コロナ禍の今こそ送りたい…はがき・手紙の書き方 文例付き
コロナ禍でおうち時間が増えたいま、なかなか会えない友人やお世話になっている人に、はがきや手紙で近況を知らせてはいかがだろうか。日頃書き慣れていなくても、基本の構成に従えば目上の人へも失礼なく書くことができる。はがきや手紙の正しい書き方や文例をマナー講師が指南。
はがきや手紙の書き方の正しいマナー
はがきも手紙も基本構成は、拝啓などの頭語を含めた冒頭のあいさつとなる「前文」+本題部分の「主文」+結びのあいさつの「末文」からなり、手紙の場合はこれに後付を加えるのが基本スタイルとなる。
「はがきや手紙を書くのはつい構えてしまいがちですが、定型のパターンに従えば意外に簡単。書き方のコツは、先に本題の主文を作り、それに定型化したパターンを加えて形を整えることです」(マナーアドバイザー・松本繁美さん、以下同)
親しい人には、はがきやカジュアルな便箋を使って横書きの手紙でもよいが、目上の人や改まった内容には縦書きの手紙がふさわしい。白無地の便箋と封筒に、筆記具は黒かブルーブラックの万年筆か水性インクのペンを用いること。
「手書きの場合、書き間違えたら最初から書き直すのが常識。線で消したり、修正液を使うのはマナー違反と心得てください」
はがきの書き方|季節の挨拶 文例
【1】前文(1、2行目)
頭語は省いてもよいが、時候のあいさつを簡潔に入れる。つなげて相手を気遣う言葉を必ず書く。時候のあいさつには慣用表現を使ってもよいが、相手の住む地域などに合わせて自分の言葉で書くとよい。
【2】主文(3~7行目)
用件を簡潔に述べる。品物を送る場合は、品物の概要や選んだ理由などを書くとよい。
【3】末文(8~最終行)
今後の友好を願う言葉や相手の健康を祈る言葉など、主文に合わせた結びの言葉で締めくくる。品物を別送する場合などは「まずははがきにて失礼いたします」「略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます」などと書いてもよい。前文で頭語を用いた場合は、頭語に対する結語を忘れずに最後に書く。
はがきの書き方|コロナという言葉を入れた文例※
会いたい人と会えないコロナ禍、葉書を送るなら以下のポイントに注意して。
【1】コロナ禍、新型コロナ、コロナ感染、コロナ(だけ)、どのように書いてもよい。
【2】日本中、世界中、感染に悩まされているため、葉書の相手も立場は同じ。気遣う言葉はしつこくなく、シンプルに。
【3】感染者数などが多い場合も、ネガティブな内容は避ける。
【4】具体的な希望など、ポジティブな話題を内容にする。
【5】お互いの地域の話題などは好ましい。
住所の正しい書き方は?
縦書きの場合
住所は郵便番号の右三枠分の幅に、差出人の住所と氏名は切手の幅におさめる。宛名は住所より大きな文字で、はがきの中央よりやや右寄りに書くとバランスがよい。
横書きの場合
住所を切手の約1~2cm下から書き始め、はがきの中央に宛名を書く。差出人の住所と氏名は、宛名よりも小さい字で右下に書く。
住所の数字の書き方は?
住所の「十」は、頭に来るときを除き省略する。
住所に出てくる数字には、縦書きなら漢数字、横書きなら算用数字を使う。漢数字で「二十一番地」「二十号」などを表記する場合は、「十」を省略して「二一番地」「二〇号」と書く。ただし、「十」が頭に来る場合は省略せず、「十三」などと表記する。
手紙の書き方|ポイントと例文
【1】前文(1~4行目)
頭語から始まり、時候のあいさつ、相手を気遣う言葉を続ける。頭語は行頭に合わせ、時候のあいさつは頭語の下に一文字分空けてつなげるか、改行して一字下げて書く。
【2】主文(5~10行目)
用件を書く。自分の近況を知らせながら、相手の近況を気遣う。用件に入る前に、「さて」「このたび」などの起こし言葉で文章の流れを整えてもよい。
【3】末文(最後の2行)
相手の健康や多幸を祈る。結語は頭語と対になる言葉を用い、文の下端に揃えるか1~2字上げて書く。
【4】後付(日付など)
日付は行頭から1~2字下げて書き、差出人の氏名は結語と下揃えで書く。宛名は行頭に揃え、大きめに記入する。1枚におさまらなかった場合、2枚目には後付を含まず、少なくとも2~3行以上の文章を書く。
洋封筒の住所・宛名の書き方
横書きの場合
洋封筒は宛名を中央に書く。封じ目は省略してもOK
住所は封筒の上3分の1くらいのスペースにおさめ、封筒の中央に宛名を書く。裏面の下部(中央下の三角部分の内側)に、差出人の住所と氏名を右揃えで書くとバランスがよい。日付を入れる場合は裏面の左上に小さく書く。封じ目の「〆」や「封」は省略してもOK。また、シールを貼ってもよい。
手紙の折り方
下から上に折り、二つ折りにする。
手紙の入れ方
山折り部分を下にし、便箋の表面と封筒の表面の向きを合わせて入れる。
和封筒の住所・宛名の書き方
住所は郵便番号の右四枠分の幅に、宛名は左三枠分の幅におさめる。裏面は、差出人の住所と氏名を左側に書くのが主流。日付を入れる場合は左上に小さく入れ、封じ目には「〆」または「封」と書く。
手紙の折り方
文章の書き出し部分が上になるよう、三つ折りにする。
手紙の入れ方
便箋を折り重ねた部分を手前にして封筒に入れる。
イラスト/細川夏子
初出:女性セブン2020年9月3日号に※部分一部加筆。
https://josei7.com/
教えてくれた人
松本繁美さん/マナーアドバイザー、エル・ステーションLTD.代表。企業研修のほか、専門学校の客員講師、メディアの監修でも活躍。
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