老後快適に暮らすための5つの注意ポイント|孫への出費、長距離の引っ越しもリスク
定年を迎え、現役時代にやり残したことを老後に始めたいと考えているかもしれない。しかし、収入も体力も低下する老後は、迂闊に手を出すと思いがけないトラブルを引き起こす危険も…。老後穏やかに暮らすための暮らしや人間関係について、注意すべきことを専門家に解説いただいた。
老後に”始めてはいけない”暮らしのルール
定年が人生の節目だからといって生活環境を大きく変えることは、快適な暮らしよりトラブルのもとになりそうだ。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが話す。
「夫に先立たれた場合、子供家族との同居を考えるケースはよくありますが、生活スタイルが合わずにストレスを抱える人がとても多い。
子供家族を実家に招き入れて同居を始めてしまうと、再びひとり暮らしに戻りたくても、どうすることもできません。いきなり同居するのではなく、お試し期間を設けて相性を確認するといい」
子供や孫とは適度な距離を置く方が、いい関係を保ちやすい。しかし、そこにも落とし穴はある。
孫がかわいいからと援助しすぎると…
「孫がかわいいからと子育てにまで口を出してしまうと、特に嫁などから嫌われることがあります。子育ての常識は時代とともに大きく変わっているので、なるべく口は出さないでおきましょう。
せめて入学や進学などのお祝いにお金を包むくらいはしてやりたいと思ってしまいがちですが、それもよく考えるべき。一度渡してしまうとそれ以下の金額に下げるのが難しいので、あまり奮発するのはやめましょう」(太田さん・以下同)
動物が好きな人もいるだろう。しかし、高齢になってから動物を飼うことは、自分を苦しめる結果となり得る。
「犬や猫も長寿になっており、15年以上生きるケースもあります。自分に万が一のことがあったとき、誰に託すのかしっかり決めておかないと、つらい思いをすることになる。そういったことを考慮して、シニアには動物を譲らない保護団体もあります」
老後だからとなんでもがまんする必要はないが、張りきってしまうとトラブルを招く。大事なのは、資格の取得を始め、老後を迎える前に準備をしておくこと。逆にいうと、老後まで準備しなかったということは、やらない方がいいと割りきる潔さも必要だ。
これまでに培ったスキルや人間関係は大切にしながら、無理のない範囲で人生の収穫期を楽しもう。
老後の「人間関係・暮らし」にまつわる注意点、上位5つを太田さん監修のもと、ランキングにまとめた。
老後の人間関係・暮らしにおける5つの注意点【まとめ】
【1】子供家族との同居
子供家族とはいえ、別々に暮らしてきた人々と生活スタイルをすり合わせていくのは想像以上にストレスがかかる。さらに意見が対立した際は、孫の手前、親の方が身を引かなければならないケースが多い。双方に溝が生まれ、良好だった関係にヒビが入ることもあり得る。
【2】長距離の引っ越し
知り合いのいない土地での再スタートは想像以上に孤独なもの。新たな土地で友人をつくれなかった場合、会話量が減少することから認知症のリスクも上がる。年齢を重ねて体力が衰えたとき、助け合える知人がいないことは孤独死などの原因にも。
【3】習い事
新たな趣味を見つけることは生活の張りになるが、大抵の習い事は月謝、機材費、交通費などで予算オーバーになりやすい。さらに、習い事を通じてできた友人の誘いを断れず、交際費がかさむというケースも。老後は収入が限られているので、本当に必要か見極めを。
【4】孫への出費
祝い事に包むお金や塾などの授業料の援助は、一度出してしまうと金額を下げにくくなったり、ほかの孫に対しても払わなければならなくなる。また、高額なお金を出してしまうと、「老後資金に余裕がある」と思われ、子供夫婦から頼られる回数も増えやすい。
【5】ペットを飼う
ペットの寿命も延びているいま、犬や猫は15年以上生きることも珍しくない。自身が病気で入院したときなど、すぐに預け先が見つからず、つらい思いをすることも。かわいがっていたペットとの不本意な別れで、晩年に心を痛めるのは避けたい。
教えてくれた人
介護・暮らしジャーナリスト/太田差惠子さん
※女性セブン2021年8月12日号
https://josei7.com/
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