母親の通院に付き添える人がいない!そこで初めて介護保険「外」サービスを利用してみた! R60記者の実録ルポ
介護認定を受けることで介護度に応じてさまざまな公的な介護保険サービスを受けることができるが、いざというときに必要なサービスが使えないことも…。そこで90代の母親を通いで介護しているR60の記者が、初めて介護保険外サービスを利用してみた実録ルポをお届けします!
母の通院に家族が付き添えない!
母親(90代)を通いで介護している記者だが、どうしても家族の都合がつかず、母の通院に付き添えないという事態が発生!
そこで、母の病院付き添いをケアマネジャーに相談してみたところ、
「病院への送り迎えは介護保険が適用されますが、院内の付き添いは適用外のため待機時間とみなされ、すべて自費扱いになります」とのこと。
母のケアプランには病院の送り迎え(通院介助)も含まれているのだが、そのサービスは使わずに、これまでは、記者がなるべく付き添ってきた。
歩行がおぼつかない母の場合、送迎時だけでなく病院内も介助をしてもらう必要がある。たとえば病院では検査室、病室、会計にいたるまでさまざまな場所への移動を母ひとりで行うのは危険な場合もあるだろう。病院スタッフが介助してくれる場面もあるだろうが、特定の患者にずっとつきっきりになるというわけにもいかないはずだ。
こういった理由で、母の通院には必ず記者、もしくは家族が対応してきたのだが、今回のように誰も付き添えない、または付き添えてもうまく介助ができないなどの場合、やはりプロの介護ヘルパーさんにサポートしてもらいたい。そして、できれば介護保険を利用し少しでも費用を抑えたいもの。
母が利用している介護事業所では、介護保険外サービスも対応しているため、介護保険適用の「通院介助」と組み合わせて使う形になるという。
母が介護保険で使えるサービスは、通院介助が往復で1000円程度(片道500円、介護保険1割負担の場合)。しかし、病院に一歩足を踏み入れた後は、介護保険「外」サービスとなり、1時間につき3300円の全額が自費負担。母の場合病院の待ち時間も考えると2時間ほどかかるので、介護保険外では6600円かかるので、合計で7600円になる。
今回は、やむなくケアマネに介護保険外の利用を追加する形で相談してみたところ、今度はなんと、その日にスケジュールが合うヘルパーが見つからないと言われてしまった。
そこで、困った記者は、初めて民間の介護サービスに依頼してみることにした。
→介護保険で利用できるサービスの種類、施設は?|【介護の基礎知識】公的制度<2>
民間の介護保険外サービスを初めて体験
病院の予約日が迫っていたことから、記者が依頼したのは手短にネットで申し込める民間介護サービス『クラウドケア』のスポット依頼。
依頼内容をWeb上で入力して申し込むと、最適なヘルパーがマッチング・派遣されるシステムだ。
民間介護サービスの多くは、週1回など定期的にサービスを提供するものと、単発依頼に対応するものなどサービス内容も価格も多種あるため、ニーズに合ったものを選びやすいことが特徴。
依頼したい日時や内容、要介護者の状態や既往歴などを細かく記載できるようになっている。
要望の記入欄には、「ヘルパーさんには介護のベテランで穏やかで会話好きな女性を希望」という内容を書き込んだ。
すると2時間ほどでヘルパーさんがアサインされたと事務局からメールがあり、その後、担当するヘルパーさんともメッセージでやり取りできた。
当日は、初回であるということで、心配だった記者は、最初のみ見守ったところ、派遣されて来たのは40代の介護士資格を持つ明るい女性の介護へルパーさんだった。
はじめは緊張していた母も、すぐに打ち解け昔話などペラペラおしゃべりするまでになった。その後、病院までタクシーの乗り降り介助、院内付き添い、帰り道で食材の買い物をし自宅まで送ってもらうまでの3時間、ずっと楽しく過ごせたという。
「普段どうしてもご家族と話すだけになりがちで生活が単調になってしまいますが、私たちのような他人と話をすることで良い刺激にもなります。介護保険内で対応できない事や時など、民間介護サービスもうまく活用していただきたいですね」と、担当いただいたヘルパーさん。
身体介助という物理的なサポート役としてももちろん助かったが、何しろ母がいきいきとヘルパーさんと話している姿が嬉しかった。
→介護保険外サービスは1時間3000円が目安 その種類と賢い利用方法「模様替え、買い物代行、病院の介添えも」
今回かかった費用と内容【まとめ】
※『クラウドケア』でヘルパーさんを依頼した記者の場合。
依頼内容:要介護1の母(90代)の通院介助、院内介助、買い物付き添い
依頼時間:3時間
