“ちょいもれ”は尿だけでなく便も注意!話題の「便もれパッド」とは?
日本の提案によって、「大人用紙おむつ」の国際規格が改定されたのをご存知だろうか。
世界の中でも高齢化のスピードが早い日本。テープ止めタイプ、パンツタイプ、ツーピースタイプなど多様な製品が開発され、利用者が選択できる環境が整えられてきた。欧米の大人用紙おむつはテープ型が多いため、日本で開発された高機能なおむつを評価できる試験項目が国際規格になかった。しかし今回、「ISO15621尿吸収器具-評価に関する一般的指針」の改定に反映されたことで、日本の多様な製品が海外でも浸透する可能性が出てきた。
今回の改正のポイントとして、「おむつと組み合わせて使用する補助パッドを新たに規定」「補助パッドの吸収力に関する評価方法を新たに規定」といった項目があげられる。排泄介護は各国の生活習慣や文化とも密接に関わるが、日本式のきめ細やかな考えが世界中に広まるかもしれない。
日本国内に目を向けてみよう。施設、自宅を問わず、大人用おむつの需要は年々増加している。日本衛生材料工業連合会の統計によると、2016年の大人用紙おむつの国内生産量は約74億4400万枚で、前年の69億9300万枚から6.4%増加。近年は6~10%の伸び率で成長している。これは高齢化が進んでいるのと同時に、様々なタイプの商品があり、選択肢が多いことも影響していると考えられる。
軽い失禁、尿もれで悩んでいる高齢者に役立つのが、下着に装着するパッドタイプの製品だ。また、妊娠・出産による軽い尿もれは、ごく普通のことだという認知も広がってきている。おむつをするまではいかない人にとって、外出時などに手放せないものとなっているのが実情だ。
尿もれのある人は便もれの可能性も?
そして、ここ最近クローズアップされているのが「便もれ」。尿もれに比べると、臭いや汚れが気になるため、外出がしにくくなっている高齢者も実は多いようだ。そういった悩みを抱えている人のために、2017年5月に日本で初めて軽い便もれに対処する専用パッドが発売された。
「ライフリー さわやか 軽い便モレパッド」はネット通販限定で発売中。予想を超える引き合いがあるという
発売元のユニ・チャーム株式会社の西浦辰徳さんは、
「括約筋のゆるみから発生する軽い便もれは、5人に1人が経験し、経験者の47%がティッシュやおりもの専用シート、生理用ナプキンなどで対処をしています」
と話す。軽い便もれにちょうどいい製品がなく、代わりのものでしのいでいる人が多かったことが想像できる。
そもそもなぜ、尿もれや便もれが起こってしまうのだろうか? ユニ・チャーム「排泄ケア研究所」の介護福祉士・林博美さんに聞いてみた。林さんによると、尿もれ、便もれともにカギは骨盤底筋なのだという。つまり、尿もれの人は便もれの可能性も高いということだ。
便もれの原因には大きく3つの種類がある。本人がコントロールできず知らないうちに漏れてしまう「漏出性便失禁」。我慢できずに漏れてしまう「切迫性便失禁」。重い物を持ったり、咳やくしゃみをした際に便が漏れる「腹圧性便失禁」だ。下着に少量の便がつく程度のもれが多いが、やはり他人には知られたくないことであり、外出を控えてしまう原因になることがある。
便もれは、肌荒れという問題も引き起こす。前出の西浦さんは、「漏れ出た便には消化酵素が含まれているため、肌に触れていると炎症を起こしてしまいます」とその原因について解説する。
便もれに対処する専用パッド「ライフリー さわやか 軽い便モレパッド」は、ぴったりフィットして広がらないので、便が肌に付着するのを減らすことができる。また、便臭吸着ポリマーが配合されていて、臭い成分に反応して消臭してくれるという。
介護施設での尿もれ、便もれ対策は?
では実際、便もれは高齢者向け施設では問題になっているのだろうか? 介護付き有料老人ホーム「杜の癒しハウス文京関口」施設長の柳沼亮一さんに話を聞いてみた。柳沼さんによると、福祉施設で便もれ自体が大きな問題になることはあまりないという。職員が気づいたとしても、そのことで本人が悩んでいたり、直接相談がなければ、深く触れることはない。
その上で、柳沼さんはこう話す。
「予防策は必要です。施設で行っていることは、やはり体操です。そして、立って歩ける状態を維持することが重要です。若い方なら、臀部にギュッと力を入れる運動をするとよいかもしれません。
外肛門括約筋の筋力が回復すると便もれは減ってくるようですね。この筋肉は随意筋で、運動で鍛えることが可能なので、悲観的になることはないと思います」
便もれの原因には、肛門括約筋の筋力の低下だけではなく、神経性のものや、過敏性大腸炎、肛門付近の手術などが原因の場合もある。柳沼さんによると、大切なのは、しっかりとした食事と運動そして、ストレスを溜めないことだという。杜の癒しハウス文京関口では、自然にそれらができるよう支援プログラムを組んでいるそうだ。
尿もれ以上に周囲に知られたくないことなので、人知れず悩んでいる人が多いちょっとした便もれ。その原因は、実際のところ人によって様々だが、「ライフリー さわやか軽い便モレパッド」のようなケアグッズの力を借りれば、生活上の制限をすることなく、気持ちも楽に過ごせる。悩んでいる方は、一度試してみてはいかがだろうか。
【データ】
ユニ・チャーム「ライフリー さわやか軽い便モレパッド」 10枚入り 希望小売価格498円
ネット通販窓口:http://www.d-unicharm.jp/item/129.html
お客様相談センター:電話0120-041-062
撮影/津野貴生
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