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健康

「塩&醤油の代わりにラー油」「夕食前に風呂」「7時間睡眠」医師が推奨する“腎臓”を甦らせるズボラ生活習慣9選

 機能が著しく低下するまで自覚症状が出にくい「腎臓」。正しい知識で向き合えば早期発見は可能なうえ、日々の生活のなかで機能の改善も十分に見込めるという。腎臓への負担を減らす最新常識を名医が紹介する。

教えてくれた人

上月正博さん/腎臓専門医・山形県立保健医療大学学長

息切れや夜間に2回以上トイレに行く人は要注意!

 腎臓は全身から流れてくる血液をろ過して、不要な栄養素や老廃物を「尿」として排泄する。

  山形県立保健医療大学学長で「日本の腎臓リハビリ治療の父」と呼ばれる上月正博さん(腎臓専門医)が語る。

「腎臓は体の“ゴミ処理”を担います。尿素などの老廃物が血液に溶け込んで全身に流れるのを防ぐ働きを持つ。腎機能の低下はほとんど自覚症状がなく、末期腎不全になると人工透析か腎移植が必要になります。また、腎臓と心臓は互いに影響する『心腎連関』の関係にあり、腎機能の悪化は脳卒中や心筋梗塞など死を招く心血管疾患のリスクを高めます。同様に『脳腎連関』とも言われ、腎臓の悪化が意識障害や認知機能低下など脳の機能に影響することもわかってきました」(上月さん。以下「」内は同じ)

 昨年3月には小林製薬の紅麹サプリによる腎機能障害が問題になり、死亡事例もあった。

 腎機能の低下が3か月を越えて継続した状態を指す、慢性腎臓病の患者は推計2000万人と言われ、高齢化を背景に現在も増え続けている。

 自覚症状が出にくい臓器ではあるが、腎機能の衰えを早期発見できる兆候はあると上月さん。

「夜間に2回以上トイレに行く、尿が泡立つ、足がむくんで靴が履きにくい、すぐに息切れするといった症状があれば病院で検査を受けてください。尿検査と血液検査で『たんぱく』『クレアチニン』『eGFR』の数値が基準値を上回ると慢性腎臓病と診断されます」

腎臓機能の衰えセルフチェックリスト

 腎臓機能の衰えが分かるチェックしよう!

【1】年齢が50才以上である

【2】脂っこい食べ物が好き

【3】多量の酒を毎日飲む

【4】夜間に2回以上

【5】尿が泡立つ、または色が濃い

【6】指輪や靴がきつい

【7】少しの運動で息切れする

【8】最近汗を描かなくなった

【9】親・兄弟に腎臓病になった人がいる

腎機能は自力回復が可能 塩味は香辛料や出汁で代替えを

 腎臓は自力で機能回復が見込めるという。

「まずは食事での塩分を控えることが基本になります。塩分摂取量が多いと腎臓の血液ろ過組織である糸球体や、ろ過してできた尿を通す尿細管にダメージを与えてしまう。とはいえ塩味がないと物足りないので、代替品で補うことがコツです」

 上月さんが挙げるのは「辛い調味料」だ。

「ラー油や唐辛子、胡椒やタバスコなどの香辛料は塩分量が少なく、塩の代わりに適しています。また、チューブタイプのニンニクやショウガも使い勝手がいい。私は毎日、豆腐一丁に醤油ではなく、ラー油やチューブのショウガを少しだけ加えて食べています。餃子にかける醤油を少し減らしてラー油を増やす、野菜炒めの味付けにチューブニンニクを使うなど、少しの工夫を積み重ねることから始めましょう」

 旨み成分である出汁の活用も効果的だと上月さん。

「カツオと昆布の合わせ出汁は体にもいい。私はよくスティックタイプの出汁を食材にかけて食べています」

 このほか、血糖値の上昇を抑えることも腎機能の改善では重要だ。

「ご飯より先に肉などおかずを食べるようにすると、血糖値の急上昇を防ぐことができます」

1日合計30分 約3000歩増加を目標に

 腎臓の改善のために近年、注目されているのが軽い運動だ。

「近年の研究で軽めの運動を長期間行なうと腎機能の低下を防ぐことがわかりました。なかでも効果的なのは有酸素運動で、“少しきつい”程度の負荷が目安となります。私が患者に勧めているのは『いきいきウォーキング』。正面を見て胸を張り、できるだけ大きな歩幅で腕を前後に大きく振って歩く。息切れしない程度の早歩きを1日合計30分、約3000歩増加を目標としたい」

 入浴や睡眠にも腎機能回復のヒントがある。

「夕食前に入浴すると食後の血糖値上昇を緩やかにする効果が認められています。また睡眠時間や睡眠の質は腎臓に大きく影響する。慢性腎臓病患者で睡眠時間が5時間以下だと人工透析になるリスクが2.1倍、逆に8時間以上だと1.5倍に高まるという研究結果があります。腎臓には7時間睡眠が理想です」

 このほか、9つの腎機能回復習慣をリストにした。いずれもハードルは高くないはずだ。

腎臓を守る9つの生活習慣

  生活習慣を少し変えるだけでOK!腎臓を守る新常識を医師が紹介する。

【1】醤油よりラー油

<ポイント>

 餃子などを食べる際は醤油を少し減らしてラー油を増やす

【2】週に1度ご飯の代わりに豆腐を食べる

<ポイント>

 主食のご飯を週に1回、豆腐に変える日を作る

【3】塩の代わりに出汁やニンニクを使う

<ポイント>

 料理の味付けには塩を減らしてスティックタイプの出汁やチューブのニンニクなどを使う

【4】牛、豚肉はヒレ肉やもも肉を、鶏肉は胸肉やささみをなるべく食べる

<ポイント>

 肉はなるべく脂質の少ない部位を選ぶ。牛肉は和牛より輸入肉の方が脂質が少ない

【5】ご飯よりも肉を先に食べる

<ポイント>

 肉などおかずを先に食べることで食後の血糖値の急上昇を防ぐ

【6】息切れしない程度の早歩きをする

<ポイント>

 背筋を伸ばして胸を張り、ひざを伸ばして早歩きを心がける

【7】歯磨きはデンタルフロス(歯間ブラシ)を使う

<ポイント>

 歯周病は腎機能を悪化させる。デンタルフロスで歯間も丁寧に磨く

【8】夕食前に風呂に浸かる

<ポイント>

 入浴は腎臓の機能を活発にする。食事前に入浴すると食後の血糖値上昇を抑えられる

【9】7時間の睡眠を確保する

<ポイント>

 5時間以下の睡眠は人工透析のリスクを2.1倍以上、8時間以上の睡眠は1.5倍以上に高める

※週刊ポスト2025年5月23日号

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