猫が母になつきません 第255話「はじまる」
はじまりました、梅仕事。母が毎年漬ける梅干しがまったく減らないことに耐えかねて去年から始めた梅シロップ作り。シロップができた後にとりだした梅もジャムと梅味噌にしてセットでご近所や友人に配ると好評で、あっという間になくなりました。今年もこの手でいくぞーと、梅が採れ始めるやいなや保存瓶と氷砂糖を準備。梅干しにするスキを与えず、黙々と作業を進めます。母も黙って大量の梅のヘタ取りに参戦。これほど私たち親子がひとつの目標に向かって突き進んだことがかつてあったでしょうか。仕込んだ保存瓶は6個ほどに。去年途中で発酵させてしまったので、今年はリンゴ酢を加えてみました。発酵しにくく、すっきりした味わいになるらしい。しばらくは毎日2〜3回瓶をぐるぐるまわさなくてはいけないのですが、それも苦ではないぞかわいいやつらめ、とあらためて瓶を見ると1個だけつけたばかりなのに半分くらいの深さまで水分があがってきている…え?なんで??早すぎる…。混乱して母に何かしたか聞くと、消毒用に買っていたホワイトリカーの残りを全部入れたと。えーっ!梅酒になっちゃうじゃん!しかも酢入り(泣)。同じ方向に突き進んでいると思ったのは私の幻想でした。
【関連の回】
第205話_「しんりゃくされる」
第206話_「うめしごと-その1-」
第207話_「うめしごと-その2-」
第208話_「うめしごと-その3-」
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。