精神科医Tomyの元気の出る金言【第16回 落ち込んでいる人への接し方】
落ち込んでいる人がいたら
ただ話を聞いてあげて。
意見も同調もいらないから
落ち着いて話せる雰囲気を
作ってあげてね。
* * *
無理に同調しなくていい
おはようございます。精神科医のTomyです。秋が深まり、ひとり物思いにふけっている人はいませんか? ちょっとおセンチになっちゃう季節かも知れないわね。
今日は、落ち込んでいる人や不安を抱えている人への接し方を取り上げます。身近な人が暗い表情をしていたら、力になりたいって思うわよね。
思いやりがあればどんな声がけも正解だけれど、少し注意が必要かもしれません。アテクシの考えでは、意見も同調もせず、真摯に話を聞くだけで相手はちょっと落ち着くと思います。「話を聞いてもらえるだけでうれしい」という時が誰でもありますよね。
話を聞きながら「そうだね」って無理に言わなくていいんです。「そうだね」って思っていない人に言われても微妙な気持ちになるのよ。
アテクシは精神科医なので、傾聴(耳を傾けて熱心に聞くこと)に力があると感じています。例えば、大切な人を亡くされて悲しんでいる人に医師として接する時も「うんうん」って聞くだけですが、次の一歩に繋がるのです。死別は人によってケースが違うので「こうした方が良い」とは言えないですよね。人の心だからわからない。
ご遺族がどうして辛いのかというと、亡くなった人との思い出の中、自分の心を整理していかなきゃいけないからです。ご遺族が何を求めているか、なぜわざわざアテクシに話したいのかっていうと、安心して話せる場所を探しているのよね。辛い時もそういう場所があれば、なんとか乗り越えて行けるので大切なことなの。
アテクシね、ご遺族の話を聞く時は、プロとして最初に保証するんです。「傷つけるようなことはしません。質問されたら『私だったらこうするかもしれない』とは言うけれど、『こうしなきゃいけない』『これはおかしい』とは言いません」という風に。安心して話せるとわかれば、2〜3回来て話していくうちに少し落ち着くことが多いです。
もし意見を求められたら、「私はこう思うよ」って正直に言えばいいだけです。違っててもいいんですよ。無理に同調するより、正直な態度がいいですね。励ましてあげようとトンチンカンなことを言うと、相手を傷つけたり疲れさせてしまったりするので要注意です。
暗い様子の人がいて話したそうだったら、安心して話していいよ、という雰囲気を作ってあげてね。何も言わずに聞いてもらえる場所があるだけで、その人はうれしいと思います。
あと、落ち込んでいる人に付け込む詐欺もあるみたいなので、気をつけてあげてね。
プロフィール
精神科医Tomyさん/1978年生まれ。国立大学医学部卒業後、精神科クリニックに勤務。診察する中で言葉の力に気づき、自身のつらい経験も生かして温かいアドバイスをツイッターで発信。たちまち話題になり、フォロワー現在、25万人を突破。作家・エッセイストとしても活動しながら、悩み多き人々に寄り添い続けている。
ツイッター:『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』 @PdoctorTomy
『もう、“言わずに我慢”なんてしなくていい! 精神科医Tomyの 言いたいことがラクに伝わる35の方法』(大和出版)
『精神科医Tomyが教える 1秒で元気が湧き出る言葉』(ダイヤモンド社)
取材・文/永田玲香