軽失禁対策、男性は「シミが目立たない服を選ぶ」人が多数。女性はパッド利用者が多いが生理用品で代用する割合も高い!専用対策品の機能性訴求や社会通念変容が課題か|介護マーケティング研究所 by 介護ポストセブン
軽失禁(軽い尿もれ)は、加齢、骨盤底筋のゆるみ、特定の疾患などその原因はさまざまだが、悩みを抱えながら日常生活を送っている人は多いのではないだろうか?今回は、「軽失禁(軽い尿もれ)について実態と対策、性別ごとの意識調査」を実施、詳しく分析した。
軽失禁経験の有無や対策には、男女における差はあるのか、また、対策品の「購入者」は誰なのか、軽失禁対策商品や周囲の環境に求めることは何なのか、リアルな声をお伝えする。
■アンケート概要
調査主体:介護マーケティング研究所 by 介護ポストセブン
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査対象:『介護ポストセブン』会員組織『介護のなかま』登録者
調査期間:2025年4月18日(金)~5月6日(火)
有効回答者数:3,292名
【調査結果サマリー】
●女性では2人に1人、男性では3人に1人が軽失禁の経験あり
●対策をしている(していた)割合では、男女で大きな差がある
●「シミが目立たない服を選ぶ」男性と、「パッド・シートで対策する」女性
●対策品の購入者は「自分」が最も多いが、男性は「配偶者・パートナー」の割合も高い
●たとえ人から見られなくても「スタイリッシュなデザイン」を求める
●「社会で軽失禁対策が当たり前になってほしい」のは、男女共通の意見
※調査詳細一部抜粋
調査詳細
「軽失禁経験の有無は?」
●女性では2人に1人、男性では3人に1人が経験あり
「ご自身の軽失禁(軽い尿もれ)経験について教えてください」と質問したところ、「ある」と回答した割合が女性では51.23%、男性では31.18%となった(図1)。男性より女性の方が多いことから、妊娠や出産経験の有無が、多少なりとも影響していると推測される。
「軽失禁対策の有無は?」
●対策をしている(していた)割合では、男女で大きな差がある
「軽失禁に対策をしていますか(していましたか)」という質問では、「対策をしている(していた)」と回答した女性は72.31%に対し、男性は33.2%という結果になった。女性に比べると、対策している男性が圧倒的に少ないようだ(図2)。
「対策方法は?」
●「シミが目立たない服を選ぶ」男性と、「パッド・シートで対策する」女性
「軽失禁対策の方法を教えてください」と聞いたところ、男性では「軽失禁のシミが目立たない服を選ぶ」が47.76%と最多(女性はわずか8.30%)だった。女性では「尿もれケア用のパッド・シートを使う」人が61.85%で最多で、次いで「生理用ナプキン、おりものシートなどを使う」人が53.23%と何らかの製品を使用して対策していることがわかった。
女性は、生理用品の利用経験から、パッドやシートの使用に抵抗が少ないことが大きな理由のひとつと考えられる。一方で、尿もれ専用商品があるにもかかわらず、生理用ナプキンやおりものシートで代用している人が多い結果からは、メーカーによる専用商品の機能性やよさなどの商品訴求が十分ではないこともうかがえる。加えて、尿もれ対策品を購入する抵抗感は、男女共に根強くありそうだ。特に男性は、5割近い人が「シミの目立たぬ服を選ぶ」という回答で、いわば対策には消極的な姿勢がうかがえる結果だったが、「尿もれケア用のパッド・シートを使う」人が42.95%いることからは、専用商品には、一定の需要があり、積極的に対策している人は多数いることも判明した(図3)。
「誰が軽失禁対策品を購入しているのか?」
●「自分」と回答した人が最も多いが、男性は「配偶者・パートナー」の割合も高い
「軽失禁対策品を使用している方は、どなたが購入していますか?最も多い人を教えてください」という質問では、男女ともに「自分」と回答した人が最多となった(男性75.00%、女性93.87%)が、男性は、女性に比べると「配偶者・パートナー」と回答した割合が高く、購入を他の人に委ねる場合があることも判明した(図4)。
