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障害者控除で税金が安くなる?要介護の親を扶養している人は必読【FPが解説】

 要介護(要支援)の親を扶養しているなら、認定を受けることで障害者控除が適用され、税金を軽減できるかもしれない。制度の対象になる人は? 障害者控除を受けるときの注意ポイントとは?ファイナンシャルプランナーの大堀貴子さんに解説してもらった。

障害者控除とは

 障害者控除とは、市区町村に申請して認定を受けることで税金を減らすことができる制度のこと。障害者手帳の交付を受けていなくても、障害者控除を受けられる場合がある。

 対象となるのは、本人もしくは同じ家計で生活する配偶者や扶養している親族に障害があると認定された場合。収入から一定金額を差し引くことができ、所得税と住民税の額を軽減することができる。

障害者控除の金額は?

●障害者控除の金額※1

障害者:27万円
特別障害者:40万円
同居特別障害者※2:75万円

※1 出典/国税庁「No.1160 障害者控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm

※2 同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方です。

 例えば、特別障害者と同居する年収400万円(税率5%)の場合、障害者控除を受けることで所得税が約4万円減ることになる。

要介護の親は障害者控除の対象になる?

 障害者控除の対象となるのは、あくまで“所得税法上”の障害者に当てはまるかどうかだ。障害者に適用される制度は、障害年金や障害手当などもあり、対象となる範囲は重なる部分はあっても全く同じではない。以下で確認していこう。

所得税法上の障害者控除の対象となる人

 国税庁「No.1160 障害者控除」※1を参考に解説する。以下のいずれかに該当すれば所得税法上の障害者控除の対象となる。

【1】精神上の障害により物事の善し悪しが区別できない状態、できたとしても、判断して行動できない状態(医師の診断書により証明できるが、診断書の添付は不要)。この場合は、特別障害者に該当する。

【2】児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定で知的障害者と判定。重度の場合は特別障害社者に該当。

【3】精神障害者福祉手帳の交付を受けている人。このうち障害者等級1級と記載されている人は特別障害者に該当。

【4】身体障害者手帳を交付され、身体上の障害があると記載・このうち1級・2級と記載されている人は特別障害者に該当。

【5】精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上でその障害の程度が上記【1】【2】【4】に準ずると市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人。このうち特別障害者に準ずると認定を受けていると特別障害者に該当。

【6】戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人。このうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は、特別障害者となる。

【7】原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人。この場合は特別障害者となる。

【8】その年の12月31日時点で6か月以上にわたり身体の障害により寝たきりの状態、複雑な介護を必要とする(介護がなければ自ら排便等を行うことができない程度)人は特別障害者に該当。

市区町村の認定が必要

 上記のいずれかに当てはまる場合は、障害者手帳の交付を受けていなくても、障害者控除を受けられる可能性がある。その場合、主に【5】か【8】に該当するかどうかが判断基準になるだろう。

 ただし、この認定とは、要介護認定とは関係なく、市町村長等の所定の認定を受ける必要がある。つまり、要介護の親を扶養している場合、【5】の障害者に準ずる認定を市区町村から受けることで障害者控除を適用できる。

障害者控除を受けるときの注意ポイント5つ

 障害者控除を受けるには、まず障害者控除対象者認定を受ける必要がある。市区町村が指定する要件に該当していれば、市区町村の役所、役場の福祉や介護を扱う課に申請すれば認定を受けられる。

1.要支援は対象外になるケースも

 例えば、東京・立川市では、該当すると思われる人に申請書を発送してくれるサービスを行っているが、立川市のケースは稀で、自分で申請しなければならないことがほとんどだ。

 立川市の認定要件は、「要介護認定者(要介護または要支援)」「要介護認定の主治医意見書で障害高齢者または認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクに一定基準以上の記載がある」の2つの要件を満たす必要がある。立川市では、要介護だけでなく要支援でも要件を満たせば障害者控除の適用を受けられる。

 しかし、認定方法は市区町村で異なっており、要支援では対象外になる場合もある点に注意したい。

2.会社員の場合は確定申告が必要なことも

 認定は12月31日の現状で認定されるため、申請は12月31日以降となる。

 会社員の場合は、年末調整が12月初旬に行われることが多いため、間に合わない可能性が高い。年末調整に間に合わなければ、確定申告により控除を受けることになる。

3.毎年申請して認定を受ける必要がある

 この制度は、毎年申請して認定を受ける必要がある。

 なお、要介護の親と同居している必要はなく、扶養していれば適用を受けられる。扶養とは、扶養する親自身の合計所得金額が年間48万円以下(給与収入なら103万円以下)で、別居をしていたとしても生活費や療養費を負担していれば該当する。

4.施設に入所している場合は対象外

 同居のほうが控除金額は大きくなる。病気のための入院が1年以上と長期であっても同居に該当する。ただし、老人ホームなどに入所している場合には同居とはならない。

→高齢の親は扶養に入れると得か損か… 別居でも扶養できる?

5.確定申告で過去5年分も適用を受けられることも

 これまで障害者控除の制度を知らずに適用を受けていなかった場合でも、還付を受けられる所得税の確定申告は5年間まで遡ることができる。認定を受けて過去の分も申告するのがおすすめだ。

→マネー記事シリーズ一覧を見る

文/大堀貴子さん

ファイナンシャルプランナー おおほりFP事務所代表。夫の海外赴任を機に大手証券会社を退職し、タイで2児を出産。帰国後3人目を出産し、現在ファイナンシャルプランナーとして活動。子育てや暮らし、介護などお金の悩みをテーマに多くのメディアで執筆している。

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