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認知症の母の服薬問題「お薬をうまくのめない」を解決に導いた便利アイテムと今後の課題

 岩手・盛岡で暮らす認知症の母を東京から通いで介護している作家でブロガーの工藤広伸さん。母は何種類かの薬を服用しているのだが、認知症の進行とともにスムーズに薬がのめなくなってきた。服薬のたびに困った問題が起きるように…。訪問薬剤師さんに相談し、母のために選んだ服薬のためのアイテムとは?

執筆/工藤広伸(くどうひろのぶ)

介護作家・ブロガー/2012年から岩手にいる認知症で難病の母(82才・要介護4)を、東京から通いで遠距離在宅介護中。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護して看取る。介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。最新著『工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント』。ブログ『40歳からの遠距離介護』https://40kaigo.net/ Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』https://voicy.jp/channel/1442

認知症の母の服薬問題「スムーズにのめない」

 母は1日3回、薬を服用しています。認知症でのみ忘れてしまうため、もの忘れ外来と肛門科、2つの病院で処方された5種類の薬を薬剤師さんに一包化していただいています。一包化とは、のむタイミングが同じ薬を1つの袋にまとめることです。

 以前は、訪問薬剤師さんが実家の台所の壁に貼ってあるお薬カレンダーに、一包化された薬をセットしていました。母が自分で薬を取り出してのみ、空になった袋をカレンダーに戻すことで、のんだかどうかを確認できるようにしていたのです。

 ところがある日、母が一度に3包分の薬をのんでしまいました。大事には至らなかったのですが、それ以来、薬は母の手の届かない場所に保管し、わたしやヘルパーさんが薬を取り出して、のんでもらう形に変更しました。

 母は手の震えもあって、袋から薬を取り出すのが難しくなってきたこともあり、最近では服用時のサポートが必要です。母の口の中に薬を入れ、お水と一緒にのんでもらっているのですが、新たな問題が浮上したのです。

 これまで母が飲んでいた薬はすべて錠剤でしたが、新たに追加された微量の粉薬を母の口に入れるのが難しいこと、さらに母のある行動が原因で服薬に時間がかかるようになったこと、両方の問題を解決するために、薬剤師さんに相談しました。

服薬に関する母の問題行動

 母のある行動とは、錠剤をまるで食事をするかのようにガリガリと噛んでしまうことでした。砕けた薬が口の中に広がってしまうため、のみ込みに時間がかかります。

 薬剤師さんに聞いたところ、薬を噛む高齢者は多いとのこと。嚥下機能の低下から噛んだほうが安心するケースや、認知症の影響から薬をのみ込むこと自体を忘れてしまっているケース、薬の数が増えてしまってうまくのみ込めないなどが理由のようです。

 母がのどのあたりを指しながら、「このへんで引っかかりそうで怖い」と訴えていたのは、こうした感覚があるからかもしれません。また薬を口に含んだまま水だけを飲んでしまい、薬がいつまでも舌の上に残ったままになることもありました。

訪問薬剤師さんに相談してみたら…

 そこで薬剤師さんにすすめられたのが、オブラートでした。水に溶けやすい薄いフィルムで、服薬介助などに用いられるものです。その手があったと思い、早速インターネットの通販サイトで購入しようとしたところ、オブラートの使い方が書いてありました。

 ただ薬を包むだけかと思っていましたが、実際には水に浸す必要があるとのこと。乾いたままオブラートを飲んでしまうと、舌やのどにくっついてしまうようです。

 オブラートは手間がかかりそうだなと思っていたら、関連商品に『らくらく服薬ゼリー』(龍角散)が表示されました。オブラートよりも扱いがラクに違いないと思い、ショッピングカートに入れかけたのですが、最終的に選んだのは同じ龍角散の『おくすり飲めたね(ぶとう味)』でした。

母に服薬ゼリーを試してもらった

 購入する直前で変更した理由は、値段が少しだけ安かったからです。商品名から、子ども向けの商品だとすぐにわかります。しかし用途は同じだから、高齢者も大丈夫だろうと思って調べると、パッケージに「子どもからシニアまで使用できる」と書いてありました。

 またローカロリー・ノンシュガー・ノンカフェインで、安心できる点も購入の決め手になりました。使い方はとてもシンプルで、まず器にゼリーを出し、その上に錠剤や粉薬を乗せ、最後にスプーンなどでゼリーをすくって薬を包み込めば完成です。

 母が服用している薬は白い錠剤が多く、一方のぶどう味のゼリーは紫色。薬を覆うゼリーの色のほうが濃いため、白い錠剤が目立たなくなります。

 早速試してみると、母はまるでデザートのゼリーを食べるかのように、スプーンで薬を口に運ぶようになりました。そして「おいしいわね」と言うようになり、薬のストレスから解放されたように見えました。特に粉薬の飲みやすさは、格段にアップしたと思います。

 これまでは口の中に薬が残っていないかを確認するために、少なくとも3回は口を開けてもらっていました。しかしゼリーと一緒に薬が食道に流れるおかげで、確認は1回で済むようになりました。

1週間使って見えてきた課題

 このままゼリーを使い続けようと思っていた矢先、母が口に含んだ薬を吐き出すようになりました。

 本来は、ゼリーで薬を包んで噛まずに、ごくんの飲み込むものですが、母はゼリーに包まれた薬を噛んでしまい「ガチッ」と音が鳴り、驚いて反射的に口から出してしまいます。自分も歯が欠けたときや詰め物が取れたときなど、反射的に吐き出すので同じ感覚なのかもしれません。

 今後まだ試していないオブラートを、1度使ってみようかなとも思っています。いずれにせよ、服薬にかかる時間は大幅に短縮されました。ただ、もう少し工夫が必要なようです。

 今日もしれっと、しれっと。

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