老眼も近視も改善!「眼ヨガ」のやり方|即効性抜群、すぐできる
視界がかすむ、見えにくい、目が乾く…今や、老若男女が抱える目の不調。スマホやパソコンが普及した現代では避けられない問題だが、自分の力で、簡単に、すぐ解決することが可能だという。テレビ出演で話題の「眼ヨガ」マスターが、即効性バツグンの方法を伝授する。
【目次】
眼ヨガの後、視力が驚異的に回復、0.5→1.5に
最近、急に目が見えにくくなった──そう感じている人はいないだろうか。
その目の不調が自分で改善できて、メガネやコンタクトレンズが不要になると聞いたら信じられるだろうか。
先日放送されたバラエティー番組『モヤモヤさまぁ~ず2』(テレビ東京系)で、東京・東中野にある「龍村ヨガ研究所」に立ち寄った出演者たちは、「眼ヨガ」を体験。すると、たった数十分で、三村マサカズ(52才)の視力は0・8から1.2に、田中瞳アナウンサー(22才)は0.5から1.5という驚異的な回復をみせた。三村はその後に訪れた喫茶店でも、
「メニューがはっきり見える」と感動を隠さなかった。
眼ヨガは、「龍村ヨガ研究所」の所長であり、NPO法人沖ヨガ協会理事長の龍村修さんが考案した健康法だ。
番組内で講師を務めたのは、同研究所のインストラクターで、眼ヨガマスターの武田希依さん。武田さんは眼ヨガの効果に胸を張る。
「受講されたかたからは、『視界が明るくなった』『視力が上がった』と、その変化の報告をよく受けます。つい先日も、60代の女性に、『眼ヨガをやったら視界がはっきりして、作ったばかりの老眼鏡が合わなくなった』と伺ったところです」(武田さん)
老眼や近視、ドライアイや疲れ目など、「目」に関する悩みは数々あるが、眼ヨガはいずれの不調にも効果があるという。
まるで魔法のような健康法には、一体、どんな秘密があるのだろうか。
目の回復力が上がり、本来持っている目の潜在能力が引き出される眼ヨガ
まず、通常の「ヨガ」と「眼ヨガ」の違いを武田さんが説明する。
「普通のヨガは、心と体の動きを合わせて、全身のバランスを整えていくものです。『眼ヨガ』では、そこに眼球の動きを組み合わせます。すると、目の回復力が上がり、本来持っている目の潜在能力が引き出されるのです」
スマホやパソコンを見る時間が増えた現代人の目は、ブルーライトの光によって疲弊している上、深刻な“運動不足”に陥っているという。長時間、近くのものばかり見て目の筋肉が凝り固まると、ピントの調節がスムーズに行えなくなり、視力が低下する。アイクリニック自由が丘院長の久保田明子さんが指摘する。
●「スマホ老眼」やドライアイは目の運動不足
「ある程度、年齢を重ねて老眼が始まるのは自然なことですが、最近は、若い人の間にも『スマホ老眼』といわれる目の不調が増えています。遠くのものにも、近くのものにも素早くピントを合わせられず、目が見えにくくなる現象です。成人してから視力が落ちたという人は、単なる近視ではなく、眼精疲労によって目が見えにくくなっている可能性が考えられます。眼精疲労は悪化すると、頭痛や嘔吐など体全体の不調にもつながります」(久保田さん)
目には「外眼筋」と「内眼筋」が存在する。
6本の筋肉の集まりである外眼筋は、眼球を外から支え、動かす役割がある。内眼筋は眼球の中にあり、近くを見ると収縮し、遠くを見るとゆるむことで、ピントの調節を行う。腹筋や背筋などと同様、目の筋肉も使わなければ衰え、緊張状態が続くと凝り固まってしまう。
「現代の日常生活では、外眼筋をフルに動かすことがめったにない一方で、内眼筋は収縮しっぱなしになっていることが多い。その状態を放置し続けていると、涙の蒸発が激しくなるドライアイになり、深刻な視力の低下を引き起こす恐れがあります。いくら疲れ目用の目薬を使っても、スマホやパソコンなど至近距離のものばかりを見る生活をあらためなければ、改善は望めません」(久保田さん)
意識的に遠くを見て内眼筋をゆるめ、眼球運動で外眼筋を動かすことを久保田さんはすすめる。それによって“目の運動不足”が解消すれば、視力が回復したり、老眼の予防、改善にも有効だという。
「眼ヨガ」の魅力とやり方
その“運動不足”を効率よく解消できるのが「眼ヨガ」だ。
凝り固まった目は、血行が滞り、酸素の量も減っている。目に取り込む血流や酸素が増加すれば、靄(もや)が晴れたように視界がクリアになる。
「眼球を上下左右に端っこまで動かしていると、目の筋肉群が活性化して血行がよくなります。そこへ、『猫のポーズ』(後述)で体全体を動かすと、肩や首の緊張も抜け、内臓にもアプローチできる。内臓の血行がよくなれば、目にもさらに血液と酸素が巡ります。そうすると、自分の目が本来持っている力を引き出すことができるのです」(武田さん・以下同)
