血糖値をコントロールする最強のおやつ5選「おにぎりはのり付きで」【管理栄養士監修】
おやつはこれまでダイエットの天敵とされたいたが、近年、こうした風潮は時代遅れとなりつつある。科学的根拠に基づいた研究により、おやつを食べた方が太りにくく、健康や美容にもいいことが明らかになっているのだ。 より効果的なおやつの選び方、なにをどう食べるべきなのかなど、詳しい話を専門家に話を伺った。
食事で足りない栄養をおやつで補う
ダイエットはもちろん、認知症予防から美肌作りまで、おやつによる血糖値コントロールの効果は幅広いが、摂り方を失敗すれば水の泡。最大限その力を実感するためには、何をどう食べるべきなのか。管理栄養士で日本抗加齢医学会指導士の森由香子さんはおやつ以外の食事内容に目を配ることをアドバイスする。
「間食は朝昼夕の3食の中で、足りていない栄養素を補うことを意識して摂るといい。たとえば野菜が足りないと思ったらスティック野菜を、たんぱく質が不足していると感じたらサラダチキンを食べるなど、常に不足している食品が何なのかを考えることをおすすめします。
朝食を抜いたりコーヒーやスープのみで済ませた場合は、昼食の前に10時のおやつとしておにぎりを食べるのもおすすめです。ただし、そのときは必ずのりを付けてください。のりの食物繊維で血糖値の急上昇を防ぐことができるのです」(森さん)
おすすめは「ベリー類」「ナッツ類」
食物繊維が血糖値の上昇を抑制することは、愛国学園短期大学非常勤講師で管理栄養士の古谷彰子さんの実験でも明らかになっている。
「食物繊維の豊富な焼きいもやグラノーラをおやつに食べたグループが、最も血糖値の上昇が緩やかでした。
糖質は最終的に小腸でブドウ糖に分解、吸収されて血液中に取り込まれますが、食物繊維はより胃の中に残りやすいため、血糖値の上昇もゆっくりになると考えられます。反対に食物繊維が入っておらず糖がたっぷり含まれたジュースでは効果が得られず、夕食後の血糖値を急激に上げる結果になりました」(古谷さん)
食物繊維が豊富で腹持ちのいいおやつとして今井さんがすすめるのは、いちごやブルーベリーなどの「ベリー類」とアーモンドやピスタチオなどの「ナッツ類」だ。
「果物は食物繊維が豊富ですが、種類によってはブドウ糖やショ糖がたっぷり含まれており、血糖値を上げてしまう。いちごやブルーベリーは糖分が少なくビタミンCもたっぷり含まれているため、積極的に食べてほしい。
一方でナッツ類は糖質が少なく食物繊維が豊富です。現在、健康長寿を体現する食事としてイタリアやスペインなどの“地中海食”が注目されていますが、ナッツ類もその1つ。チョコレートの原料であるカカオ豆の成分もナッツと類似しているため、カカオ70%以上のチョコレートもおすすめです」(今井さん)
血糖値をコントロールする最強おやつリスト5選
【1】ナッツ類
近年、健康長寿を体現すると注目される「地中海食」の一つであり、食物繊維や良質な油が豊富で腹持ちがいい。
【2】フルーツグラノーラ
食物繊維が豊富なため、摂取後長時間にわたって血糖値の上昇が緩やかになるという実験結果が。
【3】チョコレート
原料のカカオ豆はナッツ類と同じく食物繊維と良質な油が豊富。選ぶ際は糖質の少ないカカオ成分70%以上のものを。
【4】ベリー類
いちごやブルーベリーなどのベリー類はほかの果物と比較して糖質が少ないうえ、食物繊維とビタミンCを豊富に含有する。
【5】おにぎり
朝食を抜いた場合など、昼食の前におやつとしておにぎりを摂ることで血糖値の上昇を緩やかにすることができる。その際はのりを付けることを忘れずに。
“完全食”ともいえるナッツ類だが、注意すべき点も
「もちろんナッツは栄養豊富ですが、その分、油分も多く含まれています。いくら良質な油だったとしてもエネルギー量が高いので、一度に食べるのは10粒ほどにとどめておいた方がいいでしょう。
油が弊害になるのは最近流行している糖質オフの“ロカボ食品”も同様です。糖質制限を目的に作られていますが、これらの食品は糖質がカットされている分、油分が多く含まれているものも少なくない。ロカボ食品で油を摂りすぎて、かえって悪玉コレステロール値を上げてしまっている人もいます。コレステロール値が正常な人ならいいですが、高めの人にロカボは推奨できません」(森さん)
食べすぎは禁物! 適正エネルギーの10%が目安
「おやつは“適量”が何よりも重要です。摂取量が多すぎればカロリーオーバーになってしまいますが、少なすぎてもいけない。実験では“セカンドミール効果”が得られるのは200kcalでした。100 kcalのおやつでは、次の食事の3時間前に食べれば効果が得られましたが、それ以上時間が経つと効果が消えてしまいました」(古谷さん)
一般的な成人女性の1日の適正エネルギー量は2000 kcal前後とされている。ただ、体格や運動習慣などによって変わるため、自分にとっての適量を把握しておきたい。
「その人の適正エネルギー量の10%を目安にするといい。たとえば小柄で適正エネルギー量が1600kcalの人なら160kcalまでにとどめることを意識すれば食べすぎを防ぐことができます」(森さん)
時間やその時の状態によって食べるものを選ぶのもポイント!
森さんは適正エネルギー量の範囲内で時間帯やシチュエーションによって、食べるものを選ぶことを推奨する。
「“朝食の果物は金”といいますが、果物を夜に食べると体脂肪が作られやすくなるので、午前中のおやつにするのがおすすめです。昼食の前に小腹が空いたときはたんぱく質も摂れるコーンスープがいい。温かいスープはゆっくり体に浸透するため満足感も高いです。仕事や家事で頭が疲れてきた午後は、小さめのアイスクリームや高カカオチョコレートなどを食べてリフレッシュ。
また、暇なときや気持ちが満たされないときなどは、空腹でなくても『何か食べたい』という“偽りの食欲”が出てきてしまう。コーヒーや紅茶を飲んで気持ちを切り替えたり、口寂しいときはビーフジャーキーなど噛みごたえのあるものや、寒天ゼリーなど低カロリーのものがおすすめです」(森さん)
今年はおやつで美も健康も手に入れよう!
教えてくれた人
森由香子さん/日本抗加齢医学会指導士、古谷彰子さん/愛国学園短期大学非常勤講師
※女性セブン2022年1月20・27日号
https://josei7.com/
●食事の2時間前のおやつがダイエットにいい理由「セカンドミール効果」を専門家が解説