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累計契約者数は約1万4000人!利用者に寄り添い24年、「たとえ契約者が一人になってもサービスを続けたい」揺るぎない信念を貫く象印マホービン『みまもりほっとライン』の新たな挑戦【想いよ届け!~挑戦者たちの声~Vol.5後編】

 電気ポットで親の安否を確認――2001年に登場し、見守り家電の市場に大きな変革を起こした象印マホービンの『みまもりほっとライン』。いくつもの壁にぶつかりながらも、24年に渡りサービスを継続してきた。今後の新たな展開について担当者に話を聞いた。

挑戦者たち/プロフィール

象印マホービン CS推進本部 シニアアドバイザー 樋川潤さん

1985年象印マホービン入社。10年以上に渡り家電量販店などでの提案営業やその活動を全国の営業担当に広げる業務などに従事。マーケティングや広告宣伝、中国での旗艦店の起ち上げにも関わる。100周年事業の式典企画や社史編纂を経て、2019年にCS推進本部に着任。『みまもりほっとライン』の営業・宣伝活動に従事。趣味はランニング。

24年続く見守りサービス「愛用者の声」続々

 象印マホービンが24年前から続ける安否確認サービス『みまもりほっとライン』。現在、愛用者のボリュームゾーンは80代。累計契約者数は約1万4000人に上る。契約者は高齢者の子、とくに女性が多く、6割を占めるという。

 象印マホービンで同サービスの営業・宣伝活動を手がけるCS推進本部の樋川潤さんは語る。

「2001年に始まったサービスですが、ユーザーの声を大事にしながら、ポット本体の改良を重ねてきました。

 そもそも我が社の家電は、誰もが使いやすいユニバーサルデザインを取り入れています。もちろんこのポットも、ボタンの位置や色、パネルや水量の表示をはじめ高齢者が使いやすいように設計されています。

 本体にはユーザーサポートの電話番号を大きく表示し、高齢のかたでもすぐに電話をかけて問い合わせをすることができるように配慮しています。

 使い方もシンプル。電源を入れて給湯をするとメールが届くのですが、給湯のたびにメールが来るのは煩わしいので1日3回まで送信時刻設定が可能です。

 外出していて使わない時間があると家族が心配になるので、『おでかけボタン』を押すと、『外出している』というメールが届きます。帰宅後には給湯などの操作を一度行えばボタンが解除され「帰宅」とメールが届くので、家族に不要な心配をかけずにすみます」

常に使いやすさをアップデート

 2023年にはモデルチェンジを実施し、新たな機能を追加した。

「新たに空だき通知機能を追加しました。親御さんが年を重ねられ、ポットの空だきが増えて、認知症に気がついたという声がありました。ポットは毎日規則的に使うものだけに、親御さんの行動の変化を感じ取れるんです。

 お客様から返却されたポットの操作パネルに、数字が書かれていることが多いんですよ。操作手順の1番目は『ロック解除ボタン』、2番目に『給湯ボタン』を押すのですが、この順番がわからなくなってしまうこともあるのかもしれませんね。

 だから、あらかじめ商品には1、2と番号を明記したシールを同梱してはどうかと。小さなことかもしれませんが、お客さんが困っていることに応えるのが我が社の信条。親御さんが操作に迷いそうな場合は、このシールを貼ってくださいね、という想いを込めました」

 24年間愛され続ける理由は、こうした小さな取り組みの積み重ねにあるのかもしれない。

「最近は、ポットの活用の仕方も訴求しています。やはり夏場はポットの活用頻度が下がるので、熱中症対策として塩分を摂取できる薬膳茶のレシピやお白湯での薬の服用などポットのお湯でできることやアイデアを発信するといった取り組みも始めました。

 少しでも多くの高齢者にポットを活用していただき、お子さん側は安心して見守りができるといいですよね」

「社会に貢献する活動」は企業理念の根底にある

 こうした取り組みは、単に製品やサービスを売るのではなく、「高齢者とその家族の幸せを願っている」想いが根底にあるからだという。

「我が社は昔からお客様の声を形にするものづくりをしてきました。それは、圧倒的多数の声だけでなく、どんな小さな声でも、できることはすべてやろう、そういう企業風土が根底にある。そして『みまもりほっとライン』は、我が社のCSV事業*の代表的なサービスですから、たとえ契約者が一人になっても続けていきたいという想いがあるんです。

*Creating Shared Value/社会的価値を創造しながら利益を生む事業。

「すべてのユーザーに寄り添いたい」。そんな想いを受け取った利用者からは、現在もたくさんの感謝の声が届いているという。

「『親がポットの操作をしていないので見にいったところ倒れていて、救急車を呼び一命を取り留めた』という感謝の声は多くいただいています。『このポットが離れて暮らしていた私たち親子をつないでくれていました』という心のこもった言葉もいただきました。

 ポットのカバーをキルティングケースで手作りして、名前をつけて呼んでいたという人も。長年愛用してくださるお客様からの声にはこちらが励まされることが多いんですよ」と樋川さん。

新たな挑戦は続く

 今後の展望について聞いてみると、『みまもりほっとライン』については高齢者施設などの大口の顧客の開拓も課題だという。

「サービス付き高齢者住宅(サ高住)や高齢者施設などへの導入も検討しています。『みまもりほっとライン』のシステムでは、1人の契約者で100人までの情報を閲覧できるようになっているので、この仕組みを活かせないか探っているところです。

 開発チームからはさまざまなアイデアが飛び出しますが、ポットに関しては、シンプルなのが一番なので付加機能をこれ以上増やすのではなく、ほかの家電と繋げてより便利に使っていける仕組みを提案していく予定です」

 また、ポット以外にも見守りサービスに対応する製品を増やしていくという案も出ているそうだ。

「新たな取り組みとして、色々アイデアが出ています。たとえば、最近は手軽にお湯を沸かせる電気ケトルが台頭しているので、ケトルにこの見守り機能を搭載するのはどうか、という声もありました。

 しかし、ケトルはお湯を注ぐとき本体を持ち上げなければならないので、年齢を重ねて筋力や腕力が弱ってくると使いにくくなるということで、高齢者にはボタンを指で押すだけでお湯が出るポットのほうが使いやすいだろうと、ケトルの案は現時点では見送ることになりました。

 シンプルな使い勝手を守りながら、変わりゆく環境の中でどう高齢者とその家族に寄り添うのか、『技術をやさしさで包む』をモットーにものづくりに取り組む同社の挑戦は続く。

■みまもりほっとライン 0120-950-555
https://www.zojirushi.co.jp/syohin/pot_kettle/mimamori/index.html

取材・文/斉藤俊明 撮影/横田紋子、黒石あみ

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