首都直下地震が起きたらエレベーターに1万7千人が閉じ込められる!?もし閉じ込められたらどうするか
東日本大震災の際、エレベーターに人が閉じ込められた件数は210件。さらに、2018年6月の大阪府北部地震では、それを上回る339件の閉じ込めが発生した(※)。
内閣府の試算では、首都直下地震が発生した場合、エレベーターに閉じ込められる人は約1万7000人、南海トラフ地震の場合は約2万3000人におよぶと推定されている。地震でエレベーターに閉じ込められる事故は意外と多いのである。
※国土交通省発表データより。
では、もしエレベーター内に閉じ込められたら、どう対処したらよいのだろうか。
まず真っ先に押すべきボタンはどちらだろうか?
A:進行方向の階のボタン
B:非常ボタン
「2009年以降に製造されたエレベーターには“地震時管制運転装置”の設置が義務付けられており、揺れを感じると、自動的に最寄りの階に停止し、扉が開くシステムになっています。ただ、機種の年代によっては想定以上の揺れが起きると、最寄りの階にまで行かず、途中で緊急停止することもあります。また、乗車しているエレベーターに地震時管制運転装置が備わっているかはわからないので、地震の揺れを感じたり、緊急地震速報を受信したら、まずはどこかの階に止めて扉を開けることを優先し、進行方向の階のボタンをすべて押しましょう」
と教えてくれたのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
つまり正解はA。
非常時こそ、非常ボタンを押しがちだが、これは外部へ連絡するためのものでエレベーターを止める機能はない。
それでも降りられず、閉じ込められることもある。
「こういうときこそ非常ボタンを押して、救助を待ちましょう」(和田さん)
携帯電話(スマホ)がつながる場合は、110番やエレベーターの管理会社に救助を求めるのも手だ。その際はビル名やエレベーターの場所を正確に伝えよう。
大阪府北部地震のときは、閉じ込められた人の救出に最大約320分、平均約80分かかったという。内側から扉を開けるのは、構造的に不可能なので、無駄に体力を消耗せず、おとなしく救助を待った方が得策だ。
また、地震発生後はエレベーターが動いていたとしても使用しないこと。余震の発生やシステムの損傷などにより、途中で止まる可能性が高いからだ。避難の際は必ず、非常階段を使おう。
エレベーターで被災したときの対処まとめ
●どこかの階に止めて扉を開けることを優先する
●進行方向の階のボタンすべてを押す
●非常ボタンは押してもエレベーターは止まらない
●携帯が通じる場合は、110番や管理会社に救助を求める
●内側から扉は開けられないと心得、おとなしく救助を待つ
●地震発生直後は、エレベーターには乗らない
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー。NPO法人防災防犯ネットワーク防災担当理事。著書に『中高年のための「読む防災」』(ワニブックス)他。
※女性セブン2020年7月9日号
https://josei7.com/
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