「便もれ」は意外に多い悩み!その原因と対策を紹介
くしゃみや咳せきをしたタイミングで出てしまう「尿もれ」は、40代以上女性の3人に1人が悩んでいると認知され、対策グッズもでているが、実は、尿もれ同様、便がもれてしまう「便もれ」も、4人に1人(衛生用品メーカーのユニ・チャームが20~60代男女2万人を対象に行った調査2017年より)の女性が秘かに悩んでいた。知られざる「便もれ」の原因とその対策を紹介する。
肛門まわりの筋肉と腸の不調が原因に
「朝、排泄しきれなかった便が、知らない間に少し出ているようで、トイレで下着に汚れがついているのを見て気づきます。洗っても落ちないのでその場で捨て、新しい下着を買ったり、最近では下着を数枚持ち歩くようにしています」(45才・会社員)
「咳をした時や重い物を持った時など、液状の便が出てしまうことがあります。最近特にその頻度が増えて、生理用のナプキンを使って対処していますが、肌がかぶれてしまって…」(55才・女性)
ユニ・チャームが行った調査によると、“ちょいもれ便”こと、「便もれ」のタイミングはさまざまで、急な便意をがまんできない時や、おならをした時のほか、知らない間に出ているという人も。
便秘外来を設置し、腸の病状に詳しい松生クリニック院長・松生恒夫さんによると、便もれの原因は、大きく3種類あるという。
「1つは、肛門の内側の筋肉“内肛門括約筋”が機能せず、自覚せずにもれてしまう『漏出性便失禁』。この筋肉は、しめようと意識しなくても、自律神経の働きでしまるのですが、痔の手術や出産時の会陰切開などで神経が傷つけられると、機能しなくなるのです。この場合、自力での改善は困難なので、専門医に相談を。
2つ目は、肛門の外側の筋肉“外肛門括約筋”の筋力が落ち、がまんできずにもれてしまう『切迫性便失禁』。主な原因は運動不足や老化による骨盤底筋のゆるみですが、筋力の低下だけでなく、過敏性腸症候群といった腸の疾患が原因になる場合もあります。
3つ目の、咳やくしゃみをした時にもれてしまう『腹圧性便失禁』も『切迫性便失禁』と原因はほぼ同じです。後者2つの症状の場合は、筋肉を鍛えたり、腸内環境を整えることで改善できます」(松生さん)
便もれが原因で外出恐怖症になる人も
便もれの場合、尿もれのように40代すぎてからなる人が増えるというより、年代や性別による差はないというのも特徴的。しかし、これまであまり知られてこなかったのは、経験者の7割が、その悩みを誰にも相談できず、ひそかに苦しんでいたからだ。中にはこんな人も。
「一度電車内で便もれをしてしまい、においが周りに漂ってしまったんです。駅に着くまで、いたたまれなかったです。いつもれるかわからないので、外出が怖くなり、電車に乗らないようになりました」(52才・パート)
排泄ケアの専門家であるNPO法人日本コンチネンス協会会長の西村かおるさんは、便もれで、生活や行動が制限されている人が多いと語る。
「下着に少量の便がつく程度でも、“知られたくない”“恥ずかしい”と、旅行や外出を控えるだけでなく、仕事などの対人関係でも支障が出る人もいます。便もれは、においが気になるだけでなく、もれ出た便に潜む消化酵素が肌に付着することで炎症を引き起こすことも。痛みを伴う深刻な肌トラブルを抱えている人も少なくありません」(西村さん)
便もれに悩む人はあなただけではない。意外と多くの人が経験しており、最近では特有のにおいを防ぐ便もれ用のパッドも市販されている。自分の便もれの原因さえわかれば、改善できるケースもあるので、まずは相談してみよう。
「便もれ」予防には、腸内環境の改善が効果的。ついやりがちな悪習慣から見直そう。
具体的に、改善したい食習慣を具体的に解説してもらった。