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健康

心不全、狭心症、脳梗塞…大きな病気の兆候かも知れない「超初期症状」一覧

 外出自粛やテレワークの影響でコロナ太りや体力の低下を感じている人は多い。しかし、こうした小さな不調や体の変化が、実は大きな病気の兆候の可能性がある。と、専門家は話す。自分の命を守れるかどうかは、その兆候に気づけるかどうかにかかっている ――

息切れやむくみ…体が助けを求めるサインかも!?

「長引く自粛生活で3kg以上太りました。そのせいか2階の寝室に上がるだけで息切れがするし、足もむくんでパンパン。ストレスでつい食べてしまい、鏡を見るたびにがっかりします」

 ため息をつきながら話すのは都内在住の主婦・青木ひとみさん(仮名・52才)。

 日本で新型コロナウイルスへの感染が確認されてから、1年半が経とうとしている。外出自粛やテレワークの影響で青木さんのようにコロナ太りや体力の低下を感じている人は多い。しかし、こうした小さな不調や体の変化が、実は大きな病気の兆候の可能性がある。慶應義塾大学病院心臓血管外科・診療科部長の志水秀行さんが警鐘を鳴らす。

「息切れやむくみは、心不全や狭心症など心疾患の初期症状の場合があります。巣ごもり生活は心疾患リスクが高まるうえ、生活サイクルが変化したことで、そのサインを見落とす人が増えています」

 気をつけるべきは心臓だけではない。菅原脳神経外科クリニック院長の菅原道仁さんは脳の病気リスクを懸念する。

両者に共通するのは血管のつまりが原因であること。日本人の主な死因は、多い順にがん、心臓の病気、肺炎、脳の病気。心臓だけでなく、脳にも気をつけてほしい。心臓も脳も、血管の病は動脈硬化が進むことが要因です。巣ごもり生活には、そのリスクを高める要素が非常に多いのです」(菅原さん)

心臓と脳の病気「超初期症状」一覧

 少しでも以下に当てはまる場合は、迷わず病院へ行き、受診してもらおう。

心臓と脳の病気「超初期症状」一覧

部位:心臓

●狭心症
・ちょっとした動作の後や安静時にも冷や汗や動悸
・息切れなどが15分続くが、休んでいるうちにおさまる

●心不全
・手足のむくみ、冷え
・靴がきつくなった
・指輪がはめられなくなった
・せきが出る
・階段や坂道での一時的な息切れ
・疲労感。

●心筋梗塞
・運動をしていないにもかかわらず、胸の中心あるいは左側に鉛の塊をのせたような重苦しさが30分以上続く
・冷や汗
・吐き気
・呼吸困難
・激しい脈の乱れ

●動脈解離
・部位によって痛みを感じる場所が違う
・胸部大動脈解離では背中に、腹部大動脈解離では腰から背骨に沿って、腸管動脈であれば腹部に猛烈な痛みがある。

部位:脳

●脳梗塞
・まぶたの下垂
・片方の手足や顔半分のまひやしびれ
・ろれつが回らない、言葉が出ない
・相手の言うことが理解できない
・ものがが二重に見える
・視野が欠ける
・体のバランスが取れず自転車に乗れない
・料理の手順がわからない。

●くも膜下出血
・激しい頭痛。まれに視覚障害も

食生活の変化も重症リスクを上げている

 巣ごもり生活は、感染リスクを下げて体を守るための行動のはずだが、別の重病リスクを上げてしまっている。志水さんはその理由に「食生活の変化」をあげる。

「運動不足になる一方で、行動が制限されているゆえに楽しみが“食”に集中してしまい、間食が増えたり、普段より高カロリーのものを多く摂ってしまったりする。患者の中には、自粛期間中に数㎏太ったという人も少なくありません。食べすぎは体重の増加に加え、高血圧やコレステロール値の上昇を招く。これらはいずれも動脈硬化の原因にもなっているのです」(志水さん)

受診することも立派なコロナ対策

 病気のリスクが上がっているにもかかわらず、発見できる機会は減っている。

「巣ごもり生活のため、病院の“受診控え”をする人が多い。定期的に病院に通ってチェックしていれば未然に防げるはずの病気が、見逃されてしまっています。実際、心不全を起こして即入院になったケースや、久しぶりに検査をしたら動脈瘤が予想以上に非常に大きくなっていたケースなど、受診を見送ったことにより重症化してしまう例は少なくありません」(志水さん)

 さらに恐ろしいのは、この兆候に気づかないまま、さらにコロナに感染した場合、重症化のリスクが格段に上がってしまうことだ。

 国立循環器病研究センター呼吸器科医長の佐田誠さんが解説する。

「これまでの報告によれば、コロナに感染した人はもともと循環器の病気だったという割合が大きく、こうした患者は感染後、重症化しやすく死亡率も高くなることもわかっています。理由の1つに、循環器に疾患があって動脈や脳血管がすでに狭くなっている人は、コロナ感染による血管障害や血栓症の影響をより受けやすいことがあります。もちろんほかの感染症でも同様のリスクがありますが、心臓や血管に直接感染する可能性があると考えられているコロナでは、さらに影響が大きいといえるでしょう」

 言い換えれば、循環器病の兆候に早く気がつき、予防や治療をすることはコロナ対策にもつながるということだ。

教えてくれた人

志水秀行さん/慶應義塾大学病院心臓血管外科・診療科部長、菅原道仁さん/菅原脳神経外科クリニック・院長、佐田誠さん/国立循環器病研究センター・呼吸器科医長

※女性セブン2021年6月10日号

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