幸せな看取りを全うした人に共通すること「頼れる医療従事者、相性のいいケアマネ、看取り士のサポート」
国を挙げて在宅医療が推進され、その在宅で息を引き取る人の数が増えるに従い、少しずつひずみが生まれている。自宅で幸せな最期を迎えるためにいま、知っておきたいことを専門家に伺った。
在宅死を大きく左右する医者と病院選び
辣腕の看護師の助けがあった、いい病院に巡りあった――幸せな看取りを全うした人に共通するのは信頼できる医療従事者の存在だ。
立川在宅ケアクリニック院長の荘司輝昭さんが指摘する。
「どんな医師や病院にかかるかによって在宅死がうまくいくかどうかは大きく左右されます。特に、医師選びを適当に済ませてはいけない。いまは緩和ケアや看取りをする医師が増えていますが、専門性の足りない医師も多い。『24時間365日』を標榜しながらいざというときに連絡がつかない医師もいるし、縁のある特定の訪問診療を斡旋する病院もあります。
一度選んだ医師は変えられないと思っている患者やご家族も多いですが、そんなことはありません。訪問医療に違和感があったら遠慮なく医師を変えた方がいい。不安があれば地域包括支援センターや行政の窓口に問い合わせてほしい」(荘司さん)
向日葵クリニックの在宅医療専門家・中村明澄さんも声をそろえる。
「その医師がどんな治療ができるかを調べて在宅医を決めることが望ましい。特にがん患者の場合、終末期には痛みを取る緩和ケアが必要になりますが、なかには経験に乏しく、『医療系麻薬は処方しない』という在宅医もいる」
もし在宅医が患者の希望する処置をできなければ、入院しなければならなくなるケースや、いざというときに医師と連絡がつかず救急車を呼んでしまうケースもある。
■約6割は在宅死を望んでいる
「あなたは、死期が迫っているとわかったときに、人生の最期をどこで迎えたいですか」という質問への回答の割合。日本財団が2020年に67~81才を対象に行った調査による。