「脳疲労」を放っておくと老化が加速する!飽き、首や肩こりなどのサインに注意
毎日家事や仕事に追われてクタクタで、起き抜けなのに体が重だるい。いつの間にか深く刻まれたしわにシミ、心なしか気持ちも沈む──身も心も年老いたように感じるなら、あなたの脳が“がんばりすぎ”なのかもしれない。
その疲れ、体ではなく、脳かも
鏡を見れば、化粧でも隠せないシミ、しわ、たるみ。肩こりや腰痛、だるさ、手足の冷えに一年中悩まされている。最近は特に、なかなか疲れが取れない日々が続いて、いつもイライラ。なんだか最近、急に老け込んだ気がする──その原因は、「体」ではなく、「脳」の疲れによる老化かもしれない。
脳疲労で全身の老化が進む
脳科学者の杉浦理砂さんが言う。
「脳疲労を放置していると、全身の老化が加速します。臓器の働きや血液循環、体温調節、消化吸収など、体全体の機能を調節する自律神経の中枢は脳にあるのです」
体の疲れも衰えも、すべての根源は「脳」にある。
現代人はみんな脳が疲れている
「飽きた」「ぼーっとする」「首や肩がこる」は脳疲労のサイン
そもそも、「脳が疲れている」とは、どういうことなのか。都立駒込病院脳神経外科部長の篠浦伸禎さんは、脳疲労のサインの1つに、「飽き」があると言う。
仕事や家事に集中できず、突然「そういえば、昨日録画したドラマ、まだ見ていなかったな」などと、ほかのことを考えてしまった経験は誰しもあるだろう。これこそが、脳が疲れている証拠なのだ。
「“飽きた” “頭がぼーっとする” “首や肩がこる”というのは、脳疲労がたまっているサイン。“これ以上脳を使うと危険なので、休めてください”と、脳がアラートを出しているのです。無視して脳を使い続けると、食欲不振、味覚障害、不眠、不安、焦燥感、便秘、めまいなどの不調が表れる。この中の2つでも当てはまれば、脳疲労がたまっていると考えられます」(篠浦さん)
脳疲労の原因1:「がまんと忍耐」
では、何が脳を疲れさせるのだろうか。1つは「がまんと忍耐」だ。“毎日小言を言ってくる姑を笑顔でやり過ごす” “クレームばかりつけてくる相手と仕事をする”など、世間体や義務感でいやなことをがまんし続けていると、脳がダメージを受ける。
「人間の脳は、理性を司る『前頭前野』が発達しており、動物の中で唯一、理性で感情をコントロールすることができます。一方、感情の中枢である『扁桃体』は、快・不快、恐怖、不安、喜び、怒りなど、生き物本来のシンプルな感情を生み出している。素直な気持ちをがまんばかりして、扁桃体の過活動を抑制する前頭前野を酷使すると、疲弊して、感情のコントロールがきかなくなります」(杉浦さん・以下同)
さらに、認知機能や思考力、判断力が低下したり、意欲的でなくなるなどの“症状”も出てしまう。
「恐怖、不安、悲しみといったネガティブな感情の制御がきかない状態が慢性化すると、うつ病や認知症のリスクも高まる。さらに、ストレスホルモンの『コルチゾール』が大量に分泌されることで海馬の神経細胞が破壊され、記憶力が低下する恐れもあります」
脳疲労の原因2:同時に違う行動を取る「マルチタスク」
次に、テレビを見ながらスマホでメールを送るなど、同時にあれこれ違った行動を取る「マルチタスク」も、脳疲労の一因だ。
料理を何品か同時に作ったり、洗濯しながら掃除機をかけたりするのは“脳トレ”になるが、パソコン作業をしながらスマホをチェックするといった「メディアマルチタスキング」は、特に脳を疲弊させる。
「米・スタンフォード大学の研究で、こうしたマルチタスクを日常的に行う人は、行わない人に比べて、脳の機能が低下することがわかっています」
これに加えて、過去について思い悩むことも、脳を酷使するという。篠浦さんは「現代の日本人は左脳を使いすぎている」と指摘する。
「右脳は想像力や注意力、感情を司るのに対し、左脳は言語能力や計算能力、論理的な思考を司っています。日本人の暮らしはもともと感情を大切にし、人に同調する“右脳中心社会”。しかし、いまは理性的で計算高くなければ生きていけません。現代人は左脳を酷使して、疲れている人が多いのです」(篠浦さん・以下同)
いまや、脳疲労を抱えていない人はいないと言っても過言ではないということだ。
→「脳疲労」は認知症を招く!脳の疲れをとる方法|睡眠、アホエンオイル、マインドフルネス…
※女性セブン2020年8月20日・27日号
https://josei7.com/
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