「軽失禁対策品に求めることは?」
●たとえ人から見られなくても「スタイリッシュなデザイン」
「軽失禁対策商品について、どんなことを求めますか」という質問では、男女ともに「スタイリッシュなデザイン」という回答が最多となった。あまり人目に触れない商品であるにも関わらず、デザイン性を望むところは非常に興味深い結果だ。紙おむつ同様、メーカーは、商品開発において機能性に加え、ユニークなデザインで差別化するという方法がヒントになり、また市場拡大の一助となるのではないだろうか。他にも「売り場の明示」や「サイズ展開」は男女問わず多く求められている(図5)。
「軽失禁対策で周囲の環境に求めることは?」
●社会で軽失禁対策が「当たり前」になってほしいのは男女共通
「軽失禁対策について、周囲の環境にどんなことを求めますか」と聞いたところ、男女ともに「社会通念の構築(軽失禁対策が当たり前と感じるような)」が最も多い回答だった。ほかに、「環境整備(サニタリーボックスの設置など)」や「知る機会の増加(使い方など)」といった声も男女ともに上位にあがり、「軽失禁対策をすることは特別なことではない」と誰もが感じられる社会が求められている。
一般的にサニタリーボックスは女子トイレには常設されているが、昨今、男性がパッド・シートを捨てる場所対策として、男子トイレでのサニタリーボックスの設置も徐々に増えてきた。しかし、未だ設置されていない場合が多いのが現状だ。この調査で、女性からも「環境整備(サニタリーボックスの設置など)」の声が多くあがったのは、性別にかかわらず社会全体の問題として捉えられているからではないだろうか(図6)。
→調査の全文・全データは、こちらをクリックしてお問い合わせください。
◆本調査結果を通じて
今回は、軽失禁について、性別ごとの実態調査と分析を実施した。「経験の有無」、「対策の有無」どちらとも男性よりも女性の方が多いという結果となった。
「対策方法」については、男女における違いが浮き彫りとなり、男性は「シミの目立たない服を選ぶ」人が最多で、対策に消極的な姿勢がうかがえる結果だったが、女性は「尿もれケア用のパッド・シートを使う」という積極的な対策をしている回答がもっとも多かった。女性は、生理用品の利用経験があるため、パッドを使うことに抵抗が少ないことが、一因と考えられるが、一方で生理用品を軽失禁対策に利用している割合が高いことも判明した。また、半数弱の男性が「パッドやシートを使う」対策をしていることから、専用商品は、使用経験のある人には、需要があり、機能性のよさがもっと伝わることで、もっと利用される可能性が高いことが示唆された。
対策品に対しては男女ともに「スタイリッシュなデザイン」の商品が求められ、機能性のみならず、見た目も重視されている。
男女共通で「軽失禁対策が当たり前」と感じられる社会になってほしい」という回答が、多かったことから、今後、ますますの社会通念の変化や、環境整備が求められていることがわかる。加齢、病気などさまざまな原因で起こる軽失禁。誰にとっても起こりうることとして、社会全体で受け止めるようになれば、より気軽に専用の対策商品を活用して、QOLをあげることができる。適切な軽失禁対策を早くから講じることで、介護などで紙パンツやテープ式おむつが必要になったときに、スムーズに移行することも可能になるのではないだろうか。
※掲載しているデータは調査の一部です。掲載していないデータや自由記述設問に寄せられたコメント詳細については、以下までお問い合わせください。お問い合わせの際は、企業・部署名をご明記ください。
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担当:小学館 広告局
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:【軽失禁(軽い尿もれ)について実態と対策、性別ごとの意識調査】(介護マーケティング研究所 by 介護ポストセブン)
https://kaigo-postseven.com/198440
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