血液型別・注意すべき病気の傾向と対策「A型は胃がん、B型はすい臓がんの発症率が高い研究報告も」【医師解説】
血液型とは、赤血球をA、B、O、ABの4種に分類したもので(ABO方式)、主に輸血などに役立てられてきた。ところが近年、血液型ごとに罹りやすい病気についてもわかってきたという。血液型ごとに注意したい病気やと対処法を専門家が解説します。
教えてくれた人
ナビスタクリニック立川 内科医 久住英二さん
日本血液学会認定血液専門医。虎の門病院血液科を経て’08年、ナビタスクリニック立川を開設。メディアを通じて、正しくわかりやすい医療情報を発信し続けている。著書に『血液型でわかるかかりやすい病気と対策』(扶桑社)など。
血液型で罹りやすい病気の傾向が変わる理由
血液型ごとに罹りやすい病気についてわかってきた、その理由は、「細胞膜の表面にある“糖鎖(とうさ)”が関係しています」とは、血液専門医の久住英二さん(「」内、以下同)。
糖鎖とは、ブドウ糖などの糖分子がつながった物質で、たんぱく質と結合しやすい性質を持っている。
「菌やウイルスに感染するのは、この糖鎖とウイルスや菌のたんぱく質が結合して体内に侵入するからです。しかし、糖鎖とウイルスや菌のたんぱく質が結合しない場合もあります。それは、糖鎖の形が血液型によって異なるからです」
A型の糖鎖と結びつくウイルスや菌はB型の糖鎖と結びつきにくい。そのため、血液型によって罹る病気の傾向が変わるのだという。
A型 胃がんと生活習慣病に要注意!
「A型が罹りやすい傾向にある病気のひとつが胃がんです。胃がんの主な原因はピロリ菌。これの除菌が、胃がんのリスクを低減させることは医学的に証明されているので、検査と除菌治療を定期的に行うのがおすすめです。早期発見であれば完治の可能性が高いがんでもあるので、がん検診も積極的に行いましょう」(久住さん・以下同)
脂質異常症や貧血などの生活習慣病にも注意が必要だという。
「生活習慣病は、不規則な生活や食事の内容の見直しで改善されます。魚中心の食事に切り替え、適度な運動を心掛けて体重のコントロールに努めてください」
●罹りやすい病気リスト
□ 胃がん
□ 唾液腺がん
□ エコノミークラス症候群
□ ノロウイルス
□ 貧血
□ 細菌性髄膜炎
□ 脂質異常症 など
B型 すい臓がん、肺の病気に罹りやすい
「すい臓がんは見つかりにくく、原因も特定されていません。しかし、アメリカの国立がん研究所が2009年に発表した研究報告によれば、B型の発症率が高いとされています」
すい臓がんの危険因子として挙げられるのは、喫煙、肥満、糖尿病、慢性すい炎、遺伝的要因など。これらを避けるような生活を。
「肺の病気にも注意が必要で、長引く咳を放置せずに治療を受ける、インフルエンザなどのワクチンを定期的に接種するなど、肺炎対策も忘れずに」
卵巣がんは、まれではあるが遺伝的要因が発症リスクに関係するので、思い当たる人は婦人科に相談を。
●罹りやすい病気リスト
□ すい臓がん
□ 卵巣がん
□ 悪性リンパ腫
□ 脳梗塞
□ エコノミークラス症候群
□ 淋病
□ マラリア
□ 肺炎
□ 結核
□ 糖尿病(2型)
□ 高血圧 など
O型 消化器系の病気に用心を!
「O型はほかの血液型に比べて血液が固まりにくいという特徴があるので、脳梗塞や心臓病など、血管系の病気にはなりにくい傾向があります。ただし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、O157大腸菌への感染など、消化器系の病気になりやすいとされています」
胃がんの原因とされるピロリ菌は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍なども引き起こすので、A型同様、ピロリ菌の検査や除菌といった対策を定期的に行うこと。暴飲暴食や喫煙、アルコール・カフェインの摂取を控え、ストレスをためないような生活を送ることも大切だ。
●罹りやすい病気リスト
□ 皮膚がん
□ 悪性リンパ腫
□ 胃潰瘍
□ 十二指腸潰瘍
□ コレラ
□ O157大腸菌
□ 貧血
□ ピロリ菌
□ 細菌性髄膜炎 など
AB型 注意すべきは脳梗塞や感染症
「O型とは対照的に心臓病や脳梗塞のリスクが高いのがAB型。こうした病気を発症すると生活の質が低下し、後遺症に悩まされるケースも多々ありますから、原因となる生活習慣病を発症しないように気をつけましょう。規則正しい生活を心掛けることが大切です」
亜熱帯地域で流行するデング熱や、インフルエンザにも罹りやすい。
「リゾート地では虫よけ対策を万全に。インフルエンザ対策としてはワクチン接種が有効です」
認知障害にも注意が必要で、たんぱく質やビタミン類のほか、DHAやEPAなどを含む青魚の摂取を心掛けよう。
●罹りやすい病気リスト
□ 卵巣がん
□ 悪性リンパ腫
□ エコノミークラス症候群
□ 梅毒
□ 脳梗塞
□ 認知障害
□ デング熱
□ インフルエンザ
□ 細菌性髄膜炎
□ 心臓病 など
血液にまつわるQ&A
・重いけがで死亡率が高いのは?
2018年、東京医科歯科大学の研究グループは、重いけがで救急搬送された人の死亡率は、O型が非O型の2倍に及んだと発表。「血が固まりにくいO型の体質が、要因のひとつかもしれません」。
・蚊に刺されやすいのは?
「1972年にイギリスで、マラリアを媒介するハマダラカの腸内の血液を調べたところ、O型の血液が最も多く、次いでB型、AB型、A型の順だったそう」。統計上のことでエビデンスはないがO型が刺されやすいようだ。
・血液型は調べておくべき?
「血液型は、抗体(※)の有無で調べるため、抗体が作られる前の乳幼児を検査しても正しい結果が出ません。輸血の際は血液型を検査してから行うので、事前に調べなくても問題ありません」
(※)病原体から体を守るために作られるたんぱく質。
取材・文/上村久留美 イラスト/こさかいずみ
※女性セブン2024年3月14日号
https://josei7.com/
●血液型別に介護相性を16パターン総あたりで診断|A・B・O・AB型の性格とアドバイスも