最新の介護ICT/IoTシステムを導入した介護付有料老人ホーム<前編>
アズハイム練馬ガーデン
介護施設のスタッフは日々、仕事に追われている。入居者と直に接する仕事だけではなく事務作業も多いのがその理由の1つだ。例えば、入居者の状況を共有するために、手書きやパソコンで情報を入力する。
また、入居者に異変が起きていないか、一部屋ずつ安否確認をしながら見回るのも大切な仕事だが、実際、その負担は大きい。入居者側も何事もない時には睡眠の妨げにならないよう、そっとしておいてほしいのが本音だ。
スタッフ2名分にあたる1日17時間の業務効率化を実現
2016年10月にこのシリーズで紹介した「アズハイム光が丘」を運営する「株式会社アズパートナ―ズ」が今年、介護におけるICT/IoTシステム「EGAO link(エガオリンク)」を導入した。同システムは、センサーを用いた見守り支援システムとナースコール、記録管理システムを連動させ、入居者の状態把握やコール対応、記録入力などをスタッフに配布したスマートフォン1台で行えるようにした、業界初のシステムだ。先行して導入した「アズハイム町田」では、施設全体で1日あたり約17時間の労働時間を減らすことができたという。
また、「EGAO link」を構成する機能の1つに「眠りSCAN」というセンサーがある。これにより、入居者の睡眠・覚醒状態に加え、ベッドでの起き上がり、離床、そして1分間の呼吸・脈拍数まで感知し、それらをスマートフォン、パソコン画面でリアルタイムに把握できる。そのため、入居者からのアクションが起きてから行動するのではなく、先手を打ってアプローチできるようになったという。その結果、アズハイム町田では1日あたりのナースコールが90回から25回に減少するという効果が出ているそうだ。
今回紹介する「アズハイム練馬ガーデン」にもその「EGAO link」が導入されている。ホーム長の小川恵子さんに話をうかがった。
「夜間の決まった時間に『巡視』をするのですが、扉を開ける音などでご入居者の眠りを妨げてしまうことがありました。『EGAO link』を導入したことで、睡眠状態が一目で分かりますので、熟睡されている方を無理に起こさずに安否確認ができるようになりました」(小川さん、以下「」は同)
実際にベッドで寝起きをしてもらい、眠りSCANのセンサーが感知した情報がどのようにスマートフォンに送られるのかを目の前で見せてもらった。ベッドに寝た状態から体を起こすと、スマートフォンにリアルタイムで情報が共有され、イラストで状態を視覚的に確認できる。各自が常に携帯しているスマートフォンにコール通知されるので、見落としの心配もない。コール通知の設定は、各入居者の状態に合わせて、「起き上がり」や「離床」、「通知不要」など個別設定できるという。