関節に圧がかかります。そのため痛みが生じるのです。常にひざに圧がかかった状態だと、軟骨の再生が進まず、軟骨がすり減るという悪循環を生んでしまうのです」(平野さん・以下同)
では、どうすればよいのか。
ひざ痛改善には「ふくらはぎの筋肉はがし」
「ひざの痛みを取るには、骨に張りついた筋肉や腱をはがす必要があります。特に100才まで歩ける体を作るのなら、重要なのがふくらはぎ。ここの筋肉をはがしてしっかりほぐすと、全身の血流やリンパの流れもよくなり、ひざ軟骨の栄養となる関節液の流れもよくなります」
具体的なやり方は、下記で解説する。指先を使い、無理のない程度の力加減で、骨に沿ってはがしていくイメージで行おう。初めは痛みを感じるかもしれないが、毎日繰り返すことで、徐々に痛みもやわらぎ、ひざの痛みも取れてくるという。
また、体の滞りを生む原因の1つに、咀嚼(そしゃく)不足も関係している。普段から食事の際によく噛むことを、ふくらはぎの筋肉はがし同様、心がけて習慣化しよう。
ふくらはぎの筋肉のはがし方
骨と筋肉のつき方をCheck!
今回の筋肉はがしでアプローチするのはかかとの上からふくらはぎにかけてある腓腹筋。この筋肉を、脛骨(すねの真ん中にある骨)や、腓骨(ふくらはぎの外側にある骨)からはがすのだ。
<POINT>「腓腹筋」にアプローチする!
【1】ひざ下から内くるぶしの上まで順にはがす
両手の親指を、脛骨とふくらはぎの内側の筋肉の間に押し込む。そのままふくらはぎの方向に、骨から筋肉を引きはがしつつ、指を少しずつ下にずらす。
【2】ふくらはぎの外側の筋肉にアプローチ
両手の親指の先を腓骨とふくらはぎの外側の筋肉の間に押し込んだら、ふくらはぎの方向に筋肉を引きはがしつつ、指を少しずつ外くるぶしの上までずらす。1回5分を目安に【1】と【2】を繰り返す。
教えてくれた人
平野薫さん/整形外科医
平野薫自由診療クリニック院長。自分の体は自分で治す"自律医療"の確立・普及にも尽力。主な著書に『ひざ痛を治したければ筋肉をはがしなさい』(マキノ出版)など。
取材・文/鳥居優美 イラスト/尾代ゆうこ
※女性セブン2022年8月18・25日号
https://josei7.com/
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