高齢者におすすめ最旬《食洗機》「狭いキッチンでもOK」「水道代の節約にも」【家電のプロが解説】
食後の食器洗いが億劫だし、手荒れも気になる…。そんなシニア世代にはぜひ、食器洗いから乾燥まですべてお任せできる食器洗い乾燥機(食洗機)がおすすめだ。最近では狭いキッチンにも置けるコンパクトタイプも登場しているという。どんな種類をどう選べばよいのか、家電ライターの田中真紀子さんに教えてもらった。
教えてくれた人
田中真紀子さん / 家電ライター
家電ライター/家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。特に白物家電・美容家電に詳しい。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。公式HP https://makiko-beautifullife.com/
高齢者こそ食洗機を使った方がいい理由
食洗機に頼らず手で食器を洗い続けてきた人の中には、「何をどう入れるのか考えるのが面倒。結局は手で洗った方が早い」と考える人もいるかもしれない。だが、田中さんは、「食洗機には、手洗いにはないメリットが多数ある」と話す。
「最大のメリットは、食器を洗って拭く手間を大幅に削減してくれること。ですから、まずは立ちっぱなしの家事が負担になってきた人におすすめですが、それ以外にも多くの利点があります。
まず、水や洗剤を手で使う時間が少ないので、手荒れや乾燥が防げます。そして、高温で洗うことで食器の殺菌・消毒ができ、高齢のかたが特に重症化しやすいとされる食中毒などのリスクも抑えられます。布巾でお皿を拭くときに雑菌が食器に付着するといったこともなくなりますよね。
さらに、手洗いよりも食洗機の方が水道代が大幅に抑えられるといわれています」(田中さん・以下同)
約2~3人分の食器を1日に2回毎日洗うと、水道代は1年間で約7100円も抑えられるという調査結果も(「手洗いVS食洗機 節約シミュレーション」パナソニック調べ)。
「慣れないうちは食器の入れ方に戸惑うこともあるかもしれませんが、毎日使っていくうちにコツを掴めると思いますし、『こんなに便利ならもっと早く導入すればよかった』という声をよく聞きます」
選択肢が増え、ニーズに合わせて選びやすくなった
食洗機には、シンク下などの空間に設置する「ビルトイン型」と、シンク周りに据え置いて使う「卓上型」がある。ビルトイン型は、大がかりな工事が必要になるため持ち家でなければ導入が難しい。一方、卓上型は分岐水栓を取り付けるだけの簡単な水道工事で済む。商品によっては、工事は不要で自分で水洗を取り付けることができる場合も。
さらに卓上型の中には、分岐水栓を取り付けなくても、食洗機本体に内蔵されているタンクに水を入れて使う「タンク式」も登場し、導入のハードルは下がってきている。
卓上型の食洗機は、コンパクト化も進んでいる。
「以前は大型で場所を取るファミリータイプが主流でしたが、最近では1~2人用のコンパクトタイプも増え、シンク周りのスペースが少なくても設置しやすくなりました。
また、水流の強さを上げて洗浄力を強化したコース、より高い温度で除菌するコース、念入りに時間をかけて洗うコースなど、ニーズに合わせてコースも多彩になっています」
卓上型食洗機の失敗しない選び方
多彩な機能を搭載して小型化も進み、キッチンにも置きやすくなっている食洗機。各製品の特徴を理解し、自分に合うものを選びたい。
まず見るべきなのは、給水の仕方や乾燥方法だ。失敗しないための選び方を解説する。
給水方式
給水の仕方には、「分岐水洗式」と「タンク式」がある。
■手軽に使える「分岐水栓式」
「分岐水洗式は、食器洗いで使用する水をシンクの水栓から給水するもの。給水の手間が不要なので、使うたびに面倒な準備をしなくて済みます。
ただし、水道工事が必要になる場合があるので、賃貸住まいのかたは、分岐水洗式を使えるか事前確認が必要です。また汚れた水もシンクに排水するため、いずれにしてもシンクの近くに設置しなければならず、置き場所が限られます」
■コンセント近くならどこにでも置ける「タンク式」
「他方、コンパクトタイプに多いタンク式は、水栓とつながず、使用する水をあらかじめタンクに入れておきます。シンクのそばで給排水を行う必要がないので、置き場所はコンセントさえあればどこにでも置けて、排水はバケツなどを用意しておけばOK。
ただし、タンクに入れる水の量は、食器容量の大ききに比例して多くなるため、洗う食器が多いほど給水の負担は重くなります。製品によっては食洗機本体の天面から直接給水できるタイプもあるので、場合によってはそのほうが楽かもしれません」
乾燥方式
食器を乾燥する方法はヒーター式とオートオープン式に大別される。
■高温でしっかり乾かせる「ヒーター式」
ヒーター式は、電気を使って高い温度で乾燥することができる。
「食器洗いだけでなく、乾燥までしっかり行いたい方は、最高約90℃の高温でしっかり乾燥させるヒーター式がおすすめです」
■電気代を節約したいなら「オートオープン式」
電気を使わず、自然乾燥することで節約できるのが「オートオープン式」だ。
「オートオープン式は、食器洗い後、自動的に扉が少し開き、中にこもった熱気を追い出しことで乾燥を促します。電気代の節約をしたいかたは、こちらの機能が搭載された商品を選ぶとよいでしょう」