自分で治せる!最新最強!老眼回復法|親指遠近ストレッチ、眼ヨガ、ガボール・アイ
「加齢によって落ちた視力は戻らない」──
そう思っているかた、必見!医療界の常識が変わりつつある。最新の知見や研究により、努力次第で自分で症状を緩和したり悪化を遅らせたりする方法が確立されてきている。老眼鏡を買う前に、手術を検討する前に、ぜひ試してほしいとっておきの老眼回復メソッドをこっそりお伝えする。今すぐ、その場でできる回復法もありますよ!
そもそも老眼の原因って?
「老眼回復のカギは目の中にある“水晶体”というレンズの柔軟性にあります」
そう語るのは「Y’sサイエンスクリニック広尾」理事長で眼科専門医の林田康隆さん。
「老眼の原因となるのは、加齢によってカメラのレンズのような働きをする水晶体の弾力が失われ、さらにそれを動かす筋肉の力が衰えること。水晶体の弾力は完全に失われてしまうと取り戻すことが難しいのですが、毛様体筋や眼球全体を支えている外眼筋のストレッチにより水晶体を動かすことで、早期であれば柔軟性を回復させることが可能です」
親指遠近ストレッチ
酷使された現代人の目のメンテナンスとして林田さんがすすめるのが、「親指遠近ストレッチ」だ。
「まず、目から20㎝ほど離したところに、親指を立てて、爪の部分を1秒凝視してください。次に、ピントは爪に合わせたまま、ゆっくり腕を伸ばしていきましょう。伸ばしきったら、今度はもとの場所に戻す動作を10回繰り返します。近くと遠くを交互に凝視することによって、毛様体筋や外眼筋のストレッチ効果が期待でき、柔軟性を取り戻すことができます」(林田さん)
眼ヨガ
「龍村ヨガ研究所」所長の龍村修さんは、2時間で視力が0.5回復することもあるという「眼ヨガ」を定期的に行うことを推奨する。特に「照気法」は誰でも簡単にできるうえ、老眼にも絶大な効果を発揮する。
「照気法は、両手をこすり合わせて温めた手のひらを閉じた目にかざすというもの。手から目へ新鮮な“気”を送り、老廃物を出します。手の熱で目まわりの血流をよくする効果もある。簡単で場所を選ばないので、仕事の途中に座ってやってもいいし、寝る前に部屋を暗くして仰向けになって行ってもいい。ポイントは、手のひらの真ん中が、ちょうど眼球の位置にくるようにあてること。ただし手のひらが目に直接触れてはいけません」(龍村さん)
●照気法
照気法で「眼ヨガ」に慣れてきたらヨガで定番のポーズに、眼球の動きを組み合わせた龍村式「猫のポーズ」にもぜひチャレンジしたい。
「背中を丸めるときは、ゆっくり息を口から吐きながら、目はへそを見るように下へ動かします。逆に背中を反らせるときは、息を口から吐きながら顔を上げて、目も上へ動かします。こり固まった目は、血行が悪くなり酸素の量も減っている状態。眼球を上下に動かすだけでも、普段使わない目の筋肉が動いて、血行がよくなります。目が疲れている人は、肩もこりがちですが、首まわりの血流もよくなるので、肩こり解消にもなります。ポーズが取りづらいときはつま先を立てるといいでしょう」(龍村さん)
●猫のポーズ
【1】肩の真下に手がくるようにして四つんばいになる。足じゃ肩幅と同じくらいに開き、ひざは床と90度になる位置に置く。
【2】息を吐きながらあごを胸に引き寄せ、背中を丸くする。このとき、目も下に動かす。息を吐ききったら息を吸いながら【1】に戻り、【3】へ。
【3】息を吐きながらあごを上げ、背中を伸ばし、反らしていく。このとき、目も上に動かす。【1】に戻り、ここまでを数回行う。
→もっと詳しく:老眼も近視も改善!「眼ヨガ」のやり方|即効性抜群、すぐできる
最強の老眼回復「ガボール・アイ」
さまざまな老眼対策を研究してきた二本松眼科病院の眼科専門医で副院長の平松類さんが「最強の方法」と太鼓判を押すのは、ぼやけたしま模様を目で追い、ペアを探すことで脳の処理能力を鍛えるトレーニングの「ガボール・アイ」だ。
「私たちは、目に入った情報を脳で処理することによって画像として認識しています。つまり、目そのものではなく脳の処理能力を鍛えることでも、視力を改善することができるのです。効果が科学的に証明されていて、0.2程度の視力なら短期間で回復します。1日3~10分程度、できれば毎日、1か月程度は続けてみてください」(平松さん)
同じしま模様のペアを見つける
→もっと詳しく:見るだけで目が良くなる【ガボール・アイ】制作者の眼科医がやり方を解説
生活習慣の改善を
筋肉や脳のトレーニングと並行して取り組みたいのは生活習慣の改善だ。
「Y’sサイエンスクリニック広尾」統括院長でアンチエイジング専門医の日比野佐和子さんがアドバイスする。
「目は体の一部ですから、体にいいことは目にもいい。充分な睡眠とバランスのいい食事を心がけましょう。質のいい睡眠を取ることで、目の筋肉がほぐれます。深く眠るためにもできれば就寝の2時間前にはスマホは触らないこと。スマホが発するブルーライトの光は、睡眠の質を下げてしまいます」
老化を防ぐ抗酸化作用のある栄養素を摂るのもいい。
「ほうれん草に含まれるルテインや紅鮭に含まれるアスタキサンチン、そのほかビタミンA、C、Eやトマトに含まれるリコピンなども抗酸化作用が高いです。ブルーベリーに含まれるアントシアニンが有名ですが最近はカシス由来のものも目によいといわれています。食事で補おうとすれば膨大な量を食べなければならない。忙しい現代人はサプリメントで補うのがおすすめ。飲み物なら緑茶を。緑茶に含まれるカテキンも抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です」(日比野さん)
継続は力なり。まずは温めた手で目を覆うことから始めてみようか。
教えてくれた人
「Y’sサイエンスクリニック広尾」理事長で眼科専門医の林田康隆さん、「龍村ヨガ研究所」所長の龍村修さん、二本松眼科病院の眼科専門医で副院長の平松類さん
イラスト/飛鳥幸子
※女性セブン2020年7月16日号
https://josei7.com/