牛乳は他の食品と一緒にとると健康効果UPも どんな食品と組み合わせるといい?期待される効果を医師が解説
牛乳は主要な栄養素が豊富に含まれる単体でも優秀な食品だが、他の食品と組み合わせるとさらに健康効果が増すと話すのは、『医師が教える長生きする牛乳の飲み方』(アスコム)を上梓した、精神科医の和田秀樹さん。そこで、牛乳と一緒に摂るべき栄養素とおすすめレシピを詳しく教えてもらった。
教えてくれた人
精神科医・和田秀樹さん
わだ・ひでき。精神科医。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わっている。著書に『70歳からのボケない勉強法』(アスコム)など。
牛乳と一緒に摂りたい栄養素【1】マグネシウム
骨が強くなるというイメージの強い牛乳だが、和田さんによれば、牛乳を過剰に摂取すると、骨からカルシウムが溶け出す「脱灰」が起こるという説があるという。この原因としては、マグネシウムの不足が指摘されている。
「牛乳にはカルシウムが豊富に含まれている一方で、マグネシウムの含有量がゼロではありませんが非常に少ないのです。そのため牛乳ばかりをとっているとマグネシウムが不足するのも覚えておいてほしいことです」(和田さん・以下同)
牛乳をマグネシウムと摂れば骨が健康に
カルシウムの吸収を助けるマグネシウムは、骨の健康のために積極的に摂りたい栄養素だが、どんな食材と組み合わせるのがいいのだろうか。
「マグネシウムが多く含まれる身近な食材は大豆、ごま、昆布、ひじき、わかめ、ココアなどがあります。豆乳やココアを牛乳に混ぜれば、簡単で栄養価の高い飲み物になりますよ」
牛乳にマグネシウムプラスする「黒ごまきな粉のホットココア」のレシピ
《材料》(1人分)
ピュアココア…20g
砂糖…小さじ2
牛乳…150~200ml
きな粉…大さじ1/2
すり黒ごま…小さじ2
《作り方》
【1】小さめのボウルにココア、砂糖、牛乳を大さじ1ほど入れてよく練り混ぜ、ペースト状になったらきな粉、ごまを加えてさらに練る。
【2】牛乳を少しずつ加えて溶きのばしたら鍋に移し、かき混ぜながら沸騰する直前まで温めて完成。
「牛乳、ココア、きな粉のトリプルたんぱく質をとれば代謝が上がり、体が温まります。ココアの苦み成分、テロブロミンは免疫を高める効果も期待大です」
牛乳と一緒に摂りたい栄養素【2】ビタミンC
牛乳には多くのビタミンB群が含まれている。ビタミンB群は炭水化物(糖質)やたんぱく質、脂質の代謝に関わり、エネルギーをつくり出したり、肌や髪の健康を保ったりと、さまざまな働きがあるが、その一方で、同じビタミン類でも、牛乳にはビタミンCがほとんど含まれていない。
「ビタミンCといえば美肌に欠かせない成分ですが、ほかにも多くの働きがあります。ストレスや風邪などの病気に対して抵抗力を強める役割、骨や皮膚、腱や靱帯、血管などの結合組織の材料となり、成長や修復にも必要不可欠です」
食事だけでは十分な摂取が難しいビタミンC
ビタミンCは重要な栄養素であるにもかかわらず、牛乳ではほとんど摂取できず、かつ食事でも意識して摂らなければ十分な摂取が難しい。そのため、牛乳を飲むことを習慣化するのと併せて、ビタミンCの摂取を意識することを和田さんはすすめている。
「ビタミンCが多く含まれる食材はキウイや柿、オレンジやレモンなどのかんきつ類、ピーマン、ゴーヤ、ブロッコリー、ほうれん草、さつまいもなどがあります。フルーツ類は牛乳に果汁を加えてドリンクに、野菜類はシチューなどの具にするのがお手軽です」
牛乳にビタミンCをプラスする「ザクザクいちごのダブルミルクドリンク」のレシピ
《材料》(1人分)
いちご…5粒
てんさい糖…大さじ1
アーモンドミルク(砂糖不使用)…50~100ml
牛乳…100ml
《作り方》
【1】グラスに5mm角にしたいちご、てんさい糖を入れて混ぜる。
【2】アーモンドミルク、牛乳を混ぜて、【1】にそっと注ぎ入れ、好みでいちごを飾る。
「牛乳には代謝に欠かせない、肌のターンオーバーを促すたんぱく質やビタミンB12が豊富。酸化を防ぐビタミンCが豊富ないちごを加えれば、美肌ドリンクに」
牛乳と一緒に摂りたい栄養素【3】抗酸化成分
加齢とともに身体的な機能や組織が衰えてくる「老化」。この老化のスピードの鍵を握っているもののひとつが体の「酸化」だ。人は食べ物などから摂取した栄養を、酸素を利用して代謝することでエネルギーを生み出しているが、この代謝の際に体内で「活性酸素」が生じることを「酸化」という。
活性酸素はシミやしわの元となり、見た目を老けさせることに加え、がんや糖尿病、脂質異常症、動脈硬化症といった生活習慣病の原因にもなる。
「体内で増えた活性酸素を取り除くことが、老化やがん、生活習慣病の予防になります。そのためには活性酸素を中和させる抗酸化成分を含む食品をとることが大切なのです」
酸化予防のために摂りたいビタミンA、C、E
抗酸化成分を多く含むビタミンA、C、Eのうち、牛乳に含まれるのは微量のビタミンAのみだ。そのため、牛乳の栄養を補助するために抗酸化成分も積極的に摂る必要がある。
「抗酸化成分は野菜や果物に多く含まれていますが、なかでも覚えておいてほしいので赤やオレンジ、黄色など鮮やかで色の濃い野菜です。身近な食材としてはトマト、かぼちゃ、にんじん、さつまいも、ほうれん草、ブロッコリーなどです」
抗酸化成分を含む野菜をたっぷり使った「鶏むね肉のトマトクリーム煮」のレシピ
《材料》(2人分)
鶏むね肉…1枚(200g)
塩こうじ…大さじ1
こしょう…少々
小麦粉…大さじ1と1/2
玉ねぎ…1/2個
かぼちゃ…60g
キャベツ…2~3枚
オリーブ油…大さじ1/2
水…100ml
【A】
トマト水煮缶(ダイスカット)…100~150g
牛乳…200ml
コンソメスープの素…小さじ1/2
塩こうじ・砂糖…各小さじ1
こしょう…少々
《作り方》
【1】鶏肉はひと口大に切り、塩こうじをもみ込んで、こしょうを振ったら小麦粉をまぶす。玉ねぎは薄切りに、かぼちゃはひと口大に、キャベツは3cmほどのざく切りにする。
【2】フライパンにオリーブ油を熱し、鶏肉を焼く。焼き色がついたら端に寄せて、あいたところに玉ねぎを入れてさっと炒める。
【3】かぼちゃと水を加えてふたをして、5分ほど煮る。
【4】【A】とキャベツを加え、時々かき混ぜながら、材料に火が通るまでさらに5~6分煮る。
「抗酸化成分の吸収は、実は脂質と一緒にとると高まるのです。こうした理由から、牛乳と肉、濃い色の野菜を加えた煮込み料理はおすすめ。栄養価が高く老化を食い止める、うれしいひと皿の出来上がりです」
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