凝りをほぐすためには、リラックスした状態を保つことも重要だ。
親から「勉強しなさい!」と強いプレッシャーをかけられ、緊張状態のまま勉強を続けた子供は通常より目の不調を引き起こしやすいといわれるように、目と視神経でつながっている脳を癒すことも、目の負担を取り除くには欠かせない。
「『照気法』といって、手のひらで目を覆って温める方法があるのですが(写真参照)、これだけでも目の緊張を解き、休めるには充分です。息を吐く時は目や脳の疲れが出ていくイメージ、吸う時は新しいエネルギーが入ってくるイメージを浮かべて、ゆったりと呼吸を繰り返してください」
●照気法で目をリラックスさせる
両手のひらをこすり合わせ、摩擦熱で温めた手で両目を覆う。この時、手はお椀形に膨らませる。手のひらの中央から“気”を送るイメージで、ゆっくり鼻から息を吸い、口から吐く。
「息を吐くたびに疲れが抜け、1~2分続けるだけで目が癒されます」(武田さん)。
●血行をよくする目の運動
目を正面に向けた状態で息を吸い、吐きながら眼球だけをできる限り真上に向ける。10秒ほどキープしたら、力を抜いて正面に戻す。同様の動作を、真上から左上まで、反時計回りに8方向で行う。眼球を上下左右に動かすことで、普段使っていない外眼筋がストレッチされ、血行がアップ。老廃物の代謝がよくなり、疲労回復効果が。
頭のツボを刺激して、頭蓋骨を“締める”方法もある。
「頭蓋骨は、いくつかの骨がかみ合わさってできています。それを指で押して刺激します。例えば、眼球が収まっている『眼窩(がんか)』と呼ばれるくぼみの縁を押すと、脳からくる目の疲労が軽減する。眉間を揉む時も、皮膚をつまむのではなく、頭蓋骨を押して刺激します。頭蓋骨が締まると、骨盤も締まったり、体のほかの場所にもいい影響を与えるといわれています」
●脳の疲れを癒す眼窩(がんか)
眼球と、眼窩(目の骨のくぼみ)の縁の間に親指の先をあてて、残りの指は額に軽く添える。ゆっくり息を吐きながら眼窩の縁の骨を上に持ち上げるように親指で押し、息を吸いながらゆるめる。目頭の方から目尻の方へ少しずつ横へずらしながら押していく。眼窩の縁を刺激することで、視神経で結ばれている脳からくる目の疲れを改善する。
●眉間をつまんで緊張をほぐす
親指と人差し指で眉間を軽くつまみ、ゆっくり息を吐きながら眉間の下にある骨を押して刺激する。この時、皮膚をつまんで引っ張らないように注意。少しずつ指をずらして、眉間の周辺全体を刺激する。
「眉間にしわが寄っている人は、目も体も緊張している状態。よく揉んで、ほぐしてください」(武田さん)。
●視界をクリアにする耳たぶの下押し
耳たぶの下には目の神経を覚醒させるツボがあり、即効性を感じる人も多い。耳たぶの下のくぼみに人差し指をあて、ゆっくり息を吐きながら、目の方に向かってやや強めに押し上げる。その後、息を吸いながらゆるめる。10回くらい、視界がクリアになる程度行う。
ツボを押す時は、ゆっくり鼻から息を吸って、ゆっくり口から吐くヨガの呼吸法を忘れないこと。呼吸法を組み合わせることで、よりツボに刺激を与えることができる。また、目の付近を押す際は、くれぐれも眼球を圧迫しないように注意しよう。
●全身の血行をよくして目の凝りをほぐす『猫のポーズ』
ヨガの定番「猫のポーズ」を行いながら目の動きを取り入れる。全身の血行がよくなることで、目の血行もさらに良好に。
今回は、武田さんに6種類の眼ヨガを教えてもらった。一度にすべて行わなくても、その時の状況やコンディションに合わせて、好きなものをやればいい。
「目が疲れたと感じた時に行ってください。1日どれくらいやった方がいいという回数の厳密な制限はありません。その日のうちに視野が明るくなったと感じるかたがほとんど。毎日続けることで、その効果を持続できます」
自宅でも、電車内でも、職場でも気軽にできて、即効性を体感できるのが眼ヨガの魅力だ。
目が疲労で悲鳴を上げたら、深呼吸をして、ツボを押したり、眼球を動かしてみよう。煩わしいメガネを外したら、明るい世界が視野に広がるかもしれない。
教えてくれた人
『Kii YOGA』主宰・武田希依さん。眼ヨガ講師のほか、高齢者のためのヨガクラス、訪問整体など幅広く活躍している。
撮影/平野哲郎
※女性セブン2019年9月26日・10月3日号
●老眼、疲れ目の劇的回復法|改善する食事、歩き方から入浴法、睡眠法まで