要介護者状況:サポートカーを押してゆっくり歩行ができる程度。タクシーの乗降時、椅子からの立ち上がり時など介助が必要。
・かかった料金
通院介助・院内介助・買い物付き添い3300円/1時間(介護保険適用外)×3=9900円
ヘルパー派遣時の交通費 880円
合計1万780円
ケアマネを通じて介護保険サービスと保険外サービスを併用した場合と、すべてを民間の介護保険外サービスを利用した場合(3時間)の差額は3180円だった。
依頼したい日に買い物も追加するなどのカスタマイズできる点など考慮すると、費用対効果はあるだろう。
しかし、一方で長期に渡る介護生活にかかる費用を考えると、毎回、介護保険外サービスを利用するには、コストがかさむ。記者の場合、介護保険外サービスは、困った時の“切り札”として利用するのがいいと感じた。
依頼するサービス会社を選ぶ際には、信頼度や派遣されるヘルパーの評判などを調べて、安心して家族を任せられるところを探すことが大切だろう。
【データ】
■クラウドケア
https://www.crowdcare.jp/
会員登録すればネットで24時間、依頼の申し込みができる。最短1時間の利用も可能。リクエストに応じたヘルパーがマッチングされ派遣される。
・利用の流れ:会員登録、依頼の申し込み、決済までネットで完結。ヘルパー派遣まではメールで事務局、ヘルパーとメッセージでやり取り可能。利用後も感想などをフィードバックできる。
・料金:定期依頼(週に1回以上) 2750円/1時間、スポット依頼(必要なときだけ) 3300円/1時間、ヘルパー派遣時の交通費 880円
支払いはクレカ決済か事前のコンビニ払い、ペイジー払いを選択できる。
・サービス提供地域:東京都、神奈川県、埼玉県・千葉県の一部。
・派遣されるヘルパー:介護士資格保持の人、介護知識を学んだ人など。
・問い合わせ先:クラウドケア 0120-972-790
***
ほかにも記者が気になった病院内の介助も頼める民間の介護保険外サービスをご紹介する。
■ダスキン ライフケア 遠距離介護も対応
全国展開のため地方に住む親の遠距離介護などにも便利。サービス提供時間内であれば、介護も家事も同一料金で頼める。利用時間は2時間からで夜間の見守りや同居家族の家事手伝いも可能。
・利用の流れ:電話やネットで依頼。初めにスタッフが訪問し利用者の身体的状況や依頼をヒアリングし、その後、最適なヘルパーが決まる。
・料金:基本料金 9900円~/2時間より(【適用条件】月8時間以上利用の場合)、スポット料金 1万3200円~/2時間より(基本料金の【適用条件】を満たさない場合)、サービス移動費 550円~/1回訪問つき
※上記は東京・神奈川の料金で、地域により異なる。
※深夜・早朝(18:00~翌朝9:00)、土日祝日は料金体系が異なる。
※支払方法は、自動引き落とし・振込・集金の3種から選択。
・サービス提供地域:全国のダスキンの自費介護サービス提供の事業所(一部対応できない地域があります)。
・派遣されるヘルパー:ダスキン独自のノウハウを生かした研修プログラムを受けたケアスタッフ。
・問い合わせ先:ダスキン コンタクトセンター 0120-100-100
■ツクイ PRIME ONE(プライム ワン)暮らしのサポート 最短30分からサービスを提供
家事代行などの「ライフサポート」のほか、通院介助や入退院サポートなどをしてくれる「ケアサポート」ではニーズに合わせたヘルパーが対応する。最短30分から依頼することができ、利用しやすいのが特長。
・利用の流れ:ネットや電話で申し込み。ヒアリング訪問を経て事前に設計したプランに基づき、サービスが提供される。
・料金:30分1870円、1時間3300円、1時間以降30分単位1650円、1回あたり550円の出張料がかかる(公的保険と連続しない利用の場合のみ)。
ツクイの介護サービスに追加して利用する場合は、介護保険の請求に併せての請求となり、単発依頼の場合は、基本的に口座引き落としとなる。
・サービス提供エリア:全国のツクイの介護保険外自費サービス提供の事業所。
・派遣されるヘルパー:ヘルパー資格を持つスタッフ、介護知識を学んだスタッフなど。
・問い合わせ先:ツクイ 事業開発部 045-842-4183(電話受付時間 月~金/9:00~17:00)
***
介護する側も高齢化していく中、介護保険「外」サービスもうまく併用することで、介護生活を乗り越えていきたいもの。同時に病院内の付き添いも保険適用となれば、要介護者とその家族が助かるとも感じた。
取材・文/本上夕貴
●4月から介護保険料アップ!保険料が2倍に上がった70代夫婦の相談実例【FP回答】