猫が母になつきません 第257話「まだかわく」
「喉がカラカラになって目が覚める」。母がそう訴えるようになって数か月。最初はお茶が古いせいだと言い、次にコーヒー豆のせいだと言い、その次には水がよくないから水質検査をしたほうがいいと言い、私はその度に「口を開けて寝るせいだよ」と母が寝ている状態を説明するのですが、母はどうしても納得しません。いつもの「こうだと言ったら聞かない」パターン。病院に行くと言い出したときも、それで納得するならと送り出す。なんで一緒に来てくれないのと口にはださないものの不満そう。病気じゃないのはわかっています。母が口全開で寝ているところを写真に撮ってつきつけてやろうと思いながら、近づくと口を閉じたりしてなかなかいいショットが撮れない。お出かけから戻って昼寝しているところを狙っていい写真が撮れたので、あとで母に見せると「おかしいわねー」と。病気でもなく、水のせいでもないことになかなか納得しない。口を閉じて寝さえすればカラカラにならないわけで「マスクして寝れば?」「寝苦しいわっ」。「口が開かないように貼って寝るテープがあるよ」「殺す気かっ」。それでもカラカラの原因はしぶしぶ認めたようで、最近は歯医者さんに行ったときに待合室に置いてある「舌トレーニング」の本を見たりしています。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。