コロナにかかりにくい血液型は? がんになりやすいのは…血液型別・注意すべき病気リスト【医師監修】
血液はそれ自体が、ウイルスや菌から体を守る免疫機能を備えており、長生きするためには、血液の質を保つことが重要だ。血液の質は努力次第で変わる。しかし、生まれ持った「血液型」は、骨髄移植などを受けない限り、一生変わることはない。最新の研究では、血液型によって、かかりやすい病気の傾向があることがわかってきている。コロナにかかりやすい血液型とは――。最新事情を医師に聞いた。
血液型は、赤血球の形に左右される。赤血球の表面についたトゲトゲした糖鎖(鎖のように連なった糖)の形の違いによって、A型、O型、B型、AB型に分けられる。
ある形の糖鎖を持っていればA型、別の形の糖鎖を持っていればB型、AとB両方の糖鎖を持っていればAB型、どちらも持っていなければO型となる。ナビタスクリニックの医師・久住英二さんが解説する。
「それぞれの糖鎖は、赤血球だけでなく、体中の細胞についています。そのため、血液型によって血液の特徴や細胞の形、性質が異なり、それが病気のかかりやすさに影響しているのです」(久住さん・以下同)
一部のウイルスや細菌は、特定の糖鎖にだけ結合する性質を持っているため、そのウイルスや菌に感染しやすい血液型と、そうでないものがあるのだ。それぞれを具体的にみていこう。
O型・コロナに強いが消化器系が弱い
6月にアメリカで行われた75万人の調査によれば、O型の新型コロナ感染率はほかの血液型と比べて9~18%低く、同じく6月に発表された調査結果では、O型はほかの血液型に比べて、重症化した際に人工呼吸器が必要になるほど悪化するリスクが35%低かった。
「理由の1つとして、O型は血液が固まりにくいことが考えられます。新型コロナは血栓をつくるといわれており、それによる脳梗塞や心筋梗塞、肺梗塞などが重症化の原因の1つだともいわれています。血栓ができにくい特徴のあるO型は、たとえ感染したとしても、ほかの血液型と比べればわずかにリスクが低い」
同様に、O型は、血栓が肺動脈を塞ぐことで起こる「エコノミークラス症候群」にもなりにくい。
しかし、血液が固まりにくいということは、止血しづらいということ。O型の重症外傷患者の死亡率は、ほかの血液型よりも高いというデータもある。
「また、O型は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染、O 157大腸菌など、消化器系の病気にとにかく弱い。暴飲暴食を避け、ピロリ菌検査をして、胃がんに発展しないよう先手を打ちましょう。皮膚がんのリスクもほかの血液型より高いため、紫外線対策は必須です」
A型・糖質に気をつけてがんは早期発見を
A型は統計上、最もがんにかかりやすいといわれている。
「胃がん、唾液腺がん、前立腺がんなど、A型がかかりやすいとされるがんは早期発見が可能なものが多い。がん検診を積極的に受けることが大切です」
また、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪が増えすぎる脂質異常症になる確率は、4つの血液型の中で最も高い。
「脂質異常症は血液型に限らず女性に多く、特に50才頃の閉経期に発症するケースが多い。放っておくと動脈硬化につながります」
一方で、血液のがんの1つである悪性リンパ腫は、A型が最もリスクが低いとされる。
B型・血糖値を下げて呼吸器を守る
B型が注意すべきなのは、早期発見が難しいというすい臓がんだ。アメリカの研究によれば、すい臓がんはB型、AB型、A型、O型の順で発症例が多い。
「血液型を決める遺伝子には、すい臓がんの発症に直接かかわるものがあることもわかっています。糖尿病が発症要因の1つになるため、血糖値を上げないようにしてほしい。また、B型は、肺炎や結核などの感染症にかかりやすい傾向にあります。肺炎球菌はB型の糖鎖に結合しやすい形をしているため、B型は肺炎にかかりやすく、重症化もしやすい。65才以上は肺炎球菌ワクチンの接種を検討してください」
AB型・血管系疾患の重症化に注意
AB型はO型と比べると心臓病は1.20倍、脳梗塞は1.59倍、認知症は1.82倍、発症リスクが高いとされている。
「心臓病や脳梗塞は、血中コレステロール値や血栓のできやすさに大きな影響を受けます。どれも発症すると重症化しやすいため、食生活や運動で“ドロドロ血”になるのを防ぐようにしましょう」
蚊を介して感染するデング熱や、冬に流行するインフルエンザなど、季節ごとの感染症にもAB型は弱い。
血液型別かかりやすい病気リスト
■A型
胃がん、唾液腺がん、前立腺がんの術後再発、エコノミークラス症候群、ノロウイルス、細菌性髄膜炎、貧血、脂質異常症などにかかりやすい。
■B型
すい臓がん、卵巣がん、悪性リンパ腫、エコノミークラス症候群、脳梗塞、マラリア、肺炎、結核、淋病、2型糖尿病、高血圧などにかかりやすい。
■O型
皮膚がん、悪性リンパ腫、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、コレラ、O157大腸菌、ピロリ菌、細菌性髄膜炎、貧血などにかかりやすい。
■AB型
卵巣がん、悪性リンパ腫、エコノミークラス症候群、心臓病、脳梗塞、認知症、デング熱、インフルエンザ、細菌性髄膜炎、梅毒などにかかりやすい。
久住さんは、「どの血液型も一長一短。“○○型だから病気で早死にする・長生きできる”ということはありません」と念を押す。
持って生まれたリスクがあるからこそ、日頃から血管を健康に保つ運動や食習慣を心がけたい。
教えれくれた人
ナビタスクリニック 医師・久住英二さん
※女性セブン2020年12月17日号
https://josei7.com/
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