兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【133回 介護生活は仮想現実と思え】
若年性認知の兄と暮らすライターのツガエマナミコさんをいつも悩ますのは、兄のシモ問題。兄に悪気はなく、しかもデリケートなことなだけに、イライラや怒りを堪えるツガエさんですが、心中は複雑です。「兄の介護をすることは、私の運命だったのか…」。本日も悶々とするツガエさんが、「明るく、時にシュールに」その思いを綴ります。

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ヒタヒタと介護の色が濃くなって
兄上は朝、わたくしがリビングに掃除機をかけ終わり、フルーツを切り分けトーストを焼いてコーヒーを淹れた頃になると悠々と自室からリビングにお出ましになり、玉座でテレビをご覧になるのが日課でございます。
ときどきすべてが調い、わたくしが朝食をいただき始めてもおいでにならないことがあるので、そういうときは兄上のお部屋の外から「おはようさん」と声をかけさせていただき、朝食の支度が調ったことをお知らせいたします。すると「う~い」というフランス人のようなお返事のあと、余裕をもってリビングにお見えになるのがお決まりとなっております。
ところが、先日は「う~い」のお返事のあともなかなかお出ましになりませんでした。「まぁ、そんな眠たい朝もあるか」と様子を見に行くこともなく、わたくしは一人朝食を済ませ、仕事を始めました。気づくとお昼が近くなっており、リビングのテー