むくみ、腰痛、肩こりなど5つの悩みを解消するストレッチ|ケアピラティス
腹式呼吸と胸式呼吸の2つを使い分けて行う「ケアピラティス」。正しい姿勢と呼吸をベースに、ストレッチや筋トレを行うこのメソッドを実践することで、肩こり、腰痛、胃腸の疾患など日常的な不調が改善されるいう。くも膜下出血で歩行困難になった77才の高齢者が歩けるようになったという事例もある。
ケアピラティスを考案し、今まで10万人以上を指導してきた花岡正敬さんに症状別悩みを解決するストレッチを伝授してもらった。 介護中で体のコリがなかなか治らないという人にもおすすめ!
基本の姿勢はこれ!
骨盤が起き、耳たぶ、肩、坐骨が一直線上にある。骨盤が起きているかのチェックは、お尻の下に手を置き、坐骨(お尻の先端の骨)が手にしっかりと当たればOK。
「パソコン作業の場合は、骨盤を起こした状態から股関節だけをほんの少し前に倒します」(花岡さん・以下同)
正しい呼吸法を覚える
●体を目覚めさせる「腹式呼吸」
腹式呼吸はお腹に手を当て、思いきりふくらませながらゆっくりと鼻から息を吸う。
次にお腹を凹ませ、お尻の穴を締めながら、口をすぼめて細く長く息を吐く。
活動するのに必要な胸式呼吸を正しく身につけよう。
次にお腹を凹ませ、お尻の穴を締めながら、口をすぼめて細く長く息を吐く。
●動ける体をつくる「胸式呼吸」
胸式呼吸はお腹とお尻の穴を締め、手を胸とろっ骨の下に当て、ゆっくりと鼻から息を吸う。
次に、胸を縮めながら口から細く長く息を吐く。
◇タオルを使うのがポイント
折りたたんだバスタオル2枚を足の間に挟むことで、内ももの筋肉を通して骨盤底筋に力が入り、骨盤が安定。
お悩み1:歩くとすぐに疲れる
「インナーマッスルと股関節の前の腸腰筋が衰えると、ちょっと歩いただけで疲れやすくなります。まずは腸腰筋の筋力アップを目指しましょう。一見、地味な動きですが、正しい姿勢と呼吸で行うと、わずかにももを上げただけでもきついと思います」。
ふだん筋肉を鍛えている人でも、実は筋肉の持久力がない可能性もある。この運動で持久力を養い、長時間歩いたり、階段の上り下りも楽々できる体力をつけよう。
基本の姿勢から手を椅子に置いて体を支える。息を吸い(胸式呼吸)、吐きながらゆっくりと右足のももを上げる。吐ききったら足を戻す(左も同様に)。
●NG!はこれ!
骨盤がしっかりと起きてインナーマッスルが働いていないと、効果はゼロに。「まずは腹式呼吸でインナーマッスルを目覚めさせてから再トライしましょう。
お悩み2:梅雨時のむくみに
湿度の高い梅雨は、一年の中でも体調不良になりやすい時季。水分や老廃物がたまりやすく、むくみに悩む人も多い。
「むくんだ足の裏側全体を伸ばして血流をよくしましょう。猫背タイプにも効果があります」
●足の裏側ストレッチ左右各20秒
椅子に浅く座る。左足を伸ばし、息を吸って吐きながら頭からお尻までが一直線になるように体を前に倒す。太ももの裏が伸びたら足先を上に向けて20秒キープ。胸式呼吸を続け、ひざが曲がらないよう注意(右も同様に)。
●かかと上げ左右各3回
基本姿勢に戻り、手で椅子の縁を掴みながら息を吸い、吐きながらゆっくりとかかとを上げる。上げきったところで5秒キープし、ゆっくりと下ろす。
お悩み3:腰が痛い
腰の痛みといっても場所はさまざま。ここでは、左右の腰につく腰方形筋(ようほうけいきん)と広背筋、背筋にある脊柱起立筋群をストレッチ。
「特に腰の両側ストレッチは、左右のバランスも整うのでおすすめです。右利きなら右側が縮み、左側が伸びきっているもの。意識的に、伸ばしている側で息を吸うイメージで胸式呼吸を続けてください」。
腰の中央ストレッチは、反り腰タイプの矯正にも効果がある。デスクワークや長時間座りっぱなしのときに行えば、背筋も伸びてすっきりする。
●腰の両側ストレッチ (左右各1回)
【1】基本姿勢から右手をまっすぐ上に伸ばし、左手は椅子の座面を掴んで体を支え、鼻から息を吸う。 お腹とお尻をしっかり締めて胸式呼吸を続けて!
【2】口から息を吐き、右のお尻が浮かないよう左手で椅子を押し右手をゆっくりと斜め前方に伸ばす。右脇から腰が伸びるのを感じながら20秒キープ(左も同様に)。
●ポイント!
お腹とお尻をしっかり縮めて胸式呼吸を続けて!
●腰の中央ストレッチ20秒
【1】基本姿勢から手でひざを持ち、鼻から息を吸う。
【2】口から息を吐きながら、首からゆっくりと背中を丸めていく。丸めきったところで20秒キープ。
お悩み4:肩がこる
●胸反らし20秒
椅子の背もたれの上にタオルを置く。手を頭の後ろで組み、背中を倒して胸を広げるように鼻から息を吸い、口から息を吐く。「腹直筋(お腹)、胸椎(背骨)が伸び、姿勢の改善にも◎」。
●ポイント!
胸が広がって呼吸のトレーニングにも
●首すじストレッチ左右各20秒
右手を頭に置き、首を右に傾け少しうなずく。鼻から息を吸い、口から吐きながら左手を床に向かって伸ばす。左手を前後に動かしたりひねったりして、左の首が気持ちよく伸びる場所を探し、20秒キープ。
お悩み5:ぽっこりお腹
「お腹がぽっこり出る原因として、骨盤が歪みインナーマッスルが働かないことによって、内臓が前方に押し出されてしまっている可能性があります。逆腹筋は、通常の腹筋運動に比べ、姿勢も悪くならないのでおすすめです。ムリをせず、できる範囲で行いましょう」
●逆腹筋3回
【1】椅子に浅く座る。椅子の後方を両手で掴み、まっすぐ前を見ながら鼻から息を吸う。
●ポイント!
内ももに力を入れて姿勢をキープ!
【2】口から息を吐きながら胸を開き、お腹を凹ませながらお尻を持ち上げる。ひざから肩が一直線になったら胸式呼吸を繰り返し、内もも、お尻、お腹はしっかり締め5秒キープ。
余裕のある人はトライ!
下の運動は大腿直筋(もも前)を伸ばすことで骨盤を起こしやすくする効果がある。「ハードなので、ひざに痛みがある人はやめておきましょう」
椅子の左半分に右のお尻をのせて座り、右手は椅子の縁をしっかりと掴む。左足を曲げ、足先を左手で掴んで引っぱり、20秒キープ。呼吸は自然に、腰が反らないようお腹を引っ込める。右も同様に行う。
教えてくれた人人
花岡正敬さん/理学療法士、姿勢クリエイター。根本的に体の不調を治すため「ケアピラティス」を考案。スタジオ「アークラボ」を主宰し、パラリンピック選手や音楽家など10万人以上を指導。著書は『あらゆる不調は姿勢力で治せる!』(KKロングセラーズ)など。
撮影/黒石あみ
※女性セブン2020年7月16日号
●1回1分で腰痛、肩こりも改善!家で簡単にできる洗濯ばさみ&輪ゴム健康法