R50記者のコロナ(インド型変異種・デルタ株)感染日誌「最初はのどに違和感、匂いが消えた…」
最初はのどに違和感…。ただの風邪かと思っていたら、コロナウイルスのインド型変異種、デルタ株に罹患していた記者。息子と夫と暮らす記者が、まさかの感染発覚から療養中の様子まで、克明にレポートする。
6月14日(月)筋肉痛、のどに違和感…
職場で作業しようと思っていたが、なんとなくのどに違和感があり、在宅ワークにする。土曜日に筋トレをしたせいか、二の腕のあたりが重い筋肉痛になっていた。このときはまだコロナだなんて1ミリも疑っていなかった。
6月15日(火)強烈なのどの痛み、PCR検査実施
朝起きたら、かつて感じたことがないのどの痛み。水も唾も、のみ込むのすらつらい。子供の頃よくなっていた扁桃腺炎か?と思う。
熱を測ると37.8度。「ま、まさか…」と思いながらも、念のためPCR検査をすることに。近所のクリニックでは風邪の症状でも熱がなければ保険診療でPCR検査(2000円)を受けられるとのこと。昼までには熱が36度台に下がったので、PCR検査を受けた。
のどの痛みについては、問診のみで炎症を抑えるロキソプロフェン5日分が処方された。
6月16日(水)陽性確定からの悪夢の1日
9:32 朝イチでクリニックから電話
クリニックから電話があり、「陽性と出てますね~」と淡々と告げられ、耳を疑う。
在宅ワークしていた夫に告げると、「はぁ?どこで感染したわけ?」と静かにキレている。夫は5年前に癌を経験しているので、感染したらまずい…不安がよぎる。
慌てて家中を消毒し、寝室に閉じこもった。のどはヒリヒリするし、体の節々が痛む。36度台と37度台を行ったり来たりと微熱が続き、じわっと全身に汗をかいている。
11:18 保健所から連絡
保健所の保健師さんがおっとりした口調で、
「綾野さん(記者)は変異株でしたねえ、L452-Rですよぉ」と言う。
まさかのデルタ株?
保健師さんいわく、由来までは特定されていないとのことだが、L452-Rはインド型の変異種、デルタ株などを含むとされ、非常に感染力が強いといわれる。
厚労省の資料※によると、L452-Rは、WHOの呼称が「デルタ」、早期の検体例は、「インド」となっている。
※厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応」資料4(6)より。
――保健師さんが丁寧に説明してくれたのでまとめると、
・発症日は、あきらかな症状が出た日→熱が上がった15日火曜
・発症の2日前までに会った人が濃厚接触者
・熱が38度以下の軽症者は自宅かホテル隔離による療養10日間
・隔離療養後11日目から復帰可(PCRの必要はなし)
・家族は発症日から2週間自宅隔離
・家族のPCR検査は、無症状の場合は発症の5日後、症状が出たらすぐに受けること
そして、発症から2週間前の行動を細かく詰問された。
振り返ってみれば、発症の10日前に立ち飲みバーに地元の友人と行った。スポーツクラブで普通に運動はしていたし、発症の3日前は筋トレをして、全身が筋肉痛だったので、体が痛いのは筋トレのせいとばかり思っていたが、節々が痛いのはコロナのせいだったのだ。
甘かった行動の数々が頭をよぎり、枕につっぷしてジタバタした。
職場で会話をした人や発症前に行動を共にした友人らに連絡したが、幸い、みんな体調に変化はないという。それがせめてもの救いだ。
私は、ホテル隔離を希望した。
その後、中学校に通学していた息子を帰宅させ、自室隔離。家族全員で部屋に引きこもる。
夫にお弁当を買ってきてもらい、各自部屋で食べることにした。
まったく食欲がないが、納豆巻を食べたが納豆の臭み、というか風味がない。のどが痛いせいか、それともこんなに早く後遺症といわれる味覚・嗅覚障害が出るものなのか?
