幸せな看取りを全うした人に共通すること「頼れる医療従事者、相性のいいケアマネ、看取り士のサポート」
入院していた母親を家で看取ったタレント・リポーターで現在は終活ガイドとしても活躍する菊田あや子さんは、ケアマネジャーとの相性も重要だと話す。
「基本的に介護保険を利用する際にはケアマネジャーがつき、ケアプランの作成や家族の要望の聞き取り、施設側との折衝などを行います。私の母の場合は、親しい婦長が腕利きのケアマネを紹介してくれて、在宅介護を行う際の介護器具の用立てから訪問医療との連携までスムーズに行ってもらいました。
なかなか自由に選ぶことは難しいですが、相性が合わなければ別の人に変えてもらうことは可能です。違和感がある場合は早めにチェンジすることも後悔しない在宅死のために必須です」(菊田さん)
在宅介護から最期は病院で母を看取った女優・杉田かおるさんも、ケアマネジャーを変えることに躊躇(ちゅうちょ)する必要はないと話す。
「私自身も、『変えてもいい』と言われてホッとした記憶があります。ただし、その場合はただ変えてほしいと申し出るのではなく『要介護度がこのくらいで、こんな状態の人をこんなふうに診てくれるスタッフがいい』と具体的に伝えた方がいい。
また、行政のサービスはどれもありがたいものですが、自発的に調べて相談に行かなければ見逃してしまうものも多いです。介護や在宅看取りに関する情報はインターネットに出ておらず、普段から周囲の人たちとコミュニケーションを取ることで手に入るものも少なくない。
実際に、私がお願いしていた訪問医療の先生は、近所の人との会話の中で『夫が開業医なんだけれど、最近訪問医療を始めた』と教えてもらったことがきっかけでした。情報力と周囲との縁は、絶対に疎かにしてはいけません」(杉田さん)
→最期は病院か自宅か 杉田かおるさんと菊田あや子さんの選択「幸せな看取りを叶えるためにしたこと」
安らかな在宅死のために覚えておきたい制度と職種
<制度>
・訪問診療…通院が困難な患者のもとに医師が定期的に通い、治療や健康管理などを計画的に行う制度。
・訪問介護…自分や周囲の家族だけで日常生活を営むことが難しくなった人に対しホームヘルパーなどのスタッフが自宅に通い、排泄や食事などの介助、掃除、洗濯など日常のサポートを行う制度。
・介護保険…要介護度に応じて金銭的な支援や定期的な訪問介護、車いすなど福祉用具の付与などが行われる制度。
<職種>
・在宅医…在宅医療を施すうえでメインの指針を決め、治療をする。
・訪問看護師…在宅医と連携を取り、定められた治療方針のもと医療行為からリハビリまで幅広くケアを行う。
・ケアマネジャー…介護保険制度の使用において、ケアプランの作成や家族の要望の聞き取りなど司令塔的な役割を果たす。
・ホームヘルパー…介護が必要な家庭を訪れ、日常生活の介助を行う。
・訪問歯科医師…口腔ケア全般に対応。歯の健康は長寿に直結するため、積極的に依頼したい。
・看取り士…介護者の要望に応え、最期の時に寄り添う。1か月のうち90時間までは、無償で依頼することができる。