「今の住まいに住み続けたい」シニア世代は7割だが、子世代は5割にとどまる 【シニア世代の今後の住まい】について親世代と子世代では考えにギャップも<調査レポート>
子どもと離れて暮らすシニア世代がやがて直面する問題のひとつが、今後の住まい。今の住まいに住み続けるのか、生活状況に合った新しい住まいを探すのか、今から考えておく必要がある。「シニア世代の『今後の住まい』に関するアンケート調査」から、シニア世代、そしてその子ども世代双方の考えを紐解いてみた。
身体の衰え、生活状況に合わせて検討したい老後の住まい
シニア世代が直面する身体の衰え。子どもと離れて暮らしていると尚更、慣れ親しんだ我が家であっても不自由さを感じることも。夫婦2人もしくは1人で住むには広すぎて管理が大変、身体が不自由になって階段の上り下りがつらい、など。住み替え先として、老人ホームやサービス付き高齢者住宅、シニア向け賃貸住宅などさまざまな選択肢があるが、どんな形態が自分に合うのか。もしくは親の住まいとして安心なのか。
シニア向け賃貸住宅「アンジュプレイス」を運営しているリコーリース株式会社が、65才以上のシニア世代と、40~59才の子ども世代の計861人を対象に「シニア世代の今後の住まい」に関する調査を実施。
アンケート結果を元に、これからの住まいをどう考えているのか、シニア世代、子ども世代の認識で共通していること、そしてギャップも浮き彫りになった。
シニア世代より子ども世代の方が「住み替え」に積極的な傾向
今後の住まいについて、今の住まいに住み続けたいか、新しく住み替えたいかを聞いたところ、「今の住まいから住み替えるつもりはない」と回答した人はシニア世代は73.0%。子世代には、自分の親がどんな希望を持っているか予測してもらったところ、「今の住まいから住み替えるつもりはない」と回答した人は53.6%にのぼり、ともに最多だった。
一方で、住み替えを希望している人も少なくない。「いずれ住み替えたい」と前向きに考えている人と、「住み替えの情報収集をしている」「具体的に住み替えの準備を進めている」と実際に行動に移している人を合わせると、シニア世代の19.6%、子世代は32.8%だった。離れて暮らす親への心配が尽きないせいか、子世代の方が住み替えに前向きで、世代間でギャップがあることが読み解ける。
住み替え後に希望するのは「持家」と「介護付き施設」が拮抗
住み替えを考えている人の中から、シニア世代85人、子世代140人に限定し、住み替え後に希望する住まいについて質問した。尚、こちらの質問に対する子世代の回答は、親の希望の予測ではなく、子どもとしての希望を聞いている。「持家」と答えたのはシニア世代で38.8%、子世代が28.6%と両世代でトップだった。
ただ、僅差で有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの「介護付き施設」も人気があり、シニア世代は34.1%、子世代は26.4%といずれもトップとの差はわずかだった。次いで「シニア向け賃貸住宅」がシニア世代で16.5%、子世代で23.6%で、1位~3位の三種の住まいはいずれの世代でも同じぐらいの割合だ。
さらに注目すべきなのは、持ち家か賃貸かの世代間での差だ。「シニア向け賃貸住宅」を希望するのはシニア世代で16.5%だったのに対し、子世代は23.6%と親世代を大きく上回った。「持家」がシニア世代の38.8%、子世代の28.6%という結果を見ると、子世代の方が金銭的な面でシビアにみているといえそうだ。
今後の住まいについて、親子間での話し合いは不十分な現状
今回のアンケートではシニア世代とその子ども世代の両方が回答しているが、世代間での認識の差も浮き彫りになった。そこで、親子間で今後の住まいについて話し合いをしているか聞いたところ、半数以上が「今後の住まいについて話し合ったことがない」と回答した。ただ、「機会があれば話したい」と回答したのは両世代とも約25%で、話し合ったことがないと回答した約半数は話し合いを希望していることがわかった。
遠方に住んでいるため話すタイミングがない、情報収集が不十分でどう話を切り出すべきかわからない、などさまざまな事情があるにせよ、今後の住まいについて親子間でギャップを埋める必要がある。まずはあまり重く考えずに親子で話すきかっけをつくり、今の住まいに住み続けることでどんなメリットとデメリットがあるのか、住み替え先としてどんな選択肢があるのか、話し合っていくことが大切だ。
【データ】
「シニア世代の『今後の住まい』に関するアンケート調査
<調査概要>
調査対象:【1】シニア世代:東京都外在住の65才以上で40才以上の子どもがいる人
【2】子世代:東京都在住の40~59才で都外に65才以上の親がいる人
有効回答数:【1】434名 【2】427名
調査期間:2025年9月10日~9月17日
調査方法:インターネット調査
※リコーリースの発表したプレスリリース(2025年10月31日)を元に記事を作成
図表/リコーリース提供 構成・文/西谷友里加