17:30 夫が発熱「俺もうだめかも」
「俺もだめかも…」と、夫が訴える。熱を測ると38度超えたという。すぐにPCR検査に行ってもらう。
19:30 息子も発熱「俺も37度超えた~」
息子も平熱と微熱を繰り返しており、安定しない。ああ、家庭内パンデミックか。
私の陽性が判明してからは、各自部屋を分け、入浴は一番最後、トイレは出たら消毒、ドアノブ、スイッチ類もすべて消毒していたが、時すでに遅し…か。
この日の夜、風呂に入ったら熱もないのに背中がぞわぞわして悪寒が走る。のどの痛みは続いている。寝ているとパジャマの首元がぐっしょり、汗をかいている。
6月17日(木)夫が陽性、息子もPCR検査へ
発症した日から毎朝、10時~11時の間、保健所から健康観察の電話がかかってくる。
夫が発熱したことを伝え、もし夫が陽性だった場合、ホテル隔離か病院への入院をお願いしたい、と申し出る。保健所と都の連絡連携が早く、いつ電話してもこちらの状況を把握しているのは安心だった。午前中、息子もPCR検査を受けさせ、結果は翌日。
昼過ぎには、夫の陽性連絡がきた。ヤバい…。
午後に東京都の宿泊隔離調整担当者から連絡が入り、ホテル隔離療養の段取りについて、以下のように説明される。
・宿泊施設の調整に約1日
・ホテルへの移動は送迎車で、“あいのり”の可能性あり
・当日の朝送迎の時間が決まり、時間は正午から16時半の間
・部屋では食事をとりに行く以外外出不可
洗濯はどうするのか聞いてみると、
「みなさまお風呂のお湯などで洗濯なさっているようです。Wi-Fiは繋がりますので、パソコンをお持ちになる方もいらっしゃいますね」とのこと。
都内のとあるホテルに決まったと連絡を受けたが、夫が陽性だったので、私は自宅療養にして息子と家で過ごすことを伝える。
夕方、カレーパンをかじってみると、カレーの刺激やスパイシーさがまるでなく、なんだか粘土を食べているようだ。
嗅覚はどうだろうと、香水やアロマオイル、ハッカをかいでみると、まったく匂いがしないので驚く。こんなに強い匂いがしないなんて!
6月18日(金)息子だけ奇跡的に陰性
昼過ぎに病院から連絡があり、息子まさかの「陰性」。本人も「俺はコロナだ」と友人とのグループLINEで呟いていたらしく、学校で波紋を呼んでいたようだが、何はともあれホッとした。
こうなると、1人でもコロナ患者を家から減らしたほうがいいだろうということで、夫はホテル隔離を決めた。
正直、感染を気にしながら息子のご飯や洗濯、夫の食事を作り分けることで私もヘトヘトだった。
熱が下がらない夫に保健所が言うには、熱が38度以上あるとホテル療養中でも入院に切り替わるそうで、まずはアセトアミノフェン系の解熱鎮痛剤をのんで、熱を下げてくださいとのこと。
2時頃保健所の人が来訪し、パルスオキシメーターが届く。指に挟んで血中酸素飽和濃度を測るものだが、測ってみると、夫も私も97だった。
保健所の人いわく、95を下回ると肺の酸素が少なくなって炎症を起こしているかもしれないとのこと。何度か85と出て焦ったが、深呼吸すれば戻りますよ、とのこと。深呼吸して落ち着いて測ると97になった。
6月19日(土)朝から微熱で1日中寝ている
朝イチ、保健所の健康観察。
朝起きてから体がドーンとだるく、37.3度だった。1日中ごろごろしていたら、あっという間に夕方だった。
この日はあまり食欲もなく、夜は温かいうどんを作って、各自部屋で食べる。温かい汁ものは体が温まる。昼間あれだけ寝ていたのに、夜も良く眠れた。
6月20日(日)段ボール3箱分の大量の食品が
朝イチ、保健所の健康観察。昨日1日中寝ていたおかげか、体の痛みが取れ、回復を実感する。
10時頃、東京都から療養中の配食サービスが届く。玄関前に段ボール箱3箱!赤、青、黄の紙テープが張られ、ビニールでコーティングされていた。段ボールを開けてみると――。
33品目もの食材が大量に届いて驚いた。中に自宅療養のガイドも入っていた。ちょっと驚いたのは、乾燥わかめ(9袋)やカップ焼きそば大盛り(7個)。そうかと思えば、介護食なんかも入っている。
正直、まったく食欲がないが、中華丼なら食べられそうな気がして、パックご飯に温めてかけて、夫と少し食べる。
昼過ぎには、自宅前に白いバンが止まり、13時半頃に夫がホテル隔離療養へ向かった。息子は自室のドアを少し開け、廊下から夫に手を振っていた。
重症化したらもう会えないという言葉は飲み込んだ。
――以下、後半に続く。
※後半は7月6日頃公開予定。
文・撮影/綾野真
※個人の体験の基づく記事です。また、2021年6月現在の状況による内容ですので、今後、自治体により対応は変更になる可能性もありますことをご了承ください。