ヒロミ、テリー伊藤も…急増する男性の更年期障害 ここにもコロナの影響が
いままで風邪ひとつひかなかった夫が、原因不明のめまいや動悸を訴える、それはもしかしたら更年期障害が原因かもしれない。女性特有という印象が強い更年期障害だが、男性患者も年々増えており、コロナによるストレスの影響でその人数は急増しているという。驚くことに、毎日テレビで元気な姿を見せてくれている男性芸能達も更年期障害に苦しんだ時期があったと話す。どんな症状だったのか、実際の話を聞いてみよう。
「急にフラフラしてきた…」ヒロミさん
「おれも何年か前、更年期障害だと思うんだけど、動悸とかあったよ。ずっと薬のんでたもん。ほんと、フラフラしちゃったりとか」
3月30日に放送された『バイキングMORE』(フジテレビ系)で更年期障害を告白したのは、タレントのヒロミ(56才)。
50才を過ぎた頃から突然のふらつきや動悸に苦しめられるようになり、薬が手放せない状態に。一時は、仕事以外の外出を避けるほどだったという。
更年期症状の経験から妻・伊代さんがサポート
夫の窮地を救ったのは、妻の松本伊代(55才)だった。
「実は伊代さんも2015年頃に更年期の症状が強く出て、のぼせやイライラに悩まされた時期があったんです。そんなときに『ママ、たまには湯船につかってリラックスしたら』と自宅のバスルームを改装したのがヒロミさんでした。夫の体調不良を知った伊代さんは、『今度は私が助ける番』とばかりに、更年期の症状を和らげる食事にするなどして、サポートしたそうです」(芸能関係者)
いつも元気な印象の中居正広さんにも異変が!
更年期障害は女性特有のものというイメージがあるが、男性が発症するケースも少なくない。
「自分でもよくわからないんですが、収録が始まってから10分ぐらいの間にね、猛烈な汗をかくのよ」
2017年1月、ラジオ番組でこう話したのは中居正広(48才)だ。収録開始から10分ほどで、額や背中、首の後ろに大量に汗をかいてしまうことを明かし、原因を調べてほしいと聴取者に訴えた。
異常な発汗は更年期の症状の1つ。SNSには、中居の体調を心配する投稿が相次いだ。
「やる気はあるんだけどなんだかだるくって」美川憲一さん
ほかにも、2018年3月には、美川憲一(74才)がテレビ番組で、原因不明のだるさや不調など、更年期の症状に悩まされていると明かしている。
コロナ禍で男性の更年期障害が増加
男性の更年期障害がコロナ禍で急増していると話すのは、順天堂大学附属病院泌尿器科教授の堀江重郎さんだ。新型コロナによる生活の変化が引き金になっているという。
「男性の更年期障害は、テストステロンというホルモンの減少で起こります。このホルモンは、加齢や運動不足、ストレス、達成感や他人からの評価が得られない環境が続くと減ってしまう。コロナ禍での在宅勤務や業績悪化、外出の自粛によってテストステロンが減少し、心身の不調を訴える男性が増えています」
テストステロンは、「意欲」や「認知力」、「筋力」などにかかわるホルモンだ。
「人間のやる気を促し、筋肉や骨格を増強して、認知機能の維持にも役立つ重要なもの。この増減には遺伝より環境が大きく影響します。たとえば会社の仕事が面白くないと達成感が得られず、テストステロンの分泌が減ります。一方で仕事がうまくいって周りから評価されると、多く分泌される。ホルモンが増えるとますますやる気になり、逆に減るとさらに意欲が低下するという悪循環をもたらします」(堀江さん)
コロナ禍、夫が更年期障害だと診断されたケース
都内在住の河合陽子さん(仮名・56才)もコロナ禍で発症した夫の更年期障害に悩まされた1人だ。
「まず、エアコンの設定温度で言い争いになりました。私と娘は長袖を着ているのに、夫が『暑い、暑い』と文句を言って設定温度を下げてしまう。仕事にも集中できずカリカリしっぱなしで『うちもコロナ離婚かも…』と思いました。次第に夜中にトイレで何度も起きるようになり、動悸がすると言い出したので、“いくらなんでもおかしい”と病院に引きずって連れていったら、更年期障害だと診断されました」(河合さん)
河合さんの夫は、症状が出てすぐ気づくことができたが、男性にも更年期障害があるということを知らず、長年苦しむケースもある。
10年以上苦しむケースも
「平均的に女性の更年期はエストロゲンというホルモンの減少が原因で、閉経前後の40~50代で起こり、5年ほどで終わります。一方で、男性の更年期障害の場合は、40才くらいから70~80代まで幅広い年代で症状が出ることがある。閉経のような明確なきっかけがないので、10年以上苦しむかたもいます」(堀江さん)
テリー伊藤さん「どんな女性にもときめかなくなっちゃった」
実際に更年期を迎えると男性はどうなるのだろう。
「“体になにか変化がきたな”と思ったのは、50才になった頃でした」
そう振り返るのは、演出家のテリー伊藤(71才)だ。
「以前は夏場だとTシャツ1枚で過ごしていたんですが、急に寒気を感じ、長袖を着るようになりました。もっとビックリしたのは、雑誌のグラビアページを見ても心がときめかず、袋とじを破かなくなったことです(笑い)。好きな音楽を聴いたり、町の景色を見ても感情が動くことがなくなって、“おかしい、おかしい”と思っていました」
知人のアドバイスで大学病院を受診すると、「更年期障害かもしれないので、仕事をセーブするように」と告げられた。
「当時は明らかにオーバーワークで心身のバランスを崩していた。体温調節がうまくできなかったり、トイレが近くなっていたりしたのは、男性更年期の症状だったようです。医師のアドバイスを受けてからは極力、太陽の光を浴びて、散歩などで体を動かすよう心がけました」(テリー)
変だな? と思ったら即病院へ
生活習慣を見直すと、5年ほどで症状が寛解した。テリーは早めの治療を呼びかける。
「正直、男の更年期障害と言われてもピンとこなかったけど、さまざまな体調の変化は男性にとっても深刻な問題です。症状があって“なんか変だな”と思っている人は、早く治療した方がいいですよ」
教えてくれた人
堀江重郎さん/順天堂大学附属病院泌尿器科・教授
※女性セブン2021年4月29日号