年金暮らしの人は今すぐ着手!《家計の見直し》5つのポイント「スマホの料金プランなど固定費の確認は必須」【節約・家事アドバイザーが指南】
年金生活の限られた予算内でやりくりするには、「固定費と変動費のムダを見直すことが重要です」と、節約・家事アドバイザーである矢野きくのさん。ちょっとした工夫で家計にゆとりが生まれることもあるという。節約の達人に今日から実践できるポイントを5つ教えてもらった。
この記事を執筆した専門家
節約・家事アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/
「固定費」と「変動費」毎月確認していますか?
年金生活者において、少ない年金で日々の暮らしを成り立たせるためには、「固定費」と、見過ごしがちな「変動費」の見直しが非常に重要です。
まず最初に一度見直せば継続的な節約効果が得られる固定費から着手し、健康を維持しつつ無理のない範囲で変動費を抑えることが大切です。
今回は、年金生活者が見直すべき支出を5つ、その理由と共にご紹介します。
見直したい5つの支出
見直したい5つの支出は以下の通りです。
1.「通信費」:高いプランに入っている可能性も
スマートフォン(以下スマホ)や自宅のインターネット、固定電話などの通信費は、毎月一定額が発生する固定費の代表格であり、一度見直せば、そのあとは何もする必要がなく継続的に大きな節約効果が期待できます。現在の契約プランが実際の利用状況に見合っているかを確認しましょう。
特に、スマホの料金プランは、大手キャリアから格安SIM(格安スマホ)への乗り換えを検討することで、月々の支払いを大幅に削減できる可能性があります。また契約時につけられた不要なオプションを支払い続けている可能性も。無駄がないか確認することも必要です。
例えば、LINEなどのアプリを活用すると、電話代を払っての通話ではなく、アプリ内で通話料はかからず通話することができます。そうなると「通話かけ放題」のようなオプションは不要になってきます。
毎月、自分がどれくらいのデータを使っているか把握していますか?スマホの設定から確認することが可能です。あまりデータを使っていないのであればデータ容量の少ないプランへの変更も有効です。また、自宅のインターネット回線や固定電話が本当に必要かどうかも見直す価値があります。
2.「保険料」:入りっぱなしで金額、内容を把握していますか?
加入している生命保険や医療保険、自動車保険などの保険料も、削減効果の大きい固定費です。若い頃に加入した保険をそのまま継続している場合、現在の生活状況や必要な保障額に合っていない可能性があります。
既に子供が独立している、住宅ローンを完済しているなど、現役時代に比べて必要な死亡保障額が減っている場合は、保障額を減らす、または不要な保険を解約することで保険料を抑えられます。とくに死亡保障が必要以上に高額な方が、少なくないのが現状です。ぜひ一度見直してみてください。
医療保険についても、公的な高額療養費制度などを考慮し、過剰な保障になっていないか見直すことが重要です。
3.「住居費」:節約効果が最も高い固定費
家賃や住宅ローン返済は、生活費の中で大きな割合を占めるため、見直しができれば節約効果が最も大きい固定費です。賃貸住宅に住んでいる場合は、より家賃の安い公営住宅への転居や、コンパクトな住まいへの引っ越しを検討することで、月々の負担を大幅に減らせます。所有している荷物を減らすチャンスでもあります。
持ち家の場合でも、住宅ローンの借り換えによる金利負担軽減や、リバースモーゲージの活用(自宅を担保に融資を受ける)を検討することで、手元の現金を増やせる可能性があります。また、家の維持管理費や固定資産税についても、不要な費用がないか確認してみましょう。
4.「食費」: 取り組みやすい節約術
食費は変動費の中でも特に支出額が大きく、多くの場合、節約の余地がある項目です。健康維持のために必要な支出ですが、無駄な買い物を減らすことで無理なく節約できます。
具体的には、週単位で献立を計画し、必要な食材だけをメモして買い物に行く(衝動買い防止)、特売品を活用する、外食や惣菜の利用を減らし、自炊の回数を増やすことが効果的です。
一度に複数回分を調理して冷凍しておくことで、食材も時間も節約することができます。また、食材を使い切る工夫や、冷蔵庫の在庫管理を徹底することで、食品ロスを防ぎ、結果的に食費の節約につながります。ただし健康を害するような極端な節約は避けましょう。
5.「趣味・娯楽費および交際費」:シニアだから利用できるサービスを最大限に利用する
旅行やレジャー、友人との外食や贈り物の費用などの趣味・娯楽費や交際費は、生活の質に関わるためゼロにはできませんが、意識的に見直すことで出費を抑えられる変動費です。
高額な趣味や頻繁な外食・旅行を安価で楽しめる趣味(例えば、図書館利用、ウオーキング、地域の無料イベント参加)に切り替えたり、シニア割引や優待サービスを積極的に活用したりしましょう。
映画であれば配信サービス(NetflixやAmazonプライムビデオほか)を月1000円前後から契約することができ、定額で見放題になることがほとんど。スマートフォンならベッドの柵にセットして横になりながら観ることもできますよ。
映画館に行く楽しみもありますが、配信でも充分というのであれば、出かける手間や費用を考えると、大きな節約になるケースも。
また、交際費についても、オンラインでの交流を取り入れるなど、無理のない範囲で支出の頻度や金額を調整することが節約につながります。
年金生活での家計安定には、固定費と変動費の戦略的な見直しが鍵となります。特に通信費や保険料といった一度の手続きで効果が持続する固定費の削減は、心のゆとりにもつながります。
無理のない範囲で支出を最適化し、健康を第一に、より充実したセカンドライフを送るための土台を築きましょう。今回ご紹介した5つの見直しポイントをぜひ実践してみてください。
