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健康

慢性的な膝痛&腰痛がある人は認知症になりやすい?自宅で簡単にできる「パチパチもも上げ」で痛みを改善【名医が実際にやっている対策法12選付き】

 年を重ねると老化の影響で骨や筋肉が弱まり、膝や腰に痛みを感じることが増える。膝痛・腰痛がある人は認知症の発症リスクが上がると言われており、早めの予防が肝心だ。専門医が実際にやっている「病気を防ぐ習慣」と絶対にやらない「病気を招く習慣」を紹介する。

教えてくれた人

戸田佳孝さん/戸田整形外科リウマチ科クリニック院長

眞鍋雄太さん/神奈川歯科大学認知症・高齢者総合内科教授

「鶏むね肉の摂取」と「パチパチもも上げ」で腰や膝の痛みを改善!

 生活の質(QOL)を著しく下げるのが腰や膝の痛みだ。

 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長の戸田佳孝さんは、「一因は筋力の低下にある」と語る。

「加齢とともに筋力が低下すると体に余計な負担がかかったり体幹が弱まったりして、腰や膝の痛みにつながりやすい。特に膝の痛みは足回りの筋力低下と肥満が原因で生じるケースが多い」 

 腰痛や膝痛の予防・改善のために戸田さんが実践している習慣が「鶏むね肉の摂取」と「軽い筋トレ」だ。

「鶏むね肉には筋肉の持久力の向上や疲労回復に効果がある成分のカルノシンが豊富に含まれるうえ、低脂肪でタンパク質が多く、筋力を落とさずダイエットするのに最適。鶏むね肉を茹でて棒々鶏(バンバンジー)風にして食べています。食後にスクワットなどの筋トレを行なえば、肥満の解消と筋力の維持・増強もできる」(戸田さん)

 すでに腰や膝に痛みがある場合、戸田さんが考案、実践する「パチパチもも上げ」を試してみよう。

「慢性的な痛みがあるからと絶対安静を心がけると、逆に状態を悪化させやすい。太ももを床と水平になるまで高く上げて、その場で足踏みする『パチパチもも上げ』は下半身を鍛えられ、痛みの改善につながります」(戸田さん)

 気をつけたいのが「階段」だと戸田さん。

「特に下りは膝を痛める要因になります。無理せずエレベーターを使いましょう」

慢性的な膝・腰痛を和らげる「パチパチもも上げ」

<ポイント>

【1】手のひらに膝をパチッと音が鳴るように当てる

【2】ひじを体に当てて地面に水平に手を伸ばす

【3】反対の脚の膝はしっかり伸ばす

1回50回(左右25回ずつ)×1日2回行なう

※できるだけ速く膝を持ち上げて手のひらに当てる。1回ごとに交互に脚を交代して行なう

「ネットで調べる癖」や『もう年だから』の口癖が認知症を引き寄せる

 腰痛や膝痛と密接に関係するのが、意外にも認知症だ。

「足腰の痛みから外出が減り、家にこもりがちになると認知症のリスクが高まる。骨折などで寝たきりになるとそのリスクは跳ね上がります」

 そう話すのは神奈川歯科大学認知症・高齢者総合内科教授の眞鍋雄太さんだ。

 認知症になり活動量が減って筋力が低下……という負のスパイラルが生じやすく、筋トレと認知症対策は同時に考えたい。

「飲み会やサークル活動などに参加して、人と接してコミュニケーションを取ることを心がけています。できれば社会的立場などが異なる人と会って話をすると刺激が増してより効果的です。集まりが終わったら、そこで交わした会話を思い起こすことも脳を活性化させます」(眞鍋さん)

 安易にネットの検索機能に頼らず、自力で思い出そうと努力することも効果的だという。

 食習慣も大切だと眞鍋さんは語る。

「青魚に含まれるDHAやEPAはアルツハイマー型認知症の原因になるタンパク質アミロイドβから神経細胞を保護するので、アジやサバを積極的に食べています。一方で霜降りの牛肉は血管の老化を早めるため、なるべく控えています」

 認知症を招きやすい「思考」の習慣もある。

「『もう年だから』が口癖の人は要注意です。これが行動制限の引き金になって運動を控えたり、人との接触を避けたりして認知症が進行する人が本当に多い。何かを始めるのに遅すぎることはなく、年齢を気にしないという姿勢が結果的に認知症を防ぎます」(眞鍋さん)

「腰・膝痛」と「認知症」が同時に対策できる12か条を名医が解説

 分野のプロだからこそ分かる「寿命を延ばす」日常の知恵を紹介する。

「肩・腰・膝痛」を防ぐ習慣・招く習慣(戸田さん監修)

<防ぐ習慣>

【1】鶏むね肉を食べる

 筋肉の持久力の向上や疲労回復効果などがあるカルノシン成分が豊富に含まれる鶏むね肉を棒々鶏などの料理にして食べる

【2】起床時に硬直した体をほぐす

 起床時に簡単な筋トレやストレッチを行なうと、筋肉の緊張や身体のこわばりをほぐして転倒予防にもつながる

【3】「パチパチもも上げ」体操をする

 水平に伸ばした手に膝を交互にパチパチと当てる「パチパチもも上げ」体操を行なうことで膝、腰の慢性的な痛みを和らげる

<招く習慣>

【4】無理して階段を下りる

 階段を下りる際に膝の皿の裏の軟骨に圧力が加わり、膝を痛める原因になる。無理に階段を使わずエレベーターを使う

【5】1時間以上座り続ける

 長時間座り続けると骨盤の周りの筋肉が硬直。特に前かがみ時に腰にかかる負担が増え、腰痛悪化の原因になる

【6】朝食で炭水化物を制限する

 脳のエネルギーとなるブドウ糖が不足して朝から集中できなくなり、もとの痛みが脳で増幅されてより痛く感じる原因になる

「認知症」を防ぐ習慣・招く習慣(眞鍋さん監修)

<防ぐ習慣>

【7】飲み会に行く

 脳を活性化させる最大の方法は他者とのコミュニケーション。飲み会やサークル活動は最適の脳活性方法なので誘われたら極力参加する

【8】検索機能に頼らない

 タレント、歌手の名前が思い出せない。そんな時、安易にネットの検索に頼らない。思い出そうと努力することが記憶のトレーニングにつながる

【9】青魚を食べる

 サバ、アジ、コハダなどの青魚には不飽和脂肪酸のDHAやEPAが多く含まれ、アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβから神経細胞を守る

<招く習慣>

【10】脂の多い肉を食べる

 霜降りの牛肉などは食べすぎない。脂質が多いので、血管の老化を早め、脳の健康を害する

【11】21時以降に食事を摂る

 消化されづらく、オーバーカロリーになり、認知症につながる糖尿病になりやすい

【12】「もう歳だから」を口癖にする

 年齢を理由に挑戦することをやめてしまうと認知症になりやすい。いくつになっても新しいことにトライし続けることが予防になる

イラスト/河南好美

※週刊ポスト2025年2月14・21日号

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