「歯みがき習慣で血糖値が下がる」糖尿病博士が推奨する「10分以上ダラダラ歯みがき」の重要性
「歯みがき」の習慣が血糖値を下げる?
運動や食事以外にも、血糖値を下げる生活習慣がある。それは「歯みがき」だ。
『薬を使わず血糖値・ヘモグロビンA1cを自力で下げる食べ方実践ガイド』(主婦の友社)などの著書があり、糖尿病博士として知られる栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅さんが言う。
「口の中の歯周病菌が、出血した歯茎の血管から入り込んで全身に回ると、血液中のインスリンの働きを悪くします。そのため歯周病の人は糖尿病になりやすいのです。また、糖尿病になると口の中が乾きやすくなり、唾液の分泌量が減るため、歯周病のリスクが高まります。さらに高血糖状態が続くことで、歯茎の炎症も進みやすくなるという悪循環になります」
東京医科歯科大学(現・東京科学大学)の実験では、歯周病と糖尿病の両方を患う人は、どちらか片方の治療を受けただけで、両方の改善が得られたという。
「つまり毎日の歯みがきで歯周病を防ぐことは、血糖値を下げることにもつながるのです」
そう話す栗原さんは、「ダラダラ歯みがき」を推奨する。
テレビを見ながら10分以上 「ダラダラ歯みがき」がおすすめ
「テレビを見ながら、お風呂に入りながら“ダラダラと時間をかける”、“唾液がダラダラ出るまでみがく”という2つの意味から名付けました。口の中が乾くと歯周病菌が繁殖しやすくなります。唾液の分泌を増やすためにも、最初は歯みがき粉を付けないように。
10分以上時間をかけて、じっくりと歯をみがきましょう。歯ブラシだけでは歯の間の汚れを十分に取ることができないので、歯間ブラシも併用してください。最後に歯みがき粉を付けてサッとみがいて終了です」(以下、栗原さん)
歯みがきをする時間も重要になる。
「夕食後すぐにみがくのが望ましい。歯みがきにより脳に『食事が終わった』という合図が伝わり、満腹中枢が刺激される。食後に甘い物が食べたくなってしまう人も、すぐに歯みがきをすることで“ちょい食べ”を防ぐことができます」(同前)
日常の小さなところに、血糖値を下げるヒントが隠されている。
写真/PIXTA
※週刊ポスト2024年12月6日・13日号
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