小林幸子さんとのお喋りで脳を活性化 AI技術駆使した疑似対話体験ができるアプリが誕生
高齢者の脳の活性化をサポートする新サービスとして、歌手の小林幸子さんをモデルに起用した24時間365日会話が可能なコミュニケーションツールがこの冬、発売予定だという。小林さんと会話ができるツールとは一体どんなものなのかご紹介します。
健康維持には「会話」が必要不可欠
内閣府が発表した「令和6年版⾼齢社会白書」によると、2023年度の調査で「人と毎日話す」と答えた高齢者は72.5%で、2018年度の前回調査結果の90.2%から大幅に減った。特にひとり暮らしの高齢者に限ると、「人と毎日話す」としたのは38.9%まで減少し、およそ3割の29.6%が1週間に1回以下しか会話をしなかったことになる。
会話をすることは生活の質を向上させるばかりか、認知機能低下の予防や健康増進に効果があると言われている中、健康状態に不安があると外出をためらいがちな高齢者にとって気軽に会話をする機会を作ることは難しくなっている。
そんな中、紅白歌合戦の豪華な衣装でも有名な国⺠的歌⼿の⼩林幸⼦さんといつでも話ができる疑似対話体験サービスが誕生した。実際に本人も、画面に表示されるもうひとりの⼩林幸⼦さんと対話した様子を紹介する。
小林幸子さんと24時間365日会話が可能なコミュニケーションツールが登場
シルバコンパスが開発したAI映像対話システム「Talk With おはなしテレビ」は、「音声認識AI」「回答選択AI」など複数のAI技術と映像データを高速制御する技術を組み合わせ、まるで小林幸子さん本人と会話しているような感覚を楽しめる。
日常の発話機会を増やすことを目的としており、浜松医科大学と共同開発した共感対話メソッドをベースに「クイズ」「歌」「思い出話」などエンターテインメント性の⾼いテーマに加えて、「健康チェック」や長谷川式認知症スケール(HDS-R)に基づいた「脳トレ」などの機能を搭載。タブレットに話しかけるだけで、疑似対話をすることが可能で脳の活性化や⼼の健康維持をサポートするという。
小林幸子さんご本人も“AI幸子”に興味津々
先日行われた制作発表会では、小林さん本人も登場し、「私って表情が豊かで意外と綺麗ですね(笑い)」と会場を和ませつつ、「ちょっと寂しいなと思う時にいつでも呼び出してほしい」と、“AI幸子”との初対面を楽しんだ。
「晩年を介護施設で暮らした父は昔のことを本当によく覚えていて、思い出すきっかけを話すとたくさん喋ってくれました。人生は思い出の積み重ね。会話を通して果てしない思い出の旅を続けられたらいいですね」
と、父を介護した実体験を重ねていた。
今後の予定では、大量の対話データから認知症やMCI(軽度認知障害)を検知する機能も追加されるという。
人との会話はストレスを解消するだけでなく、脳を活性化し認知症の発症を予防すると言われている。家族がおひとり様になった時や、離れて暮らす高齢の家族に寄り添う役割として新しいサービスを上手く活用してほしい。
【データ】
シルバコンパス
https://silvacompass.co.jp
「Talk With おはなしテレビ」
https://silvacompass.co.jp/products/ohanashitv
※シルバコンパスの発表したプレスリリース(2024年10月1日、10月17日)を元に記事を作成。
写真/シルバコンパス提供 構成・文/松藤浩一
●世界最高齢のプログラマー・若宮正子さん(89才)が実践「シニアこそAIを使いなさい」
●シニアも安心 ゼロから始める“AI超入門講座”「読む・聞く・話す」で操作OK!|AIが便利な4つの理由を専門家が解説
●えっ“AI野々村真”って何?デジタルヒューマンが高齢者施設で大人気に!「会話が楽しい」「笑顔が増えた」いいことずくめの未来像